政治ジャーナリストの田﨑史郎氏が8月29日、ニッポン放送「辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!」に出演し、辛坊と対談。公明党の山口那津男代表らが28~30日の日程で予定していた中国訪問を中国側の判断で直前になって延期することになったことを巡り、田﨑氏は「中国側のドタキャンを読み切れなかったことが政府の落ち度」と解説し、辛坊も「山口代表の訪中で手打ちだったはずだ」と指摘した。

中国の習近平国家主席(中国・北京)=2023年4月6日 AFP=時事 写真提供:時事通信
東京電力福島第1原子力発電所の処理水の放出を巡り、中国が日本の水産物の輸入を全面禁止したことを受け、岸田文雄首相は中国側に禁止措置の即時撤廃を求める申し入れを行った。岸田首相はまた、「放水によって水産事業者が損害を受けないよう、東京電力による賠償も含めて万全の態勢を取っていく」と強調した。
田﨑)政府の対応に落ち度はなかったと思います。落ち度があったとすれば、中国側の反応を読み切れなかったことです。中国側のドタキャンです。
辛坊)ドタキャンというのは、公明党の山口那津男代表の中国訪問が延期になったことですね。
田﨑)そうです。
辛坊)本来は、山口代表の訪中によって日中の両政府は手打ちをするはずだったわけですね。
田﨑)はい。日本政府は22日に処理水の海洋放出を決め、24日に放出を始めました。この直後、中国側が日本の水産物の輸入を全面禁止しました。ところが、中国側から山口代表の訪中はご遠慮願いたいという方針が出てきたのは26日です。つまり、事務方レベルでは訪中を歓迎するという話が寄せられていたにもかかわらず、26日になって急に態度が変わったわけです。
辛坊)なぜですか。
田﨑)中国の習近平国家主席が、南アフリカで開催された新興5カ国(BRICS)首脳会議から帰国したのが26日です。つまり、習国家主席が山口代表の訪中にストップをかけたということです。
辛坊)事務方レベルでは、基本的には中国側が一定の反発を日本側に示したうえで、最終的には山口代表の訪中によって手打ちをするという方針でしたが、習国家主席の一声で訪中が延期になったということですね。
田﨑)そうです。本来は、お互いに言いたいことを言い合おうという方針だったにもかかわらず、習国家主席がドタキャンしたわけです。これが、今の中国の国家体制です。