経済アナリストのジョセフ・クラフトが9月5日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。8月の米雇用統計について解説した。
8月の米雇用統計 ~失業率が3.8%に上昇
飯田)9月1日に発表されたアメリカの8月の雇用統計についてです。就業者数は前月から18万7000人の増加となり、失業率は3.8%と少し上昇しました。どう見たらいいでしょうか?
クラフト)金融当局、そしてマーケットにとっても「適温」の数字ではないかと思います。
飯田)「適温」ですか。
インフレ抑制が順調に進み、マーケットが好感 ~9月のFOMCでは利上げ見送りか
クラフト)まず、失業率が3.8%に上昇し、中央銀行の利上げが遠退くのではないかという点があります。また、3.8%に上がったのは労働参加者が増えたからです。労働市場のひっ迫が緩和し、時給の前年比は当初の市場予想である4.4%よりも少し低い、4.3%でした。インフレ抑制が順調に進んでいるという印象を与えて、マーケットが好感し、今回は上がったということです。
飯田)インフレ抑制が順調に進んでいる。
クラフト)ただ、9月の連邦公開市場委員会(FOMC)では利上げが見送られたとしても、11月の利上げを決めつけるのは時期尚早というところで、まだ今後の消費者物価や小売り、10月のデータも見極めていく必要があります。方向性としては、いい数字だったのではないかと思います。
飯田)8月に行われた経済シンポジウム「ジャクソンホール会合」では、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が演説しました。そのなかでも「必要があれば利上げも行う」と発言しています。
クラフト)打ち止めを決めつけるのは危ないということです。今後のデータ次第では(利上げも)あり得ますが、とりあえず9月は無難に済むのではないでしょうか。
飯田)しかし、あれだけ利上げを行ってブレーキを踏んできたにもかかわらず、アメリカ経済はずいぶんと強いのですね。
中国の景気減速が高まればアメリカや日本にも影響 ~今後の金融政策が変わる可能性も
クラフト)そこは本当に驚きます。逆に、アメリカの調子がいい一方で、中国が懸念材料として挙がっています。
飯田)そうですね。
クラフト)今後、中国の景気減速が高まれば当然、アメリカを含め、日本にも影響してきます。金融政策も変わって、よりハト派にシフトする可能性があるのですが、パウエル議長はデータ重視で今後を見ていくとしています。市場も9月は無難に済むと予想し、11月まではまだ時間もありますので、いまのところ金融市場も安定しているのだと思います。
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