地政学・戦略学者の奥山真司が7月11日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。7月8日に一周忌を迎えた安倍元総理について解説した。
7月8日に一周忌を迎えた安倍元総理
飯田)安倍元総理大臣の奥様の安倍昭恵さんが「台湾安倍晋三友の会」など、複数の日台友好団体の招きを受け、7月17日から訪問する予定です。安倍元総理が亡くなられてから1年。台湾では安倍元総理の像も建立されました。
奥山)7月8日が一周忌でしたよね。
飯田)そうですね。土曜日でした。
なぜ日本のメディアは安倍元総理の事件を「銃撃事件」と表現するのか ~英米メディアでは「暗殺」と書かれる
奥山)メディアの扱いですが、大手新聞の見出しが全部「銃撃事件」となっているのです。私自身はこの書き方に納得できません。
飯田)銃撃事件と言う表現に。
奥山)政治的な影響力を持った人間を銃撃して殺害したということで、この説明は中立的に見えますが、アメリカやイギリスなどの英語メディアでは、基本的に「Assassination」、つまり「暗殺」と表現しています。
影響力のある政治家を殺したこの事件は「暗殺」と呼ぶべき
奥山)日本も「暗殺」と言わなくてはいけないと思います。なぜ「銃撃事件」と言うのか、メディアの人たちに聞きたいと思うくらいです。
飯田)おそらく、政府の発表が「暗殺」ではなく、「銃撃」と表現しているからでしょうか。起訴事実としては、殺人罪で起訴ということになると……。
奥山)銃を使ってということですよね。私は、「暗殺」という言葉の定義は、「影響力のある政治家を殺害すること」だと思っています。
飯田)影響力のある政治家を殺害。
奥山)今回は白昼堂々の形でしたが、私はやはり「暗殺」と呼ばなければいけないと思います。ことの重大さ、権力を持っていた政治家……実際に安倍さんは当時もかなり大きな影響力を持っていました。その人物を堂々と殺害してしまうのは、明らかに政治的な事件ですので、私は「暗殺」と呼ぶべきだと常々思っていました。
「暗殺事件」と捉えなければ暴力に対処できない
飯田)「暗殺」と呼ばないと、社会的な影響力をしっかり表現できないということですか?
奥山)表現できません。いま日本は、暴力的に政治家を糾弾しやすい世の中になっていると思います。
飯田)暴力によって。
奥山)実は非常に危険な世の中の雰囲気がありますが、どうも大手メディアには、言霊的に「恐ろしい言葉を使ってはいけない」という雰囲気があるのではないでしょうか。でも現実的には「暗殺」なのです。
飯田)そうですね。
奥山)英語版のウィキペディアを見ると、エントリーの部分が「Assassination of Shinzo Abe」になっています。世界的には完全に「暗殺事件」として認定されているのに、日本では「銃撃事件」になっています。こういうことを、私はごまかしだと思います。
飯田)ごまかし。
奥山)我々もこの事件を政治的に大きな「暗殺事件」として捉えないと、暴力にしっかり対処できないのではないかと思います。
飯田)暗殺事件として捉えないと。
奥山)岸田さんの場合も、和歌山の方で模倣事件が起こりました。あれも「暗殺未遂」として捉えないといけません。本来は「軍隊」なのに「自衛隊」と言い直さなくてはいけないなど、そういうところにつながっていくと思うのです。厳しい現実を厳しい現実として捉えることが大事だと思います。
宗教問題にすり替えてはいけない
飯田)この事件を、恨みがあったからとか宗教2世とか、そういう部分にすり替える傾向がありますね。
奥山)すり替えてはいけないと思います。
飯田)まずは事件を事件として、「どういうことなのだ」と言わなくてはならない。
奥山)そのためにも、「暗殺」という言葉を使うのが適切だと思いますし、そうするべきだと思っています。
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