外交評論家で内閣官房参与の宮家邦彦が9月8日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。9月9日から開催されるG20サミットについて解説した。
悪役もいい役もすべて揃い、バトルロワイヤルになるG20サミット
飯田)岸田総理の一連の外交ですが、東南アジア諸国連合(ASEAN)の首脳会議に行き、9月7日は東アジア首脳会議がありました。また、ニューデリーに飛んで主要20ヵ国・地域首脳会議(G20サミット)にも参加します。
宮家)この一連の「ショー」ですが、残念なことは、ASEAN首脳会議にも東アジア首脳会議にも、バイデンさんやプーチンさん、習近平さんが来なかった……バイデンさんはインドで開催されるG20には来るけれども。
飯田)そうですね。
宮家)プロレスに例えると、プロレスにはいい役と悪役があるではないですか。G7はいい役が7人揃うわけですが、その代わり場外乱闘もない。しかしG20になると、悪役といい役、それから中間派などがたくさんいます。
飯田)入り乱れるのですね。
李強首相やラブロフ外相では弱い
宮家)一種のバトルロワイヤルであり、その際は悪役がきちんと悪役をやってくれないと困るわけです。ところが今回(のG20サミット)は悪役がいないのですよ。そこが少し拍子抜けするところです。
飯田)その辺りは李強さんやラブロフさんが……。
宮家)もちろん彼らも悪役には違いないのだけれど、ちょっと力が足りない。もう少し大物でなければいけません。
G7ではまとまる政治問題もG20ではまとまらない ~今回のG20サミットもインド太平洋問題では中国が反発し成果は期待できない
宮家)長い歴史のなかで、G20も「G7のようになるかな」と思った人もいたかも知れません。でも実際には、G7首脳会議だってもともとは経済問題を話すために始まったのです。
飯田)経済問題を議題にして。
宮家)一度ロシアを入れて失敗したこともあるけれど、G7の場合は、みんな同じような考え方をする人たちだから、政治的な問題が話しやすいのです。
飯田)G7の場合は。
宮家)一方、G20の場合はこれだけバトルロワイヤルをやる人たちがいるわけですから、政治声明はなかなか出しにくい。ウクライナ問題1つにしても、G7では全部まとまるけれど、G20でまとめることはできませんよね。
飯田)まとまりません。
宮家)それから台湾問題など、いろいろなインド太平洋問題となると中国も反発しますから、結局まとまらないわけです。議長国であるインドは努力していると思いますが、今回は残念ながら、あまり「成果は期待できないのかな」という気がします。
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