中国経済の失速は、習近平氏がインドにもアメリカにも「行きたくない」ほどの厳しさ

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数量政策学者の高橋洋一が9月13日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。国連総会に王毅外相が欠席する見通しとなった中国政府の方針について解説した。

中国経済の失速は、習近平氏がインドにもアメリカにも「行きたくない」ほどの厳しさ

中国の習近平国家主席(中国・北京)=2023年4月6日 AFP=時事 写真提供:時事通信

中国・王毅外相、国連総会欠席か 米中首脳会談に影響も ~アメリカの「来て欲しい」という提案に「乗らないよ」ということか

アメリカのウォール・ストリート・ジャーナルは、中国政府が9月19日からニューヨークで始まる国連総会一般討論に韓正国家副主席を派遣する予定だと伝えた。中国外交トップの王毅共産党政治局員兼外相は欠席する見通し。

飯田)韓正氏は主に儀礼的な役割を担っているようです。王毅氏は出席しないことになりました。

高橋)習近平氏もインドで開かれた20ヵ国・地域首脳会議(G20サミット)に行かなかったので、内向きになっているのかも知れませんね。アメリカの方は「来て欲しい」と言っているけれど、「それには乗らないよ」ということでしょうか。

アメリカへ出向くという形になり、国内に説明しにくい ~成果もさほど期待できない

飯田)11月にサンフランシスコでアジア太平洋経済協力会議(APEC)が行われます。アメリカ側としては、そのタイミングで米中首脳会談を行いたいということが報じられていました。

高橋)アメリカに行くのが嫌なのではないでしょうか。アメリカにわざわざ行って首脳会談を開くことは、習近平氏にとっては不本意でしょう。国内に説明しづらいではないですか。

飯田)出向く形になってしまう。

高橋)「APECは持ち回りだ」などと言うけれど、中国国民には関係ありませんからね。「わざわざアメリカに行ってやるのか」という話になってしまうと、習近平氏の3期目の威厳に関わる可能性も出てきます。よほど成果があればいいけれど、そういう感じはしないでしょう?

飯田)何か成果が出るような方向にはなりそうもないし……。

高橋)せいぜい、いくつかの輸出規制を解いてもらうというレベルです。だから習近平氏は、APECには行きたくないのではないでしょうか。

習近平氏がインドで開催されたG20サミットへ出席しなかった理由

飯田)これまで中国は、G20には毎回出席していましたが、今回インドで開かれたG20は欠席しました。

高橋)行かなかったですよね。プーチン氏が来ないので、行けば各国から叩かれるから嫌だったのでしょうが、インドで開催されることも嫌なのだと思います。

飯田)インドとは国境紛争を抱えていますからね。

高橋)これまでもインドと中国で覇権を争っているわけではないですか。

飯田)「グローバルサウスの盟主はどちらだ」というような。

高橋)インドの土俵に行ってやるのが嫌だったという考えもあると思います。そうすると、アメリカに行くのも嫌なのではないでしょうか。

APECの開催がアメリカでなければ首脳会談に行くかも知れないが

飯田)アメリカ側としては、「対話のチャンネルは残しておきたい」という思いがあるのか、最近はブリンケン国務長官やレモンド商務長官、イエレン財務長官などが訪中しています。その流れで「首脳会談も」というような報道が一部ありました。

高橋)APECの開催地がアメリカではなく、東南アジアなどであれば行われるかも知れませんが、今回はG20の議長国がインドで、APECがアメリカでしょう? 行くのが嫌だと駄々をこねている感じがします。

飯田)どこかの第三国で開催される可能性もありますか?

高橋)APECがですか?

飯田)あるいは首脳会談のみでも。

高橋)首脳会談のみをどこかで行う可能性は、なくはないと思うけれど、どうなることやら。

バイデン大統領、岸田総理は国連総会出席へ ~習近平氏の出席はないか

飯田)バイデン大統領や岸田総理は、国連総会に出席する予定だと言われています。

高橋)岸田総理は出席すると思いますが、まさか習近平氏は行かないでしょう。アメリカに行きたくないのではないでしょうか。

飯田)なるほど。

高橋)国内向けとして、中国国内は景気が悪いし、あまりいい成果がなさそうなときに行くのはよくないという考えかも知れませんね。

不動産取り引きがGDPの3割を占める中国 ~不良債権問題で中国のGDPはかなり悪くなっているはず

飯田)やはり中国経済は相当厳しい状況ですか?

高橋)厳しいですね。不良債権問題で大変なのですよ。日本もバブルのときは大変だったけれど、日本の不良債権は100兆円レベルでした。中国の場合、不動産の1社だけで40兆円くらいです。もう1社加えると60兆円レベルだから、全部合わせるとものすごい数字です。

飯田)すべての不良債権を合わせると。

高橋)地方に関しても「影の銀行(シャドーバンキング)」の話があって、「地方融資平台(Local Government Financing Vehicles)」というものですね。国際通貨基金(IMF)の推計では約1300兆円、民間の推計では約1800兆円の負債があると言われています。官民全部合わせると3000兆円ぐらいになる。

飯田)3000兆円。

中国には破綻法制がないので不動産取り引きが収縮している

高橋)すごい不良債権の量です。中国には破綻法制がなく、破綻させないからみんな疑心暗鬼になるのです。売掛金が全部吹っ飛ぶ形になるので、取り引きが大きく収縮します。

飯田)売掛金が飛んでしまう可能性が出てくるので。

高橋)破綻法制があって、「ここはダメだけれどここは大丈夫」とわかれば取り引きできるけれど、いまはまったくわからないから、不動産取り引きはやりにくいですね。中国の不動産取り引きは国内総生産(GDP)の3割ですから、GDPはすごく悪くなっているはずですよ。

飯田)でも、信用収縮が起こってしまうと……。

高橋)影響は大きいですね。

飯田)土地だと不動産をテコにして、別の事業を行うという方法も機能しなくなりますか?

高橋)景気のいいときには加速度で、不動産取り引きの何倍かの経済取り引きができるけれど、不動産取り引きが収縮してしまうとマイナスの影響も大きいのです。いま中国経済はそこに陥っていると見ています。

飯田)普通に「お金を借りて設備投資をしよう」というところも収縮してしまう。

高橋)当然でしょうね。GDPの3割ですから、そこが収縮してしまったら影響は大きいと思います。普通の国だと不動産取り引きは1割ぐらいしかないのです。

破産事例がない中国 ~習近平氏が破産させない

飯田)全部を政府が支える形になるのですか?

高橋)処理しないと、どこかがダメになってしまうのですが、政府が抱えるのも難しいと思います。一般的には民間で、業績の悪いところは処理するというのが破産法制です。大きな問題が出たら、悪かったところだけに公的資金を注入するのが一般的なやり方です。

飯田)通常は。

高橋)それを全部政府が抱えるのは無理だと思いますし、歴史上こんなに大きい債務はほとんどないから、どうすればいいかよくわからないですね。私は昔、不良債権の償却大魔王と言われていましたが、こんなに大きいと処置の仕方がよくわからないです。

飯田)高橋さんが扱ったのは……。

高橋)たった100兆円でした。何千兆円などと言われたら、気が遠くなってしまってわからないですよ。オーソドックスに言うと、破産法制で潰すところは潰すしかないのだけれど、習近平さんはできないわけでしょう?

飯田)破産法制を行うには、まず物差しをつくって債務を確定させ、その上で「これはダメ、これはよい」と分ける。ダメなところは潰し、いいところには資本注入してもたせると。

高橋)だって習近平さんが「破産させるな」と言っているのだから。中国で破産事例がないというのは、そういうことでしょう。

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