新型コロナの「後遺症」最新情報
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東京都医師会理事で「きくの耳鼻咽喉科クリニック」院長の市川菊乃氏が9月15日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。新型コロナ感染症の後遺症について解説した。
新型コロナの後遺症の最新情報 ~頭が重い、鼻に違和感がある
新行市佳アナウンサー)新型コロナ感染症の後遺症は、どのくらいの割合で出ているのでしょうか?
市川)いまは全数把握がされていませんので、詳しくはわからないのですが、10%~20%の間ではないかと言われています。株も変わっているので、それによって後遺症も変わります。
新行)変異株によって。
市川)最初のころは匂いがわからないことなどが問題になりましたが、いまは頭が重い、鼻に違和感があるという症状が多いようです。上咽頭にコロナウイルスが付きますので、「何かすっきりしない」という人が多いですね。
後遺症は早い人なら3~4週間で匂いも元に戻る
新行)後遺症はどのくらいの間残るのですか?
市川)耳鼻科の場合、匂いの神経に関しては、長い人では2ヵ月くらい経っても「何かはっきりしない」と言う患者さんがいます。また、3ヵ月~4ヵ月ほど具合が悪く、「治らない」として来た方もいます。そういう方も何人かはいますね。
新行)そうなのですね。
市川)感染が落ち着いたあと、早い人は3週間~4週間くらい、遅い人でも6週間~8週間くらいで「匂いがわかってきました」という人が多いです。味がわからないというより、「匂いがわからないので味が鈍くなる」という状態だと思います。味覚や嗅覚の神経にもウイルスが付いて、おかしくなっていることはあります。それはインフルエンザでもあることです。
上咽頭の辺りが腫れて頭が重くなる場合も ~腫れた患部を処置する
市川)新型コロナの後遺症は、頭重感などが残ることがあります。そちらの方が深刻です。
新行)頭重感。
市川)上咽頭の辺りが腫れて「何か重たい」、「鼻がおかしい」などの違和感を持っている方もいらっしゃいます。そのような方の上咽頭をファイバースコープで見ると腫れているので、炎症を抑えるための抗炎症剤を患部に処置すると、少し痛いのですが、てきめんによくなります。何度かそれを繰り返して「よくなった」という人が多いですね。
新行)後遺症に対する治療も、手段としてはあるのでしょうか?
市川)絶対ではありませんが、普段、耳鼻科医ができる手技としてはあります。ただ、痛いですし、反射が起きますので、私はあまりエレガントな処置だとは思っていません。本当に必要な方にだけ行っております。
新行)痛いのですね。
市川)炎症を取ると、「すっきりしました」と言われます。
後遺症を防ぐためには、新型コロナに罹らないようにマスクをし、手洗いをすること ~ワクチン接種をすること
新行)コロナ後遺症ですが、後遺症への備えはあるのでしょうか?
市川)どういう人に後遺症が出て、どういう人に後遺症が出ないかは、あまり言われていません。「当たってしまった」というところがあると感じています。若い人は「どうせ熱を出して終わりだろう」と思っているかも知れませんが、後遺症が出る可能性はあります。
新行)そうですよね。
市川)後遺症に備えるというよりも、後遺症が出る可能性はあるので、コロナに罹りにくくする。罹ってもせめて軽く済むようになるための準備はしていただきたいです。マスクをしたり、重症化を防ぐという意味でもワクチンは打って欲しいと思います。いまでも陽性の患者さんが重症になり、入院する方もいます。若い人でも入院します。
番組情報
医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます