外交評論家で内閣官房参与の宮家邦彦が10月27日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。対馬・観音寺から盗まれた仏像をめぐる訴訟の判決について解説した。
韓国の三権分立が機能するようになった
長崎県対馬市の観音寺から盗まれた仏像をめぐり、韓国中部・瑞山の浮石寺が所有権を主張し、保管する韓国政府に対して引き渡しを求めた訴訟で、韓国最高裁は10月26日、韓国・浮石寺側の上告を棄却した。浮石寺の所有権を認めず、所有権は長崎県の観音寺にあると認定した。韓国政府は今後、日本側への返還に向けた手続きを進める方針。
飯田)「14世紀に倭寇に持ち去られたのだから、俺たちのものだ」というのが浮石寺側の主張です。
宮家)他国の裁判にコメントすべきではないのですが、政治的に見た場合、再び韓国の三権分立が機能するようになったなと思います。最高裁が法的な側面からきちんと認定したので、胸を撫でおろしています。尤も、他の国であれば当たり前のことですが。
飯田)さすがに「14世紀の所有権」を主張されると、いろいろなものが壊れてしまいます。
宮家)それを「不当な略奪を合法化した野蛮な判決」と非難する人たちもいますが、その言い方の方がよほど政治的ですよ。
いい方向へ向けて一歩前進
宮家)本当のことはわかりませんが、前政権が最高裁も含めて司法にリベラル系のいろいろな人を送り込んだという話を聞きました。実際に、変な裁判で変な判決が出るようになったことも事実です。
飯田)この裁判も、一審は浮石寺側が勝っていますから。
宮家)何かいい作用が起き始めているのではないかと思います。日韓の懸案は他にもあるので、それについても常識的に判断してもらい、韓国の外務省はそれを尊重して、しかるべく政策を変えていただく。それがあるべき姿です。少しハードルが高いかも知れませんけれど。
飯田)常識的に判断して。
宮家)まだ政治的にはくすぶっていると思います。これだけで楽観することはできませんが、いい方向に向けて一歩進んだと思います。
ゴールポストが固定されるまで20年、韓国の「386世代」が退くまで
飯田)よく「ゴールポストが動く」と言われますが、しっかり固定される形になればいいですね。
宮家)でも、それは当分先だと思います。386世代が50代ですから、あと20年、私の歳になるまでは頑張るわけです。
飯田)1990年代に30代で、1980年代に学生運動を経験した、60年代生まれの人。やはり世代交代を待つ必要がある。
宮家)彼らは日本で言えば全共闘の世代でしょうが、また日本側も変わるかも知れないので、気を付けなくてはいけません。
飯田)歩み寄って中道で、というところを維持しなくてはいけない。
宮家)私は大丈夫だと思います。
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