トランプ氏再選で米「NATO離脱」の可能性も 高橋洋一が持論

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数量政策学者の高橋洋一が11月22日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。G20首脳会議でオンラインで演説するプーチン大統領について解説した。

米オハイオ州で開かれた共和党候補の集会で演説するトランプ前大統領=2022年11月7日(ロイター=共同) 写真提供:共同通信社

米オハイオ州で開かれた共和党候補の集会で演説するトランプ前大統領=2022年11月7日(ロイター=共同) 写真提供:共同通信社

プーチン大統領、オンラインG20首脳会議で演説へ

ロシアのペスコフ大統領報道官は11月20日、プーチン大統領がオンライン形式で22日に開催されるG20首脳会議に参加し、演説すると発表した。G20首脳会議は2023年9月にインドで対面形式で行われたが、プーチン氏は2022年に続いて欠席し、オンラインでも参加しなかった。

飯田)ウクライナ侵攻後、欧米の首脳も招かれる主要な国際会議に参加するのは初めてだということです。「国内外へのアピールか」などと言われています。

高橋)インドで開催したときは、たとえオンラインでも出るのが嫌だったのですよね。今回はオンライン参加のようですが、議長国はどこなのでしょうか?

飯田)一応、今年(2023年)のG20議長国はインドです。

高橋)今回参加するということは、何か意味があるのでしょうね。

飯田)国際刑事裁判所(ICC)から訴追されていますので、ICC加盟国は一応、拘束する義務があります。南アフリカなども、それでBRICS首脳会議に「行く、行かない」ということがありました。

高橋)議長国であれば、最初に「あなたは指名手配されています」と言ったら面白いですけれどね。

飯田)プーチン大統領に対して。オンラインですからね。

注目が薄くなったウクライナ情勢

高橋)最近は中東に注目が集まってしまい、みんなウクライナ情勢を少し忘れていますよね。寒くなると、ぬかるみが出てきて、戦うのも大変だと思います。

飯田)ウクライナの反転攻勢について、ヨーロッパのなかでも「上手くいっていない」という指摘があります。

高橋)明らかに膠着状態に近いでしょうね。

飯田)軍側は膠着状態だと言い、ゼレンスキー大統領は「膠着していない」と主張するなど、路線対立があるという報道も出ています。

高橋)でも、反転攻勢が上手くいっていないのは確かです。

飯田)本来は南部のドニプロ川を越えて攻勢を掛けたい。でも、川は越えたけれど、そこまでいっていないようです。

ウクライナ支援についての新規予算を組むことが難しいアメリカ

高橋)アメリカの方も支援が先細りになりそうですよね。ウクライナも大変です。

飯田)アメリカ議会のねじれからくる、ウクライナ予算の問題があります。

高橋)イスラエルとハマスの情勢が加わってしまったので、ますます「ウクライナは欧州に任せた」という話になりがちですよね。

飯田)オースティン国防長官がキーウを訪問しましたが、その後、支援国会議にも出るとされています。ここでは「アメリカもやるけれど、ヨーロッパも頼むよ」というような話になるのでしょうか?

高橋)それはそうでしょう。アメリカ軍も多少は対応すると思いますが、新規予算が組めないと苦しいですよね。

飯田)他の国も何とか動いて欲しい。あるいはアメリカ国内でも、ウクライナやイスラエルに武器を出すと、自国の武器が足りなくなるという話もあります。

アメリカの東アジア方面への意識が手薄になっている

高橋)日本からすれば、台湾有事になったときに「どうするのだ」と思いますよね。やはり優先権があるから、現時点で行われている方が優先されるでしょう。台湾は焦っていると思います。

飯田)アメリカによる東アジア方面への意識が手薄になったら困る。

次期大統領選でトランプ氏が再選すればNATO離脱の可能性も

高橋)しかし、流石に3正面作戦は無理なので、ウクライナは欧州に任せる。あるいはアメリカがNATOから離脱するという話も出ています。トランプさんはそういうことを言い出しかねないですよね。そうすると、ますます「欧州は欧州で」という話になるかも知れない。

飯田)NATOからアメリカが離脱する可能性はあるのでしょうか?

高橋)まさかだけれど、議題に挙がると思いますよ。

飯田)もし政権交代して、トランプ氏が復帰すれば。

高橋)あり得ますし、少なくとも大きな問題になると思います。ヨーロッパのことはヨーロッパでやってくれと。

EUが欧州軍的になる

飯田)そうなると、EUは経済統合だけでなく、欧州軍的な発想になる。

高橋)アメリカとカナダが抜ければ、それはそれで1つのやり方ですよね。

飯田)フランスは昔から欧州軍構想のようなことを言っていましたが。

高橋)そういうときに日本が入るという手はあるかも知れませんね。ただ、日本は憲法上の制約があって、完全なる集団的自衛権を行使できないから無理だと思いますが。

飯田)いまの憲法では。

高橋)でも、そういうときに真面目な憲法改正の議論があれば、それはそれでいいと思います。こういう機会がなければ議論が進まないですからね。

飯田)衆参で憲法審査会が行われていますが、まだ緊急事態条項の話などは……。

高橋)第一歩だからいいですけれどね。

ロシア周辺がきな臭い

高橋)プーチン大統領が国際舞台に出るのは久しぶりですね。

飯田)中東に関してもG20では議題となるでしょうし。

高橋)ロシアの周りがきな臭いですね。ウクライナに加えて、イランの色がついたハマスに、あとは中国。要はBRICSメンバーの周りで、中国・ロシア・イラン周辺が何となくきな臭いですね。

飯田)そういう意味では、当事国ですからね。

高橋)G20は他の国も入っていますが、BRICSが中心になると、BRICSとG7で完全に二分化されるような気がします。

飯田)両陣営がグローバルサウスを取り合うような構図でしょうか。

高橋)インドやサウジなどはどうするのだろうと思います。

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