インドへ進出した「ある企業の成功」
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外交評論家で内閣官房参与の宮家邦彦が12月1日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。日本企業のインド進出について解説した。
インドのモディ首相がG20を評価
2023年の主要20ヵ国・地域首脳会議(G20サミット)の議長国を務めたインドのモディ首相が11月29日、議長国の任期を終えるにあたり、日本のメディアなどにコメントした。モディ氏は「世界の目を分断ではなく、1つになることに向けさせることを目指した」と強調した。
日本にとって大事なマーケットであるインド
飯田)宮家さんが産経新聞で連載するコラム「宮家邦彦のWorld Watch」では、前回と今回、インドについて書かれています。
宮家)この1ヵ月で2回行きました。たまたま東京のインド大使とお会いしたとき、大使が「とにかくインドに投資して欲しい。特に中小企業への投資を」という希望を持っていました。私もそれには賛成です。もちろん中国も大事な市場ではありますが、中国だけではなく、中国にプラスして東南アジア以外にも、やはりインドという非常に大きく大事なマーケットがあるわけです。
飯田)そうですね。
宮家)となると、やはり自分で見に行かなくてはいけないと思い、前回はニューデリーに行ったときのことを書きました。今回はベンガロールを訪問しました。ベンガロールはインド南部にあり、標高は九百数十メートルで、暑くも涼しくもありません。とても心地がいいのです。
飯田)高原のようなところなのですか?
宮家)外国人の関心や人気も高いので、必然的にITやハイテク産業が盛んになっていった、非常に勢いのある街です。そこに行ってきました。
ある日本企業の成功
宮家)ベンガロールでは、日本の大企業も頑張っていますが、見たかったのは成功している中小企業だったのです。そして、1つありました。ベンガロールの近くには工科大学がたくさんあり、多くの卒業生がエンジニアになります。そのなかで、向こうに拠点たちを置きながら遠隔で日本などへいろいろなサービスを行う新しいビジネスを考えた人がいて、その会社が見事な社屋を建てているのです。2005年から始めており、相当な期間が掛かっています。
飯田)20年近く。
宮家)その成功している日本企業のことを書きました。
インドでビジネスを成功させるために、「日本のことがわかるインド人のパートナー」がいれば鬼に金棒
飯田)コラムにはシステムコンサルタントの現地法人とあります。
宮家)関係者の言葉で印象に残ったのは、「小さくてもここまでできるのです」とおっしゃったことです。確かにインドは難しいところなのです。相手はインド人ですからね。
飯田)商習慣も違い、いろいろ難しいと聞きますね。
宮家)問題はたくさんあったのですが、彼らはそれを1つずつ克服していった。その努力が実っているのです。「やればできるのだな」と思いました。その代わり、インド人の特性を知り、内外のマーケットをしっかり知る。いちばん大事なのは、日本のことがわかっているインド人のパートナーがいることです。それがいたら鬼に金棒だと思いました。
飯田)現地に信頼できて、我々のこともわかっている人を置く。つなぎ役のような感じですか?
宮家)日本企業はクオリティや信頼や相互理解を大事にして、お客様に満足してもらわなくてはいけないわけです。インド人はある程度のことはできるけれど、きめ細かいサービスになると上手くいかない。その部分をつないでくれるインド人がいれば、日本のいいところとインドのいいところが合体します。そういうビジネスは、おそらく他にもあるのではないかと思います。
「ビジネスをインドで考える」というオプションもある
宮家)今回行ってみて、「ビジネスをインドで考える」というのも、1つのオプションだなと思いました。
飯田)やはりIT関連であれば、入り口としては入りやすいところがあるのでしょうか?
宮家)入りやすいです。ただ、英語で話さなくてはいけないし、英語は英語でも、インドの英語です。また、インド人の生活習慣や文化的な違いもあります。言葉として、同じ英語を使っていたとしても、違うことを考えているかも知れない。その部分を1つひとつ、齟齬がないように対応する。時間の掛かる投資だと思いますが、成功した例があり、今回それを自分の目で確認できたのが嬉しかったですね。
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