数量政策学者の高橋洋一が1月9日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。米民間企業が開発した月着陸船について解説した。
アポロ計画以来 アメリカで月着陸船を打ち上げ
アメリカのアストロボティック社が開発した無人の月着陸船「ペレグリン」が1月8日、打ち上げられた。アメリカの月着陸船はアポロ計画以来半世紀ぶりで、着陸が成功すれば民間企業で初めてとなる。
飯田)「アポロ計画以来」と言うと、すごく昔になりますね。
高橋)飯田さんは生まれていないのではないですか?
飯田)そうですね。高橋さんは鮮明に覚えていらっしゃいますか?
高橋)アポロ11号の月面着陸は1969年でしょう。中学2年でしたから、猛烈に覚えています。
飯田)そのころから考えると、50年以上ぶりです。
日本でも月面を目指す民間企業がある
高橋)民間だというところがポイントです。もはや民間でもできてしまうのですね。
飯田)日本のスタートアップ企業「ispace(アイスペース)」も、「HAKUTO-R」というプログラムで月への着陸に挑んでいるそうです。民間でこういうことをやる時代になったと考えると、大分違いますね。
高橋)でも民間となると、どういう利益になるのでしょうか。資源なのですかね?
飯田)月の資源を求めて、というところなのか。月面に補給所などが設置できれば、火星に向かうロケットを搭載できるなど、壮大な夢があるのですかね。
高橋)火星に行って何をするのでしょうか?
飯田)火星探査が本格化することになるのか。火星に人を送り込むなど、そういう時代になるかも知れません。
高橋)いつか地球に住めなくなったら、ということはありますけれどね。火星に住むのは大変ですから。でも、夢があっていいですね。こういうことによって、いろいろな科学技術が発達するのは間違いありません。
10兆円規模の基金でも1年間に利回り分だけしか使えなかった「大学ファンド」
飯田)日本も科学技術に関しては、いろいろと予算をつけています。高橋さんも資産10兆円規模の「大学ファンド」という基金に携わっていましたが、いかがですか?
高橋)「基金は全部使い切ってしまえばいい」と思っていましたが、使い切らずに「利回りだけを使う」などとセコイ話をするから、驚いてしまいました。10兆円つくったのだけれど、そんなものは10年ぐらいでなくなるだろうと考えていました。
飯田)1年に1兆円ぐらい使って。
高橋)それがずっと残っているから、「何だこれは」と思いましたね。
飯田)なかなか支出されないところがありますか?
高橋)基金を残しておいて、利回り分だけしか使わないから、すごく使い勝手が悪いですね。使い切ってしまう形にして、例えば5年で使い切れば、2兆円ずつ毎年使えるでしょう? でも、利回りだけなら数千億円ですよ。5%で回したって1年に5000億円しか使えない。
飯田)規模が変わってきますね。
高橋)全然違います。
飯田)でも、なぜ元本に手をつけないのでしょうか。使いづらいのですか?
高橋)途中でそうなってしまったのだけれど、私も経緯がよくわかりません。
飯田)そういう規約にしてしまったのでしょうか?
高橋)あるときに「何か違うな」と思ったら、そうなっていました。
残っているのは利回りだけを使う基金ばかり
飯田)それだけ資金があれば、いろいろなところに集中投資できるかも知れないですよね。宇宙もそうですけれど。
高橋)使い切りにした方がすっきりします。使い切りにしたところで、財政的には影響がありませんから。
飯田)予算的には、基金に予算を入れた時点で執行済みという形になるのですか? 「あとは基金の方で差配してください」という感じで。
高橋)本当は、最初から使い切ることを前提に組めば、何年かしたらもう1回、国債を発行して、また基金をつくるだけなのですが。国債を発行して基金をつくる形にしなかったということですかね。安倍元総理も「なぜこうなったの?」という感じで、怪訝そうにしていましたよ。
飯田)そうだったのですね。もともと「単年度予算では長期投資ができないけれど、基金でやればもっと柔軟にできる」という発想だったはずですよね?
高橋)基金でやるとき、「使い切るか、基金を残して利回り分だけでやるか」ということで大きく違うのですよ。
飯田)いま、いろいろな基金ができていますが、利回りだけで進めているところが多いのですか?
高橋)そればかりです。使い切った方が、例えば5年で使い切ると、コストパフォーマンスを計算できるのですよ。「このようにやって、こういう成果があった」とできればいいのに、そうなっていないですね。
飯田)手仕舞いすると「誰がよくて、誰が悪かった」ということがわかってしまうからですか?
高橋)「それでいい」と思ったのですが、意外とそうなっていません。
飯田)何だかもったいない話ばかりですね。
高橋)もったいないですね。
番組情報
忙しい現代人の朝に最適な情報をお送りするニュース情報番組。多彩なコメンテーターと朝から熱いディスカッション!ニュースに対するあなたのご意見(リスナーズオピニオン)をお待ちしています。