戦略科学者の中川コージが1月23日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。青山繁晴参院議員ら有志議員が立ち上げた「政治変革会議」について解説した。
派閥の全廃を主張し、自民党に新しい議連発足
自民党有志の議員連盟は1月22日、派閥全廃の実現を目指す「政治(まつりごと)変革会議」を立ち上げ、代理を含め15人の衆参両院の議員が出席する初会合を開いた。会合では青山繁晴参院議員が代表に就く人事を承認。また和田政宗参院議員が事務局を務める。法改正に基づいた派閥の全廃と国会議員の在り方をめぐる提言を早期に作成する。
飯田)麻生派からも議員が参加し、大臣経験者もいると言われています。また、「政治変革会議」とは別の議員グループもあり、自民党が動いてきました。岸田総理が「自分の派閥を解散する」と記者団の前で言いましたからね。
「総裁選」というカードを自ら潰した岸田総理
中川)すごいですね。何年も停滞していたものが、2023年の政治資金問題から一気に動いてきた印象です。岸田首相自身のシナリオとして、選択肢は狭まったと思います。
飯田)選択肢は狭まった。
中川)自派閥の解消と同時に、それ以外の派閥も解消されたわけです。そうなると間違いなく、総裁選で自分が支えられにくくなる構造を自分からつくったわけですし、これまでの体質上「支えていきたい」という構造が崩れていく。当然、派閥からは不満も出てきます。以前、この番組で「総裁選突破内閣」と若干批判めいたことも含めて話しましたが、その「総裁選」というカードを潰したわけです。残っているのは「総裁選前の総選挙」になるので、すごく「ブチ切れたな」という印象です。
一か八かの総選挙を狙う岸田総理
飯田)全体の政党支持率や内閣支持率は下がっていると言われますが、岸田総理が派閥を解消したことに対しては、6割くらいが賛同しています。これに関しては岸田総理の狙いが当たりつつあるのでしょうか?
中川)今回、岸田さんが派閥を解消しなければ、総裁選は勝てても、その後の総選挙で負ける恐れもありました。なおかつ自分の意思決定が通らないような、がんじがらめの状態になっていたとよく言われます。だとすれば、「一か八かの総選挙を狙ってみた」という可能性もあります。自民党もろともになるので、他の自民党議員からすると、たまったものではないでしょうけれど。もちろん、それとは別に政治資金問題は正された方がいいと思っている議員はいますが。
飯田)一か八かの大勝負をかける、「そんな人だったのか」と思います。
続投の道と自分の党内での権力基盤を強化するには派閥解消しかない
中川)そこまで追い込まれたということもあるのでしょうね。党内でも周りがあまり言うことを聞いてくれないし、支持率もこれだけ下がってしまった。元々キレやすかったかどうかは別としても、そこまで追い込まれた状況だったのだと思います。
飯田)自分の派閥も人数が多いわけではありませんし、数の論理というわけにもいかず、いろいろなところに気を使ってきたのに。
中川)自民党も議席を大分減らすかも知れませんが、「続投の道と自分の党内での権力基盤の強化はこれだ」という。そういう意味では合理的だと思います。
「党が一丸とならざるを得ない状況をつくる」ことには成功
飯田)一方で、マイクロマネジメントは上手いとも言われています。
中川)本当に上手いのであれば、党内での権力基盤をここまで減らすこともなかったと思うので、そういった意味では上手いとは思えません。しかし、どうにもならない状況で自爆も含め、「党が一丸とならざるを得ない状況をつくってやる」という動きは、結果的に成功したような気がします。
飯田)確かにそうですね。
中川)有権者がどう判断するかは別の話で、一方では「結局、政党内だけで動いている話だ」「派閥を解消しても意味がない」という批判もあるわけです。だから総選挙で自民党が勝つかどうかはわかりませんが、首相のなかでは合理的であったのだと思います。
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