京都市長選挙「初当選」松井孝治氏 オーバーツーリズム対策「2つの案」を語る

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京都市長選挙で初当選した松井孝治氏が2月5日、ニッポン放送「新行市佳のOK! Cozy up!」に出演。京都市長選挙について、また、オーバーツーリズム等の対策について語った。

「京都市長選投開票」当選を決め受け取ったタイを掲げる松井孝治氏=2024年2月4日午後11時28分、京都市中京区(柿平博文撮影) 写真提供:産経新聞社

「京都市長選投開票」当選を決め受け取ったタイを掲げる松井孝治氏=2024年2月4日午後11時28分、京都市中京区(柿平博文撮影) 写真提供:産経新聞社

京都市長選挙、松井孝治氏が初当選

2月4日に行われた京都市長選挙は自民党、立憲民主党、公明党、国民民主党が推薦した元官房副長官の松井孝治氏が初当選した。今回の京都市長選挙は自民党派閥の政治資金規正法違反事件が表面化して以降、初の政令指定都市の市長選挙でもあり、行方が注目されていた。5人が立候補し、初当選した松井孝治氏が17万7454票、最後まで争った共産党が支援する福山和人氏が16万1203票と、接戦が続いた。

新行)いまの率直なお気持ちはいかがですか?

松井)多くの方々のご支援に心から感謝します。それとともに、現在、厳しい政治不信があります。国政の問題と地方選挙は違うとはいえ、有権者から見れば同じ選挙ですから、厳しい目が向けられていると私自身、実感いたしました。

新行)厳しい目が向けられるなかで、どんなことを訴えたのでしょうか?

松井)幅広い党派でお選びいただいたのですが、学生さんや商店街の方、文化人の方が入った「文化首都京都の市長候補を京都市民で考える会」にご推挙いただきました。また私自身、京都市の市政について強い危機感を持っていますから、そこを真剣に訴えました。そのなかで、私のことを自民党の候補として見られる動きがありましたので、厳しい政治不信は日々、痛感していました。

自民党派閥の裏金問題で逆風にさらされた松井氏

ジャーナリスト・須田慎一郎)今回驚いたのは、選挙管理委員会の最終的な結果発表は午後11時だったと思いますが、その数秒前にようやく「当選確実」が出ましたよね。このときの心境を教えてください。

松井)ホッとしました。また、私は参議院議員だったのでよく覚えていますが、現職(京都市長)の方の最初の選挙でも、実は951票差だったのです。しかも、当時は共産党が推薦していた候補者と、それ以外の「オール京都」と言っていましたけれど、その対決で951票差でした。その例があったので、私は正直、12時くらいになるのではないかと思っていました。

須田)京都の人以外から見ると違和感があったかも知れませんが、今回の松井さんの場合は立憲民主党、自民党、公明党と、本来なら国政で対立する政党から推薦を受けています。京都市民の受け止め方はどうだったのでしょうか?

松井)自民党の政治資金問題に対し、立憲民主党の方が国政で追及している状況があるにも関わらず、京都で一緒にやっていることについてのご批判はあったと思います。

官房副長官時代を知らない若い人へは「何をしていたのか」から説明

須田)加えて松井さんは、久方ぶりに政治の第一線へ復帰されます。ポイントだったのは、松井さんの官房副長官時代を知らない若い世代だと思いますが、この辺りの反応はいかがでしたか?

松井)まずは、本当の新人になったつもりで取り組みました。私自身、自分の名前を書いていただく選挙は17年ぶりなので、若い方々は私のことをご存知ありません。ある程度の年齢層の方は「よう帰ってきたな」とか、「あのとき民主党で出ていたのに、今度は超党派で出るとはどういうことか」と説明を求められるなど、ご存知の方もいらっしゃいます。しかし、若い方々は私が政治家だったことを知りませんので、自分の名前を浸透させ、「どんな政治家で、何をしていたか」という説明から始めなければなりませんでした。でも、それは必要なことだと思います。

オーバーツーリズムの問題をどう解決するのか

須田)当選後のことですが、市民生活を考えていくと、福山候補も訴えていたように、オーバーツーリズムの問題があると思います。それについてはどう対応していくのでしょうか?

松井)京都だけではなく、鎌倉などもそうですが、京都は人口約144万人で、そこに約5000万人の観光客がいらっしゃるわけです。例えば東山のエリアには清水寺があり、八坂神社があり、知恩院があります。このエリアの人口わずか3万5000人のところに、統計はありませんが約5000万人のうちの相当数が来られるのです。約3万5000人の町に年間3000万~4000万人の方が来られると、どれだけ市民生活を圧迫するのか、謙虚に受け止めないといけません。観光都市ではありますが、市民生活が圧迫されて、一部の市民の方々には「懲り懲りだ」という気持ちが生じているのです。「市民の足をどう守っていくか」を真剣に考え、すぐにでも解決策を具体化させる必要があると思います。

「観光専用路線」と「観光客と市民の運賃価格を変える」という2つの案

須田)何かアイデアはあるのでしょうか?

松井)「観光専用路線」の実現です。いまの法律だと専用のものはできませんが、観光地のみをつなぐエクスプレスラインを、ダイヤ改正で1~2つの路線で実験的に試行するということです。市民の方も乗りたい方は乗れるのですが、少し高めの値段を設定する。いま230円のところを例えば500円いただき、その代わり観光地のみに急行で停まる。

須田)なるほど。

松井)また、これはチャレンジングな課題であり、道路運送法の改正が必要ですが、市民の方と観光客で料金を分けるやり方です。マイナンバーカードに紐付けし、関東で言うところのSuicaやPASMOで認識して、市民は一定の料金にする。観光客は普段税金を納めているわけではないので、少し高い料金を設定する。法改正と、新しいカードリーダーのシステムを導入する必要はありますが、「観光客と市民の価格を変える」という試みを検討できないかどうか、国に働きかけてみたいと思います。

若年層の人口流出の問題

新行)京都は大学の町というイメージもありますが、若年層の人口流出が問題になっています。

松井)大学を卒業する80%以上の学生が、京都のことは大好きだけれど、京都を離れざるを得ないという状況があります。まず、賃貸にしても将来ローンを組むにしても、住宅価格が高い。また大阪や東京に比べ、学生が就職したいと思う仕事が不足しています。それを中長期的につくらなければならない。短期的には、ミスマッチを解消するためのインターンを企業に働きかけ、地域としてのインターンの受け入れを拡大していく。あるいは住宅を安く提供するような空き家バンクや、公営住宅のリノベーション。さらに言うと、街づくりですね。京都は歴史があるので一部、京都の中心部でも開発が遅れている地域があるのです。そういう新しい街づくりも行う必要があると思います。

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