日韓関係を上手くマネージしている岸田政権 「竹島の日」記念式典開催

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慶應義塾大学教授で国際政治学者の細谷雄一が2月23日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。「竹島の日」記念式典開催について解説した。

2023年5月7日、日韓首脳会談~出典:首相官邸HPより(https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/actions/202305/07korea.html)

2023年5月7日、日韓首脳会談~出典:首相官邸HPより(https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/actions/202305/07korea.html)

「竹島の日」記念式典開催

飯田)島根県は、明治時代に竹島を県の所管とした2月22日を、条例で「竹島の日」と定めています。式典には内閣府の平沼政務官が派遣されました。韓国外務省は日本大使館の総括公使を呼び、抗議したそうです。最近の日韓関係はトップ同士の関係も良好ですが、いままでと対応が違うのでしょうか?

細谷)先日、韓国国内で世論調査が行われましたが、日本に対する印象がいいという数字が、かつてないほど高いです。韓国政府としては、アメリカ大統領選挙でトランプ氏が勝つ可能性があり、現在のよい日韓関係の状態を壊したくない。それは韓国側も非常に強い認識を持っていると思います。

飯田)いままでなら、韓国外務省には日本大使が呼ばれたのかも知れませんが、今回は総括公使を呼んでいる辺り、関係のよさを表しているのでしょうか?

細谷)韓国国内のメディアが取り上げないような形で、いろいろと努力しているのかも知れません。

韓国の進歩系に大きなダメージとなる北朝鮮の「南北統一政策」放棄

飯田)韓国も今年(2024年)は総選挙があり、政治の季節が訪れます。特に安全保障面では北朝鮮の対応も変わってきており、日韓一体で取り組まなければいけない部分が大きいですか?

細谷)北朝鮮が先日、「将来的に韓国との統一を目指さない」という声明を出しました。韓国は敵対国であり、北朝鮮は「韓国と和解する意思がない」ということです。これは北との融和を象徴的に掲げてきた韓国国内の左派・進歩系にとって、非常に大きなダメージです。一方、現政権が日本に甘いので、おそらくは歴史認識問題も含め、これから現政権を批判するのではないでしょうか。

飯田)北の強硬姿勢は尹錫悦政権にとって、完全に悪いものでもないのでしょうか?

日本との関係は慎重にマネージし、北朝鮮には毅然として向き合うことを基本姿勢とする尹錫悦政権

細谷)いまの韓国政府は「自由」という言葉とともに、民主主義諸国との協力、特にアメリカと日本との協力を最大限に掲げています。進歩系からすれば、それを壊すための最も便利な道具として、歴史の認識問題があるわけです。

飯田)進歩系にとっては。

細谷)進歩系は領土主権の問題、歴史の問題を取り上げたい。一方で北とは和解したいわけです。そういった意味では、現政権はとにかく日本との関係を慎重にマネージし、北に対しては毅然として向き合うというのが基本姿勢だと思います。

従来の日本の立場を変えず、上手く日韓関係をマネージしている岸田政権

飯田)日本側が協力しようとする際、徴用工や自衛隊哨戒機へのレーダー照射問題など、未だに棘が刺さっている部分があります。その辺りも尹錫悦政権は慎重にマネージしていくのですか?

細谷)韓国では、「日本はほとんど譲歩していない」という不満が強くあります。この間、岸田政権は従来の日本政府の立場をほとんど変えていないのです。日本は立場を変えず、韓国が柔軟になったという意味では、岸田政権は日韓関係の問題を上手くマネージしていると思います。「一方的な譲歩はしていない」ということです。

飯田)岸田政権は外交に関して言うと、いままでの路線を踏襲しながらうまいこと進めているのですか?

細谷)そう思います。

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