Tokyo cinema cloud X by 八雲ふみね【第1215回】
シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信する「Tokyo cinema cloud X(トーキョー シネマ クラウド エックス)」。
今回は、現在公開中の『十一人の賊軍』と『イマジナリー』をご紹介します。
『十一人の賊軍』こんなところで死んでたまるか!
『日本侠客伝』シリーズや『仁義なき戦い』シリーズなどを手がけ、東映⻩⾦期の礎を築いた脚本家・笠原和夫。彼が1964年に執筆した幻のプロットをもとに、白石和彌監督が映画化した『十一人の賊軍』。1868年、戊辰戦争の最中に起こった歴史的な事件を背景に、憎き藩のために命をかけて砦を守らなければならない罪⼈たちの葛藤を描き出したサバイバル・アクション時代劇です。
『十一人の賊軍』のあらすじ
鳥羽・伏見の戦いをきっかけに、薩摩藩・長州藩を中心とする新政府軍「官軍」と、旧幕府軍による戦争が勃発する。
陸奥国・出羽国・越後国の諸藩は官軍に対抗するため、奥羽越列藩同盟を結成。その同盟にやむなく加わることになった新発田藩だったが、新発田藩家老・溝口内匠は、密かに官軍への寝返りを画策していた。そんな折、新発田藩内で奥羽越列藩同盟軍と官軍が鉢合わせになりかねない絶体絶命の事態に。
なんとしても戦火を免れなければいけないと考えた溝口内匠は、一計を案じる。
それは、官軍の進撃を食い止めるために砦を守ることだった。この決死の護衛作戦に集められたのが、十一人の罪人たち。殺人、賭博、火附け、密航、姦通…。様々な罪状を持つ彼らは、「砦を守り抜けば無罪放免」という契りを信じて、過酷なミッションに挑む……。
『十一人の賊軍』のみどころ
ダブル主演を務めたのは、山田孝之と仲野太賀。山田孝之は妻を寝取った新発⽥藩⼠を殺害したことから罪人となった政役を、仲野太賀は剣術道場の道場主・鷲尾兵士郎役を熱演しています。
また賊軍として戦う罪人集団には尾上右近や岡山天音、千原せいじ、鞘師里保、佐久本宝、⼀ノ瀬颯、松浦祐也、⼩柳亮太が集結。
ここに、京都東映撮影所を拠点に活動する殺陣技術集団・東映剣会のメンバーである本山力が加わり、気迫あふれる見事な立ち回りを披露。その達人技は必見です。
さらに野村周平、音尾琢真、玉木宏、阿部サダヲといった実力派俳優たちが、罪⼈たちの運命と深く関わりを持つ⼈物として登場。
様々な思惑が絡み合う重厚なドラマが繰り広げられます。
“ハリウッドの破壊王”マイケル・ベイ監督もビックリの火力強めの爆破シーンに、体を張った本格的な殺陣。迫力あるシーンの連続に、観る者のボルテージもヒートアップ。中でも戦闘シーンでの音圧が半端なく、大砲を打つたびに轟音が鳴り響き、思わず耳を覆いたくなるほどの衝撃。まるで戦場のど真ん中に放り出されたような没入感があり、これまでにない映画体験を味わうことが出来ます。
それと同時に、登場人物のひとりひとりが「何故、このような選択をしたのか」という背景も丁寧に描かれており、人間ドラマとしても秀逸な一作となっています。
罪を犯したことで死を目の前に突きつけられた者たちが、無謀な戦いに挑む。自らの正義のために、生きるために。
アンチ・ヒーローたちのサバイバル時代劇。きっとあなたの魂をも揺り動かすはず。
『イマジナリー』可愛いテディベアが戦慄の恐怖を巻き起こす!
家の地下室で見つけた、古びたテディベア。少女はテディベアに“チョンシー”と名付けて可愛がるが、次第に家族に異変が起こり始め……。
『M3GAN ミーガン』『ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ』などを生み出したブラムハウス・プロダクションズと、『ソウ』『ハンガーゲーム』シリーズなどを手がけたライオンズゲートがタッグを組んだ話題のホラー映画『イマジナリー』。
魂が宿り、意志を持ってしまったテディベアが巻き起こす怪奇現象の数々に、背筋が凍る! 可愛いけれど闇を秘めたテディベア。あなたも一緒に遊んでみる?
<作品情報>
十一人の賊軍
全国公開中
出演:
山田孝之 仲野太賀
尾上右近 鞘師里保 佐久本宝 千原せいじ 岡山天音 松浦祐也 一ノ瀬颯 小柳亮太 本山力
野村周平 音尾琢真 / 玉木宏
阿部サダヲ
監督:白石和彌
原案:笠原和夫
脚本:池上純哉
音楽:松隈ケンタ
配給:東映
(C)2024「十一人の賊軍」製作委員会
公式サイト https://11zokugun.com/
<作品情報>
イマジナリー
2024年11月8日(金)から全国ロードショー
出演:ディワンダ・ワイズ トム・ペイン テーゲン・バーンズ パイパー・ブラウン ベロニカ・ファルコン ベティ・バックリー
製作:ジェイソン・ブラム
監督:ジェフ・ワドロウ
脚本:ジェフ・ワドロウ&グレッグ・アーブ&ジェイソン・オレムランド
原題:IMAGINARY
配給:東宝東和
(C)2024 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.
公式サイト https://imaginary-movie.jp/
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連載情報
Tokyo cinema cloud X
シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。
著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/