「日本のことを第一に考えている。」 J1名古屋DF・田中マルクス闘莉王(35歳) スポーツ人間模様

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写真提供:産経新聞社

きのう28日、愛知県豊田市で行われた闘莉王(トゥーリオ)の復帰会見。
久々にみたその表情は自信に満ちあふれていました。

「オファーの電話がかかってきたのは、8月21日。助けてほしい。だから、とりあえず飛行機に乗ってくれ。」

SOSが届いたのは、肉屋で買い物中のこと。
3月にアリエレ夫人と結婚し、9月11日に第1子を出産予定で、普通なら、家族を優先するはずですが、そこは男気、たぎるような闘争心を早くもみせている。

名古屋は18戦も勝利から見放され、どうしようもない状況で、このまま手をこまねいていれば、初のJ2降格が待っています。
小倉監督の休養を決めたのは、闘莉王復帰への布石。
奇しくも同じ愛知を本拠地にする中日ドラゴンズの‘成績不振で谷繁監督休養’と酷似した状況でした。
ともに、休養とはいうものの実質は解任ですが、指揮官をクビにしてもカンフル剤にはならないのが勝負の世界。
そこで名古屋は、ゼネラルマネジャー兼任の小倉前監督と反りが合わず、肩たたき同然で退団へ追い込まれた、元チームリーダーへ助けを求めたのです。

昨年11月から闘莉王は今季の契約交渉を行ってきました。
とはいえ提示された条件は1億円減額で新年俸は5,000万円でした。
プライドの高い闘莉王は「やっていられない」と今年1月9日退団。
昨シーズンは故障もなく、ソコソコの活躍をしていただけに、まさかヤメるとは誰も思っていません。

加えて、時期もまずい。各チームが編成を終えており、闘莉王へオファーを出したのは、J3の鳥取だけでした。
元日本代表監督の岡田武史さんからは、「絶対に(選手を)やめるな。」と電話があったそうです。

闘莉王の国籍は日本。
でも将来を考え、故郷のブラジルで、着々と第2の人生を送るためのプランをスタート、実家へガソリンスタンドの経営を任せ、自身は複数の牧場を購入していよいよこれからというところでした。

「人生の半分以上の18年を日本で過ごした。その内、15年はJリーガーだったから、日本のことを第一に考えている。妻を説得できないまま、帰ってきた。ものすごく怒っている。けさも怒られたよ。」

契約は来年1月まで。
給料は2,000万円程度と推定されますが、本人のやる気はとにかく凄く、27日の試合も出場するつもりだったそうです。
ところが何分、急な話で登録が間に合わず、復帰は9月10日の新潟戦。
チームは年間16位で15位の甲府には、残り7試合で勝ち点7差を逆転する必要があり、全勝のつもりで死力をつくさなければ、J2へ陥落です。
もしも闘莉王が加わった10日に敗れるような事態になれば絶体絶命です。
サポーターの多くが、「あと1カ月、フロントが速く決断を出していれば…」と嘆いているのは、ごもっとも。

幸い、背番号4は空番でした。
ジェロブスキー新監督は、「彼のファイティングスピリッツに期待している。」と祈るような心境。
復帰を快諾され、あまりのうれしさで、極秘だった闘莉王の加入のビッグニュースを漏らしてしまった張本人はこの新監督でした。

8月29日(月) 高嶋ひでたけのあさラジ!「スポーツ人間模様」

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