奇跡を願わずにはいられないクリスマスにうってつけのお芝居を観ませんか?!【ひろたみゆ紀・空を仰いで】

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クリスマスまで、カウントダウンが始まりましたね。
この時期をもっとスリリングに、ハラハラドキドキしながら過ごしてみませんか?

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キャラメルボックスの2016クリスマスツアー『ゴールデンスランバー』が始まりました。
このコラムでも何度か紹介している演劇集団キャラメルボックス。
今年で31年目。20年程前からは、春の公演からほぼ1年中休みなく稽古と本番を続け、クリスマス公演を迎えています。
「1ステージ完全燃焼」の基本はずっと変わりません。もちろん『ゴールデンスランバー』も!

原作は、2007年に出版された伊坂幸太郎さんの小説『ゴールデンスランバー』。本屋大賞と山本周五郎賞を受賞しています。中村義洋監督、主演は堺雅人さんで映画化もされたので、ご存知の方もいらっしゃいますよね。
語り手がそれぞれ違う5部に分かれた長い物語が2時間の芝居になるなんて、とても不思議でしたが、観て納得!いえ、素晴らしい感動を頂きました。

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その日、杜の都・仙台では、地元出身の総理大臣の凱旋パレードが行われていました。宅配便ドライバーの青柳は、大学時代の友人森田に呼び出されます。森田は青柳に「お前は首相暗殺犯に仕立てられる」と言いました。ちょうどその時、近くで大きな爆発音が轟きます。ラジコンヘリが首相を直撃して、爆発したのです。驚く青柳の前に警官が現れ、拳銃が向けられます。思わず青柳が逃げ出すと、背中から発砲!青柳が逃げ惑う中、やがて青柳が現場付近にいたこと、ラジコンヘリを購入したことなどが次々と報道されます。青柳には身に覚えがありません。どういうことなのでしょう…果たして青柳は逃げ切れるのでしょうか?

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脚本・演出の成井豊さんは「原作はシーン数が200位ある。その中で切りたくないシーンを残して、やっと41にまで絞った。全ての場面が全部みどころ」と語っていますが、本当にどこも目が離せません。ハラハラドキドキ、全力疾走のスピーディーな展開はキャラメルボックスの持ち味。そして、今回は全体に人の優しさが溢れているお芝居に仕上がっています。見終わった後は、その優しさが人をさらに強く素敵にしてくれるんだと確信できます。

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41もシーンがあるので、舞台転換の仕方がとってもユニーク。そしてユニークといえば、今回は劇中、客席から撮影OKなシーンがあるのです。スクリーンに合図が流れるとお客様が一斉にスマホを取り出し、パシャパシャ撮り始めます。とても面白い風景でした。舞台と客席が一体となって楽しめます。

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『ゴールデンスランバー』は、スリルとサスペンスに溢れた心優しき男の逃亡劇!気がついたら拳を握って心の中で青柳を精一杯応援していました。登場人物もちょっぴり風変わりで魅力溢れる人たちばかりです。
世の中にはいろんな人がいて、それぞれいろんな事情があるけれど、それでも人を信じたいと思わせてくれます。1年の締めくくり、そして奇跡を願わずにはいられないクリスマスの時期にうってつけのお芝居です。

キャラメルボックス2016クリスマスツアー『ゴールデンスランバー』
クリスマス当日25日まで、池袋のサンシャイン劇場で上演。

撮影:伊東和則

レポート:ひろたみゆ紀

ひろたみゆ紀,空を仰いで

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