3/30(木)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ！』今日の聴きどころ！①
世界と日本で違う“ロシア”という国の見方
6:29～ニュースやじうま総研ズバリ言わせて！：コメンテーター佐藤優(作家･元外務省主任分析官)
ロシア革命100周年！80都市で反プーチン政権デモ高嶋）言われてみてそうかい、と思ったのですけど、ロシア革命から2017年で丁度100年なのですね。
佐藤）そうですね、100年になりますね。
高嶋）それと皆ダブって記事を書いているのですけど「反政府デモ」「首相へ退陣要求」「プーチン政権対応に苦慮」なんつって、ロシア80都市で市民が結集、蜂起とは書いてないのですけど、これはどう読んだら良いのですか？
佐藤）これ私は少しうがった見方をしているのです。というのは、まずプーチン大統領に対する批判が抽象的。「プーチン無きロシア」とか「プーチンに反対する」とか、具体的な話が無い。プーチンが何をやったのをやめろとかが全く無い。それからもうひとつはロシアの諜報機関、秘密警察の能力を考えれば盗聴していますからね。このデモをやらせないのであれば事前に拘禁することができるのですよ。「アレクセイ・ナワルニーに！」と言っても。
高嶋）SNSなんかで全国に拡散しちゃって……。
佐藤）だからそういった理由を付ければ良い訳ですよ。要するに民族憎悪を煽るような先導をしたと言って適用法規はありますからね。事前に捕まえて檻に入れてしまえば良いのですよ。「ナワルニーに」と発信する人間を。そういうやり方よくやるのですよ、ロシアは。それから、デモに集まるでしょ。そうしたら30人くらい集まった所で拘束して護送車に入れてどんどん郊外に出してしまうのです。そういう風にして1000人集まらないようにすれば集会ってできないのですよ。それがロシアにはできる。
高嶋）それが（デモが）やれているということは何か裏があるということですか？
佐藤）デモがやれているということにはもちろん裏があるのですよ。というのは、メドヴェージェフ首相があれだけの豪邸を他人名義で持っているとかヨットを持っているって、どこからの情報なのですか？ 本人喋ります？ それを知っているのは捜査機関か秘密警察ですよ。じゃあそれはクレムリン、プーチンの了承無くして流します？ その情報を。
私はうがって見ているのですよ。来年の3月にロシアは大統領選挙でしょう。皆プーチンが圧倒的に強いと思っているのですが、実は前大統領だったメドヴェージェフになって若返りをした方が良いと考えている経済人とか役人がけっこういるのですよ。
欧米にとってはプーチンよりもメドヴェージェフ佐藤）それから欧米諸国ね。欧米諸国はプーチンよりもメドヴェージェフが良いと思っているのが殆どなのですよ。日本だけが違うのです。どうしてかというと、日本だけが北方領土問題に関する、メドヴェージェフは最強硬派だから。ですから恐らくこれはクレムリン初のメドヴェージェフ潰しだと思いますね。
高嶋）ということは、新聞で今ヒーロー扱いされているアレクセイ・ナワルニーというのですか、この人がいわゆる“仕掛け人”みたいに言われていますけも。
佐藤）この人間が、なんというか軽いのですよ、騒ぎ屋なのですよ。だからこの人間にこういう情報を落とせばどういう動きをするというのは、これ秘密警察は分かっていますから。だから秘密警察の掌の上でこのおじさんは踊っているという、まあいつものことだと思いますけどね。
高嶋）ということはそのプーチンさんというのは、まあ恐ろしいぐらいの深謀遠慮ですね。
佐藤）深謀遠慮というか、プーチンさんが逆に独裁者じゃないから豪邸なのですよ。プーチンさんの周辺に5～6つのグループがいるのですよ。そのそれぞれがプーチンを独裁者と見せておいた方が良いと。となると別の利権集団が、あるいはその利権集団の一つか二つがメドヴェージェフを独裁者と見せておいた方が自分たちの利権にとって得と思えば、そうとやりかねないのですよ。だからその意味においてはプーチンの権力基盤というのは不安定なバランスの上に乗っているのですよね。
プーチン政権の絶妙なバランス高嶋）ついつい日本ではあまりロシアのことが分からない、僕なんかから見るとプーチンさんなんか長いし、元KGB（旧・ソ連国家安保委員会）だしね。
佐藤）だから長いというのは良くバランスを取っているということなのですよね。それはKGBだったというイメージを緩めるということと、それから“絞める”所のバランスを取っていた。しかも見えないようにやると。こういう感じですよね。
高嶋）そういう怪しい所ばっかりを、なんというか裏側を感じてしまうものですから。
佐藤）だから本当に体制の危機だと思ったら「あいつうるせえな」とか「静かになったら嬉しいんだけどなあ」とか言ったら殺してしまいますから。
高嶋）簡単ですね、事は簡単（笑）。
佐藤）だからそういう所で「ナワルニーに」と言っている人が生き残っているということも持ちつ持たれつなのですよ。
高嶋）じゃあけこうこれ“世論づくり”みたいな所もある訳ですか。
佐藤）あります。きれいごとじゃないですこれは。あの国ってそういう国なのですよ。それを見ると籠池問題なんていうのは非常に真っすぐで素直な問題に見えますよね。
高嶋）日本はかわいいですよね。
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