緊張する間もなかった! 巨人・篠原槙平投手(26歳) スポーツ人間模様

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人生最良の日は、いきなり訪れます。19日のヤクルト戦。巨人の先発は高木勇でしたが、2回の攻撃で送りバントを試みた際、右指を負傷するアクシデント。篠原投手が緊急登板の指名を受けました。

「緊張する間もない。おかげですんなりと試合へ入ることができた」

と言います。

球団初の育成出身選手、プロ初登板初勝利。

「うれしい、のひとことでは、表すことができない」

と語るほどでした。

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プロ初勝利を挙げ、ウイニングボールを手にポーズをとる巨人・篠原=2017年4月19日 鹿児島 写真提供:共同通信社

愛媛県四国中央市出身で、軟式野球を始めたのは小学2年。中学ではボーイズリーグで才能が開花して、愛媛県立川之江高へ進学しました。1年から県大会ベスト4、四国大会ベスト8など、将来が楽しみなピッチャーだったのですが…。

岐路に立ったのは、高校2年の10月。練習のミスで、よく言われる、かわいがりを行ったことが発覚します。篠原個人が関わったかは明らかにされなかったものの、対外試合禁止6カ月の処分を受け、多くの野球部員が退学や退部することになった。プロを目指す高校生にとって、これはもう、夢をあきらめることと同様でしょう。

悩んだ結果、転校して野球を続ける道を選びました。通信制の今治精華高で勉強しながら、四国独立リーグの愛媛でプレー。ただ、中退後、3シーズン経過しなければドラフトにかけられない決まりもある。石の上にも3年のたとえ通り、3シーズン目、プロスカウトの目にとまりました。阪神、ソフトバンクとの2軍戦で好投。公式戦でもリーグを代表する逸材と評判が急上昇します。

しかし、好事魔多し。右肩に痛みを感じるようになった。「肩が痛いなんて、言っていられない。NPBへ行く」と我慢してやっていたら、10メートルも投げられなくなった。すると、潮が引くように、スタンドで見られたスカウトの姿はいつしか1人もいなくなってしまったのです。

そして10年のオフに手術。ただし、本格的なピッチングができるようになるまでには、約2年間もかかった。独立リーグ時代は、2度の契約解除で練習生から這い上がりました。

最大の転機は、香川時代、元広島で活躍した西田真二監督から14年、抑えの適性を見出されたことでしょう。1イニング15球。篠原は登板の7時間前から、投げる準備を行い、球速が見違えるように良くなった。この年の育成枠1位で指名を受けます。

入団後は、努力、努力の毎日。人の何倍も遠回りをした分、苦労人として2、3軍では自身より若い選手の面倒見がいい。3軍の川相監督から、とても気にいられたそうです。昨年、宮崎秋季キャンプへ育成の9人が帯同することになると、育成ナインに選ばれ、尾花投手コーチから目をかけられました。肩へ負担のかからないフォームをものにするため、2週間で900球の投げ込みを行った。

今年は2軍で結果を残して、今月17日、支配下登録され、翌18日に出場選手登録をしたばかり。右のセットアッパーが不足しているチーム事情があるだけに、これからが正念場でしょう。

4月20日(木) 高嶋ひでたけのあさラジ!「スポーツ人間模様」

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