加計学園獣医学部新設は「総理の意向」文書が白日の下に!高嶋ひでたけのあさラジ!

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5/18(木)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!③

「怪文書」ではなく「闇文書」。それが存在するのが霞が関
7:10~やじうまニュースネットワーク:コメンテーター佐藤優(作家・元外務省主任分析官)

加計学園疑惑調査チームの初会合で、発言する民進党の玉木雄一郎幹事長代理(奥左)=2017年5月17日午後、東京・永田町の衆院第一議員会館 写真提供:産経新聞社

加計学園疑惑調査チームの初会合で、発言する民進党の玉木雄一郎幹事長代理(奥左)=2017年5月17日午後、東京・永田町の衆院第一議員会館 写真提供:産経新聞社

学校法人「加計学園」の獣医学部新設に関し「総理の御意向」なる内容の文書が発覚

安倍総理大臣の友人が理事長を務める岡山市の学校法人「加計学園」の獣医学部を新設する計画をめぐり、文部科学省が内閣府とのやり取りを記録したとされる文書の内容が判明し「総理の意向だ」と記載されていることが分かりました。民進党は安倍総理に事実関係の確認を要求する構えです。

高嶋)「加計」と書いて「かけい」と読みたくなりますけど「“かけ”学園」ということのようですがね。前から取り沙汰されておりましたが。まずこのニュースとどういうところがポイントなのか。ニッポン放送報道部森田耕次解説委員です。

森田)加計学園は岡山市の学校法人で、現在の理事長が安倍総理の友達です。岡山県内と千葉県銚子市に3つの大学、それから中学・高校・認可外保育施設などを運営しています。
地域限定で規制緩和する政府の「国家戦略特区」を活用しまして、愛媛県今治市に「岡山理科大学」の獣医学部を開設する計画が進んでいます。
今治市は学園に対し本来36億円の取得価格と言われる所有地を無償で学園に譲渡しまして、施設整備費の96億円も助成することを決めました。今治市は40年以上の年月をかけて大学誘致を進めて来たという立場です。
この獣医学部開設をめぐりまして民進党の玉木雄一郎議員は、文部科学省が国家戦略特区を担当する内閣府から「総理の御意向だと聞いている」などと言われたとする文書を入手したことを昨日の衆議院文部科学委員会で明らかにしました。玉木議員と松野文部科学大臣です。

玉木議員)私手元にその文書を持っているのですが「四の五の言わずにやりなさい」というようなことが内閣府から回答が返って来ているのですね。無いと言い切れますか?大臣。

松野文部科学大臣)その国家戦略特区に対する対応に向けた文書というのは、それは作成された可能性はあるという風に思います。

森田)この文書は公文書の書式と違って箇条書きに近く、作成者は書かれておりません。
それで複数ある文書の内「獣医学部新設に掛かる内閣府からの伝達事項」と題した文書には「来年2018年4月の開学を大前提に逆算して最短のスケジュールを作成し共有いただきたい。これは官邸の最高レベルが言っていること」と記載されています。
また「大臣ご確認事項に対する内閣府の解答」と題された文書には「これは総理の御意向だと聞いている」などと書かれていました。この文書について菅官房長官です。

菅官房長官)松野大臣が現在確認をしているということは承知しております。“怪文書”みたいな文書ではないでしょうか。出所も明確になっていない。

森田)安倍総理はこれまで国会で「理事長から相談があったことや圧力を掛けたことは一切無い」と答弁しております。ですが今回のこの獣医学部開設について政府は一項特例で今年1月に獣医学部を新設する事業者を公募したのですが、募集期間がわずか8日間、それで応募がこの加計学園のみで事業計画はすぐに認定されました。
総理と加計孝太郎理事長はアメリカ留学時代からの数十年来の友達で、年に数回は食事やゴルフを重ねる間柄だということです。
“怪文書”ではなく“闇文書” 公文書はいわば“お化粧”

高嶋)社民党の福島瑞穂さんが以前質問したときに、もう色を成して安倍総理が反撃して。いやあ何かこう痛いところを突かれるとこの人はすぐ興奮するなと思ったのですが。
佐藤優さん、この図式、こういうようなことになっていますけども、ここから何を佐藤さんは連想しますか?

佐藤)菅さんの言う「怪文書みたいなもの」というのは“怪文書”ではなくて“闇文書”なのです。どういうことか。これは私も山ほど作りました。
「鈴木宗男事件」のときに、例えば「私のところに保管されているんだ」と言って鈴木宗男さんとロシアの外務省高官との会談記録というのを共産党が出しましたけれど、これは改竄文書でしたけどね。オリジナルの文書はやっぱりあるのですよ。というのはどういうことかというと、機密に触れた非常に大変なものは今の情報公開法だと公文書として作っちゃうと開示対象になっちゃいますよね。これを非常に嫌がるのですよ、役人は。だから言わばお化粧をしてハンサム・美人にした文書を公文書として残して、化粧前の粗削りのものはこういう担当官メモみたいにすると。

高嶋)つまり公文書は差しさわりの無いものにする?

佐藤)そう。縦・横・斜め・裏・表から見ても絶対大丈夫なものにすると。

高嶋)でも本当はそれ改竄したものだから、元のものを見るとすごい臭いし怪しいと。

佐藤)そういうことがあると。それで特にまずいときには担当者に災いがあってはいけないので、担当者の名前も書かないし日付も書かないのです。

高嶋)この間も佐藤さんおっしゃっていましたね。そういう文書で何も無いのが一番真実を突いているのだというようなことを。

佐藤)そうです。これは北朝鮮なんかが無証明で出すというのとはまたニュアンスが違いますけれども、怪文書じゃないのです、役所の。だから役所の中でも本当にまずいことで、と同時に3人以上の人に文書を配れば流出することは必ずあるというのが役人の発想です。そのときに自分に災いが及ばないようにするということ。そこが縦・横・斜め・裏・表よく考えているはずです。

高嶋)なるほど(笑)。

佐藤)ただ私なんか少し工夫しましたけどね。あるところは体言止めにしたり。「別の人に渡すの“である”」とか言って「。」を付けて。それから1番と2番を逆にしたりとかね。こういう風にすると流れたときに、もちろんシラは切り遠しますけど誰が流したか分かるのですよ。

学校法人「加計学園」の愛媛県今治市での獣医学部新設に関する文書=2017年5月17日 写真提供:時事通信

学校法人「加計学園」の愛媛県今治市での獣医学部新設に関する文書=2017年5月17日 写真提供:時事通信

発覚した文書は“公文書”なのか?

高嶋)その文書の中で北村さんという元議員の方で獣医師会の重鎮がいるようですけども、彼は自分のところに関して書かれたことは“てにをは”を別にしてかなりちゃんと合っているというようなことを言っていまして、じゃあ信憑性があるのかなと思ったのですけど。

佐藤)文書を写真で見た限り、それから内容を見る限り、ごく普通に霞ヶ関で作られているものですよね。それを官房長官ともあろう人が、世の中一般の人は霞ヶ関の実態を知らないから“怪文書”だと言うのはあまり良くないですね。
それからハードディスクを使っているようなコンピューターだと、中に残っている可能性相当ありますからね。だから怪文書と言っていると「じゃあ怪文書を文科省は作っているのか」と。あともうひとつは文科省の文化もあるのです。“臆病官庁”なの。

高嶋)臆病官庁(笑)。

佐藤)何かあったときにどこからどう責められるか分からないから必ず文書で「これ内閣府からこんなこと言われたんだよ」といったものを残しておいて「自分たちの判断でやったんじゃないんです」という逃げをしたがる傾向がある。それが今回裏目に出たね。
もし外務省だったら電話でやり取りして「ヤバイ話だから」と言って電話の横にあるようなメモに鉛筆で書いて、それで「読了後乞シュレッダー」とか書いて、頭の中にだけ入れてお終いにしますよ。だからやっぱりいろんなものが合わさってこういうことが出て来るのですよ。

高嶋)外務省は「スパイ大作戦」みたいですね(笑)。

佐藤)外務省というのはその辺の国益とか外交の為にそういった知恵を使えば良いのですけども、自己保身とか出世の為ならものすごくそういった知恵を駆使しますからね。「危ないことに対しては記録を残さない」と。これはあの人たちのやり方の上手いところです。

高嶋)安倍総理って何かドツボをボンと突かれるとカーッと興奮するところがあるのですけど、あの森友と同じような反応をしているのですよね。

佐藤)ただ森友と比べると、これは地元が望んでいるのでしょう。「来てください来てください」と言って来てくれたということと、実績のある大学が獣医学部を作ったと、それで地域の振興にもなると。そこで何かお金が流れているとか不正・汚職があれば別ですよ。しかし全体の枠組みからすれば、これ例えば良い案件で地方の親交に繋がるのだけども官僚的な手続きで滞っちゃっているから、政治的な形でのサポートが欲しいというのはよくある話ですよね。だからこれ自体を見て本当にそこまで悪質な話なのかということについてはもう一回考えてみないといけない。
要するに森友みたいに籠池さんが言っていた「神道は宗教に非ず」という、何か戦前の国家神道みたいな話で教育するよとか、あとは右手を上げさせて「安倍総理万歳」みたいな運動会をやっているというのとはちょっと違う感じがしますね。

高嶋)そうなのですが、じゃあそういう特区みたいなものが例えば36億円の土地を国のお金でタダで提供する、そして安倍さんは「絶対にそんなことを彼に一言も頼まれていない」なんて言っていますけども、もう無茶苦茶ないわゆる肝胆相照らす仲の友達が、例えばゴルフをやりながら「いやうちの方にはもう50年前に北里大学の獣医があったのだけど今は無いんだよね。僕もそういうのをやろうかな、なんて思ってまして」ってカチーンと「おー、ナイスショット! ――あ、そうなの」なんつって。

佐藤)だからその種のことっていうのは要するに“頼まなくても良いくらい深い関係だ”ということですよね、逆に。

高嶋)以心伝心でね。

佐藤)そう。怖いのはあまり関係が深くなって頼める関係だと、そこのところで忖度が出て来るのですよね。ところが頼まないほど親しい人間でそれで呟いて、その後は「ふーん、それはここでは何かあるから特に公平にな」とか言ってそういうような指示が出ると怖いのですよ。「特に公平に頼むな」とかそういう風に言われると本当に忖度しろって意味ですからね。

高嶋)本当にあのケツの穴のちっちゃい文部科学省も「ひぇ~!」ってなっちゃって(笑)。

佐藤)だから逆に今度は文脈の違うところで「特に手続き重視」となっていたら「やるな」という意味になっているとかね。だから明示的に役人は絶対に言わないのですよ。

高嶋)そういう“用語”があるんだ。

佐藤)”特に公平に“なんてよく使われますよね。

高嶋)特に公平に……そうかあ。何かそれも言わなかったのかなぁ、言わないって言うでしょうねきっと。

佐藤)その辺は上手くやっていると思いますよ。

高嶋ひでたけのあさラジ!
FM93AM1242ニッポン放送 月~金 6:00~8:00

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