5/30(火)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!③
米中の関係改善をベースに急速に距離を縮める日中
7:10~やじうまニュースネットワーク:コメンテーター富坂總(ジャーナリスト・拓殖大学教授)
楊潔篪国務委員と谷内国家安全保障局長が昨日会談中国の外交担当トップ楊潔篪(よう・けっち)国務委員が昨日来日し、安倍総理大臣に近い谷内国家安全保障局長と会談し、北朝鮮によるミサイル発射などについて対応を協議しました。また7月のドイツでのG20、20か国地域の首脳会合に合わせた日中首脳会談に向けた調整も進めた模様です。
中国の外交担当トップ楊潔篪国務委員が昨日来日しまして、谷内国家安全保障局長と神奈川県内のホテルで夕食も含めておよそ5時間会談を行いました。中国の国務委員というのは国務院、つまり政府の首相、李克強(り・こっきょう)首相を補佐する政府高官でして、副首相とほぼ同等の権限を持っています。現在共産党中央委員の肩書を持つ国務委員は5人いますが、このうち外交分野を担っているのは前の外相の楊潔篪国務委員で、王毅外相よりも格上です。昨日の会談で谷内国家安全保障局長は北朝鮮のミサイル問題について「中国がさらなる役割を果たすよう求める」と伝えました。
一方、日中関係の全面的な関係改善のため、共に努力していくということでも一致しました。楊潔篪国務委員は今日、岸田外務大臣と会談する他、明日までの滞在中に安倍総理とも面会する方向です。日本側としては今年が日中国交正常化45周年にあたるということを踏まえて、日中の間でハイレベルの対話を加速させたいということで。とくに7月のドイツでのG20首脳会合に合わせて日中首脳会談開催に向け、今回も調整を進める模様です。日中関係を巡りましては、中国を訪れました自民党の二階幹事長が今月の16日に北京で習近平国家主席と会談をしておりまして、その際に日中首脳の相互訪問実現などを求めた安倍総理の親書を手渡すなど、対話に向けた環境整備が進んでいます。
トランプの風を利用する中国高嶋) トランプ大統領が誕生してから中国に対して「いろいろ北朝鮮問題で力を尽くしてくれ」と言い、経済的な問題には「やってくれたら少し緩和させてやってもいい」という話もあって案外話し合いの場が米中はいいのではないかと思いますが。
富坂) その通りだと思います。中国の「帯一路」経済圏構想で協力を求めたりと、日本と中国が急速に距離を縮めていますが、背景は米中の関係がよいというところがベースになっています。
高嶋) 王毅さんよりもずっと格上の楊潔篪が来たというのは。
富坂) 彼は党内では国務委員ですが中央委員ですから。政治局員とかその上の政治局常務委員というわけではなく、25人にも入っていない。そういう意味では事務方のトップという見方でいいと思います。だから谷内さんはちょうどいいのではないでしょうか。
高嶋) 今中国はどうですか? 一部の人は北朝鮮がどうのこうのでトランプさんにいろいろ言われて一生懸命にやっているという人もいれば、いやいやあんなの面従腹背みたいなもので何もやってはいないと。
富坂) 北朝鮮問題に対して中国は一生懸命やっていますよ。むしろトランプが登場したこの環境を逆に利用して北朝鮮問題を解決したいと思っている。トランプの風を利用して要悪のレベルまで抑え込もうとしています。
地方の農民を都市に強制的に移住させる都市化政策
高嶋) たまに中国のドキュメンタリーで、ごく一部を取り扱うものになると思いますが、田舎の人が無理やり都市化政策で、まんじゅうを売っていたおじさんに「お前、明後日までには出るんだぞ!」と都市に連れていかれる。あれは国家の政策ですか?富坂) 都市化政策は日本もかつて発展する段階の中で金の卵などが上野に来て、労働者が移動することによって経済が活性化した。人が移動すると大きいものは家から小さいものは歯ブラシ一本まで買いますので。自然の経済発展の中で起きた都市化を人工的にやっているのですよ。農村で貧農、稼いでもたいしたものにならないという人たちを都会に持って来て強制的に移住させると。ただそんなに上手くは雇用を提供できないので、そこのところでつまずいていますが大きな政策としてやっていることは確かです。
高嶋) 面白いですね、共産党は。以前「上海は3ヶ月行かなかったら姿形変わっているから、上海に行ったなんて言わない方がいいよ」と言われたことがあった(笑)
富坂) その通りです。私も今の上海はわからないと思います。北京ばかりなので。これからの中国は政治から経済の季節に入ると思うので、日本との関係を改善することは中国側にもニーズがあります。