小池知事が都議選で見せた意外な表情【報道部畑中デスクの独り言】

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小池知事インタビューに笑みは少なく

「自民…ゼロ…!?」

圧勝に沸いた都民ファーストの会のトップが一瞬、驚きの表情を見せました。

東京都議会議員選挙開票当日、私は小池知事率いる「都民ファーストの会」の開票センターにいました。東京都庁を目の前にした新宿区内のホテルの一室に設けられた会場は幅約5mに対し、奥行きが20m近くもある典型的な「ウナギの寝床」…ざっと100人以上の報道陣でごった返しました。

開票センターは報道陣がギッシリ

候補者名を並べたボードには最終的に公認候補49の「緑の花」が咲き乱れました。午後8時前に姿を見せた小池知事は選挙戦でおなじみの「百合子グリーン」ではなく、紺色の格子模様のジャケットに白いスカートといういで立ち。口角を上げてはいたもの笑顔は少なく、私には都政運営に向けた覚悟の表情にも見えました。
白い歯を見せたのは午後8時40分過ぎ、テレビのインタビューで売れ行き好調の写真集の話題になった時、初めて小池知事は相好を崩したのでした。もちろんカメラマンはそれを見逃さず、いくつかの朝刊の紙面を飾りました。

当選確実候補の「花付け」白い歯見せる

開票センターにいる間、小池知事はラジオ・テレビ各局のインタビューを分刻みでこなしていきます。ニッポン放送の特別番組でも午後9時16分から5分間。お聞きいただいた方も多いと思います。

小池知事。ラジオ出演直後の表情

選挙特番では通常、出演者に放送用のイヤホンを着ける「耳付け」という作業をするのですが、あまりの人と混乱で、身動きが取れません。

「知事!後ろを失礼します」

やむなく知事と候補者ボードの間の狭いスペースを通り抜けての作業になりました。私にとって通り抜けは「キツキツ」でしたが、その後他局の女性スタッフがそのスペースをするりとすり抜けるのを見て、いささか切ない気分になりました…「やっぱり痩せねば」…閑話休題。

すべての局のインタビューが終わり、午後9時45分から10分余り、総括の記者会見。勝因について「"新しい議会を"ということが胸に響いたのではないか」と分析した小池知事。その会見が始まる直前、目の前にあるNHKの開票速報を映すモニターを見ながら、小池知事は冒頭の一言をつぶやいたのでした。自民党は結果23議席の惨敗でしたが、この時点で依然当確が出ていませんでした。敵陣、そして「古巣」の惨状に「勝ちすぎた…?」私にはそんな表情にも見えました。

小池知事は都民ファーストの会の代表として、選挙期間中、公務の合間を縫って100カ所を超える街頭演説をこなしました。昨年の知事選と同じく、ジャケット、はちまき、雨の時のポンチョに至るまで緑色…「百合子グリーン」に身を包んで選挙戦。待機児童問題など知事としての実績を強調した上で、各候補のキャラクター、プロフィールに合わせた、いわば「カスタマイズ」した演説を繰り広げました。

表参道・ポンチョも「百合子グリーン」

例えば、妊娠中の女性候補であれば「子育て政策」、元スポーツ選手であれば「オリンピックの整備促進」、宅建の資格を持つ候補には「空き家対策」、そして兵庫県出身の候補には阪神大震災の経験を生かした「防災対策」と…こんな具合です。小池知事は各候補のプロフィールをたたき込み、工夫を凝らしていました。

東中野で 小池知事の珍しいポーズ

一方、一貫していたのは「古い議会を新しい議会に変える」…「昭和の延長みたいな古い議会は要らない!4年に1度の都議会を変えるチャンス!」…このシンプルなキャッチフレーズを押し通す選挙戦は、かの12年前、当時の小泉内閣が圧勝した「郵政解散」を彷彿とさせるものでした。さらに、前述の「笑みを見せない開票センター」は、5年前の2012年暮れ、政権を奪還した自民党開票センターの安倍総裁の表情と重なります。皮肉なことに小池知事が見せた姿勢は、惨敗した自民党が圧勝した当時のものと全く同じだったわけです。

さて、当選した49人、追加公認含めて55人の今後、やはりいばらの道と言わざるを得ません。街頭演説はやはり小池知事あってのもの、放送でもお伝えしましたが、政策をお題目のように唱える候補に対し、「何が言いたいのかわからない」とこぼす有権者もいました。また応援演説が予定される小池知事の到着が遅れ、「間がもたない」候補もいました。小池知事は「提案型の都議会を」と期待を寄せますが、これら「小池チルドレン」の面々が、期待通りの働きをするのか、単なる「風」の候補で終わってしまうのか…まだまだ未知数です。
さらに市場移転問題について選挙戦では、移転にかかる費用の高騰をチェックできなかったこれまでの都議会の批判に終始し、小池知事が告示3日前に方針を示した「豊洲移転・築地再開発」、特に財源問題については言及がありませんでした。「あさラジ」の放送でもありました通り、市場移転問題については有権者の意見も分かれています。小池知事の方針には賛同しながらも「財源」については不安視する声が多かったのも事実です。小池知事の「いいとこどり」の方針で、争点がわかりにくくなった移転問題ですが、今後、新たな「負の遺産」を生み出すことはないのか…それこそ新しい議会がしっかりチェックしていくべきでしょう。顔ぶれは新しくなった都議会、その真価が問われます。


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