7/7(金)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!②
日本とEUの経済連携協定が2019年発行で大筋合
7:03~ひでたけのニュースガツンと言わせて!:コメンテーター宮家邦彦(元外交官・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)
大筋合意の裏にはトランプ政権とイギリスEU離脱の影
4年以上に及ぶ交渉の末に大筋合意となった日本とEUの経済連携協定。様々な品目の関税撤廃が期待される中で、大筋合意までに至った経緯について宮家邦彦氏に解説していただきます。
高嶋)日本とヨーロッパのEPA(経済連携協定)が2019年に発行で大枠合意を宣言ということです。日本の新聞はいろんな見出しを掲げていますが、私が感覚的に一番ぴったりと来たのが、トランプ大統領の保護主義、アメリカファーストに対抗して「日欧保護主義に一矢」という。宮家さんは非常に分かりやすく「EUがその気になったということだよ」と。
宮家)一昔前に私が知っていた頃は、EUとEPAを作るなんてとても無理だと。向こうがとても強気で拒否したという話を聞いていたので、何でEUがその気になったのかなと思うのですが、日本はそれはそれでやる気はあったのでしょうが、やっぱりトランプでしょうね。
「変なおっさんが出て来ちゃって、内向きで保護主義。こんな奴と一緒にやったら大変なことになる」と、これが第一ですよね。
その前にやはりイギリスがEUを離脱するなんていう変なことになってきた。このまま行ったら、EUの理想であり、自由貿易体制というのが崩れていくのは恐ろしいと。それはヨーロッパと日本共に同じ危機感を持っていたということなのでしょう。だから比較的短期間で進んだのではないですかね。良いことだと思いますよ。
“大筋”では合意したものの細かいところでは多くの課題が?高嶋)確かにヨーロッパ諸国から言わせれば、ワインなんかは即時関税撤廃ですよ。それからヨーロッパのすごくこだわりのある車を作っていますから、自動車部品なんかもほぼ100%撤廃ですよ。少しこだわる部分をけっこうあっさりと日本の言い分を聞いたというのは、これはやはり相当の覚悟があったのかなという感じがするのですよね。
宮家)やはりお互いに歩み寄ったという感じではないでしょうかね。
もっとも「悪魔は詳細に宿る」という言葉があって、大筋だか大枠だかで合意をしても良いのだけど、要するに合意をしていないところがあるということですよね。その合意していないところが一番ややこしいわけで、そこの細かいところを詰めれば詰めるほどそこに悪魔がいるのですよと、そういう意味なのですよ。高嶋)今は喜んでいたけども、細かいところまで行ったら、意外とカードをひっくり返したら負けているとか(笑)。
宮家)まあ大枠合意まで来たのだからひっくり返すことは無いでしょうけど、時間が掛かるということですよ。しかもEUというのは数が多くて、皆が一緒になるのにとても時間が掛かるのですよ。だから大変です。
高嶋)何だかチーズが非常に話題になっていますが、他の細かい物を見ると、少しときめくようなバッグや革靴など、高級ブランド品が今より買いやすくなるなんていう説明があるのですが、よく見ると「11年目または16年目に撤廃」とか(笑)。ずっと先のことですよ。
宮家)まあいつかはなるのだから良いではないですか。そりゃ先だけど無いよりは良い。
高嶋)何代かのリーダーを経て決まっていくのでしょう。大丈夫かなという。
宮家)まあでも、それで今までやって来ましたからね、我々も。
EUとの距離を縮めた日本 アメリカはどう思っているのか?高嶋)これはどうですか、アメリカのトランプさんから見ると「ちょっとしてやられているな」と見えるのでしょうか? それとも「いやいや、サシでやっているのだから俺の言っている通りだ」と言うのでしょうか?
宮家)基本的には彼らは多国間ではなく2国間でやれと言っているので「だったらEUと日本の2国間でやって何が悪いんだ?」って言ったら、トランプさんは黙ってしまうでしょうね。そういう意味ではあまりネガティヴなインパクトは無いと思いますよ。
高嶋)アメリカは焦りを感じませんか?
宮家)あの人は焦っているのですかね……? 何を考えているかよく分からないのだけど。教えて下さいよ、本当に(笑)。1回1回言うことが違うんだもん。