広島が今季29度目の逆転勝利。2位阪神に、9ゲーム差をつける独走状態です。昨日のヒーローはバティスタでした。1点を追う7回1死2塁。代打で登場し、決勝の2ランをレフトスタンドへ放っています。189センチ・115キロと見るからにパワーがある。しかも、年俸は520万円です。今さらですが、広島のフロントはすごい。
どうして、こんな外国人選手を獲得できたのでしょうか。それは、日本球界で初めてドミニカへ進出し、現地へカープアカデミーを設立したからです。プロジェクトは1987年に発足し、90年から正式にスタートしました。これまで、広島からヤンキースへ移籍し、日米通算2,000本安打を記録したアルフォンソ・ソリアーノなどを輩出しています。
ただ、ここまでの道のりはチーム同様、楽ではなかった。95年にドミニカナンバーワンに輝いたものの、オフには巨額のリーグ参加費を要求されます。そこでリーグからの撤退を決定。さらには、予算圧縮で05年から投手だけに育成を限定しました。そんな状況でも、閉鎖することはなし。カープアカデミーは、現地に根付いていったのです。
13年からはクラブハウスなどの設備を改修して、再び野手の育成へも取り組みました。現在、アカデミーへの入校希望者があとをたたないそうです。ドミニカでは一獲千金を狙ってメジャーリーグへ挑戦することが既定路線。ところが現実は厳しい。バティスタは09年にカブスとマイナー契約を結びましたが、13年に退団。15年からカープアカデミーで練習を行っていました。
ロッカールームには、「練習は、不可能を可能にする」と掲げられている。バティスタはこれを毎日、見ながら日本からオファーがあるように努力を続けていました。メジャー挑戦を失敗したセカンドキャリア。
「100パーセント全力を出し切ります」
と、日本語で繰り返すのはそんな舞台裏があるからです。
15年秋に練習生として来日し、16年3月、育成契約を結んでいます。支配下契約を行ったのは今年、6月2日。契約金1,120万円を手にした。ただし、それまでのウエスタンリーグでは、39試合に出場して、打率3割6分3厘、本塁打14本、38打点で3冠王。球団が6年契約を提示したのもうなずけます。1軍デビューの6月3日は初打席で逆転2ラン。翌日も代打でホームランと、とんでもないパワーを披露しています。
とはいえ、7月4日の巨人戦でレフトフライを見失うなど、守備に難がある。この時、粋なアシストをしたのは緒方監督。
「今までずっと、青空の下で野球をしていた。しょうがないでしょう。皆さんが思うほど、守備がヘタではありません」
と擁護したのです。これを聞いて、バティスタは大感激したとのこと。まだ25歳、今後の活躍が大いに期待できます。
7月11日(火) 高嶋ひでたけのあさラジ!「スポーツ人間模様」