7/20(木)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!③
稲田防衛大臣と共に黒江哲郎事務次官も辞めさせられる可能性
7:10~ひでたけのニュース ガツンと言わせて!:コメンテーター佐藤優(元外務省主任分析官・作家)
稲田防衛大臣は「報告を受けていない」と断言
南スーダンでの、国連のPKO部隊の日報が隠蔽された問題で、「陸上自衛隊が保管していた」という事実を非公表とする方針は、防衛省事務方トップの黒江事務次官の意向に沿ったものと分かりました。
一方、稲田防衛大臣は非公表の方針が決まったとされる緊急会議について、「開催した事実はない」と述べました。複数の政府関係者によると、「陸上自営地にPKOの日報が保管されている」という事実を公表するか協議する、2月15日の緊急会議の前に、防衛省の黒江哲郎事務次官が、岡部陸上幕僚長と会い、「陸上自衛隊のデータは個人が保存していた文書」と位置づけ、「公文書には当たらない」として、黒江次官が「公表しない」と伝えたとのことです。同じく15日に緊急会議が開かれ、日報の非公表の方針が示され、稲田防衛大臣も了承したとのことです。
岡部陸上幕僚長は、翌16日にも黒江次官を訪れて見解をただしたのですが、「非公表」という方針は変わらなかったということです。
一方、稲田防衛大臣は、2月15日の緊急会議の2日前にも、陸上自衛隊側から、日報の電子データが保管されていた事実等について、「事前説明ということで報告を受けていた」ということなのですが、稲田大臣は、昨日、記者団に、次のように否定しています。稲田防衛大臣)2月15日は、断続的に国会の対応に関して打ち合わせをしていたことは、事実でありますけれども、その中において、「対応を決めるための緊急会議を開催した」という事実はありません。それから、「2日前に緊急会議のための事前の説明があった」ということはありませんし、また「陸上自衛隊にデータが残っていたという報告があった」という認識は、私の方にはありません。
森田)現在は防衛大臣の直轄の、防衛監察本部が、特別防衛監察を行っており、近くに結果を公表する見通しなのですが、防衛大臣や副大臣、政務官といった、政務三役は、制度上対象から外れているため、組織的隠蔽の解明がどこまで進むか、というのが不透明です。
図式そのものは非常にシンプル高嶋)安倍内閣にとっては、実にツキの無い大臣なのですが、これの絵柄を想像すると、黒江事務次官と、岡部幕僚長、それから稲田大臣。額を接して、「南スーダンのこれ……表に出たらマズいですよ大臣……」みたいな。「だから……公表は無しの方向で……」みたいな。こんなことですか?
佐藤)その通りですね。このことの、政治的なヤバさというのを共有しておかないと、できないですから。
高嶋)ということは、彼女はウソを付いている、ということになりますね?
佐藤)ウソを付いているのか、記憶が完全に変容しているのか。ときどき、記憶が完全に変容する人がいますから。断言しているでしょう? これは、役人が作った応答要領ではないのですよ。「そのような会議があった事実は、確認されていない」と断言しているというのは、役人とすり合わせないで、自分の記憶で言っていますね。
ということは、裏返すと、答弁に齟齬が出てくるでしょう? 役人はもう助けていないわけ。だから、平たく言うと、「お姉さま、出て行ってください」とやっているわけです。これは凄く危ないのですよ。
警察、防衛省、海上保安庁といった役所は、シビリアン・コントロールが効いていないといけません。なぜなら、職員が武器を使うことができるからです。そういったところで、政治統制、シビリアン・コントロールが効かなくなったら、何が起こるか分からない。二重の問題は、今度幹部たちが、陸幕長まで含めて全部話をしたのに、下から漏れて来た。これも一種の下克上ですよ。高嶋)一言で言えば、すっかりナメられているわけじゃないですか。
佐藤)そう。怖くないと思われている。
高嶋)ナメられているということは、安倍さん、総理はみんな一目置いているわけですよね。だけど、稲田さんはナメられているわけですよね。
佐藤)はい。それから、幕僚長も、次官も下からナメられている。「アイツら、国のことが何とか、現場でやっている俺たちがどうなってると思ってるんだ!」と。
高嶋)国民目線だと、映像でさんざん出ているし、南スーダンでドンパチやったのも、みんな分かっているわけでしょう。現場にいる、自衛隊に派遣されたPKO部隊は、「命を取られるかも」と危険を感じて、それを日報に必死に書くでしょう? それがあると、「PKO五原則」に反するから、また野党にガンガンやられる、と。「臭いものには蓋だ」と。
なので、図式は凄く簡単ですよね。佐藤)もの凄く簡単です。だから、こういったとき、外務省だったら、多分起きないと思う。
高嶋)なぜ?
佐藤)現場が報告書を出さないからです。外務省は現場まで凄く政治的ですから。政治判断をするから、弾が飛んできても「見えなかった」と。目の前に飛んできても、「私には見えなかった」と報告する。これは外務官僚だったらやりますね。
では、これが事実としてきてしまったら。事実は事実として残しておいて、その上での政治判断をする、と。「これは戦闘行為ではないと、我々は理解している」と。このような形で、最後まで詭弁を弄するのが、普通の官僚のやり方ですよね。普通じゃないのですよ。
沖縄の辺野古移設問題にも関わってくる可能性がある高嶋)思い出したのは、小泉さんのときに、「サマワは戦闘地域か非戦闘地域か」と問われた小泉総理が、「自衛隊の行っているところは、全部非戦闘地域だ」と。こう言ったのですね。
佐藤)「非戦闘地域は、自衛隊の行っているところ」……ようするに、「明日の天気は晴れかそれ以外のいずれかです」と。これは絶対、100%正しいのですが、何も天気に関する情報がない。こういうことをやったわけですね。論理学ではトートロジーと言います。
あと、みんな以外と気づいていないと思うのですが、沖縄の辺野古への影響もありますよ。あれは黒江さんが中心になってやっていた話だったので。そうすると、いま黒江さんの首が危なくなっている。となると、彼のやっていたことの全検証になります。すると、これが辺野古に、防衛政策全体に及びますよ。THAADにも全部。高嶋)では、8月3日の内閣改造で、稲田さんが飛んでいっておしまい、という話ではない?
佐藤)これはもしかしたら、昔、小泉純一郎さんが田中眞紀子さんと一緒に、野上外務事務次官を飛ばした、あれと同じになるかも知れません。2人辞めさせる、という可能性がいま出てきています。
高嶋)ということは、まだ進行中である、と。
佐藤)かなり深刻ですよ。政権に大きな影響を与えることになるかも知れないですよ。それから防衛省を、政治がちゃんとグリップできていない。これからもいろいろな情報が出てくると思いますからね。これは、ある意味防衛省、自衛隊の関東軍化という、もの凄く危ない要素をはらんでいるので、とにかく、武力を持っているから、どんな大臣も100%従わなければいけない。それから政治家は従えないような人を大臣にしてはいけない。
高嶋)本当にそうですね。
佐藤)すぐに状況を変えないと大変なことが起きる。だから、防衛省の中でも特に制服組、つまり現場の不満が、このままだと沸点に達しますよ。
高嶋)太平洋戦争の時も、陸軍が関東軍になってしまって。中国大陸で勝手なことをやって……
佐藤)自分たちはよかれと思ってやっていたわけですからね。ですから、その辺のことをもう1回考えると、いま防衛省で起きていることは、深刻ですね。
高嶋ひでたけのあさラジ!
FM93AM1242ニッポン放送 月~金 6:00~8:00