日本銀行 2%の物価上昇目標またも先送り~原因は将来の景気不安から【高嶋ひでたけのあさラジ!】

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7/24(月)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!②

止められないマイナス金利政策
7:02~ひでたけのニュース ガツンと言わせて!:コメンテーター須田慎一郎(ジャーナリスト)

日本銀行 2%の物価上昇目標またも先送り~原因は将来の景気不安から【高嶋ひでたけのあさラジ!】

日銀の黒田東彦総裁記者会見。会見する日銀の黒田東彦総裁=20日午後、東京都中央区 写真提供:産経新聞社

将来への不安が巡り巡って経済を冷やしている

日銀は先週「2%の物価上昇目標」を6回目の先送りをした。なぜ“2%”というわずかな数値を達成できないのか? その理由を、須田慎一郎さんに伺います。

高嶋)先週、日銀の黒田総裁が会見をして、「日銀の物価目標、6回目の先送り」ということで。目標の物価上昇率は2%ですよね。「何故、たったの2%が達成できないの?」と素人は思ってしまいますが、いまのアベノミクスも含めた日本経済の現状、そして、これが先々、我々国民にどのような影響を与えていくのか。この2点を伺いたいのですが、まずは現状からお願いします。

須田)現状、という点で言うと、その「何故、たった2%の物価上昇率が実現できないのか?」に直結してくるのです。それに対して、黒田日銀総裁は、要約すると「企業経営者や消費者は、マインドが冷え込んだままだ」と。「将来に向かって、物価が上がる、所得収入が増える、そういった気持ちにならないから、お金を使わないんだ」と発言しています。投資をしない、消費をしないということですね。
私も、まさにその通りだと思います。ですから、現状では、やはり私たちは、将来の景気や経済に対して、あまり大きな希望を持っていない状況にあるのではないか? それが巡り巡って、いまの経済を冷やしている状況になっているのではないかと思います。


マイナス金利政策を止めると経済に大きな悪影響を与える

高嶋)例の「マイナス金利政策」というのをずっとやってきたら、「地方の信金が、にっちもさっちも行かなくなっている」と言っている人もいます。これは、続けていくわけですよね?

須田)そうですね。「続けざるを得ない、止めるわけにはいかない」ということですね。

高嶋)それは何故ですか?

須田)何故かというと、今の金融緩和を止めると、どういったことが起こるか。国債が売れ残る可能性も出てきます。そうなると、売れないので、売るために値下げしなければならない。国債の値段を下げるというのは、ちょっと理解が難しいかもしれないですが、金利の上昇に繋がるのです。売れないので、沢山の金利を付けないと買って貰えない。
そうすると、長期金利の上昇。これは、たとえば住宅ローンだとか、企業の借入金利の上昇に繋がり、むしろ経済にはもの凄く悪影響を与えかねないのです。

高嶋)信じられないくらい国債を買い、信じられないくらい日本の株を買っているというのは本当ですか?

須田)株に関しては、日銀はいま1週間で5,000億円の株を買っています。1日に1,000億円です。ですから、「日銀の会員に入ると、株価が上昇する」というのが、マーケットでは常識の話。
国債に関しては、発行残高の4割。過去に日本政府が発行した国債の残高の4割を日銀が買ってしまっている。そこから考えると、近い将来、買うことができないのでは、という状況になっている。買うもの(国債)がない。現状でも、売りに出したら瞬間蒸発して、バッと売れてしまう、そういう状況ですからね。


ハイパーインフレになってしまう危険性を常にはらんでいる

高嶋)そういうことをずっとやってきて、これから先々、オリンピックもあるし、オリンピック以降の方が心配と言う人もいます。先ほどの金利等も含めて、これからどうなっていくのでしょうか?

須田)異次元の金融緩和が始まってから、ドル円の為替レートが、ピーク時に125円。まあ、その辺に関しては、輸出関連企業にとって非常に居心地が良い相場環境でした。業績が良くなっていくのですから。
これが、たとえばドル円で150円、200円と、どんどん円安が進展したら、どのような状況になるかというと、輸出関連企業は良いかもしれませんが、逆に輸入品の価格。たとえば原油価格がどんどん暴騰する、ということになったら、むしろ日本経済の足を大きく引っ張る。物価がどんどん上昇して、ハイパーインフレにもなりかねない。そうなったらどうでしょう? 我々の日常生活にも大きな影響を受けますよね。

高嶋)そういう危険性というのは、日に日に深まっているのですか?

須田)はらんでいる、ということです。

高嶋)安倍さんは、しかし、それ以外やらないわけですね?

須田)「やらない」ということではなく、もう1つ手立てがあるのですよ。もっと国債を発行して、ようするに、「お金をじゃんじゃん使っていこう」と。「それを全部日銀に買い取らせればいいじゃないか!」と。ただ、それはちょっと危険水域に入りすぎやしないかな、一か八かすぎやしないかな、と私は思います。

高嶋)では、予想としては、「手痛いしっぺ返し」というのも、考えられないことはない、と。

須田)場合によってはですね。

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