力士の数は660人。その中で外国人力士は38人いますが、21人が関取です。パワーやハングリー精神など、その要因はたくさんある。ただ、外国人力士がヤル気満々であることは間違いないでしょう。13勝をあげた名古屋場所。
「普通なら、優勝」
と碧山は振り返っています。ブルガリア出身でレスリング歴が10年。スカウトをしたのは琴欧州でした。
出身の国立インターナショナル大では、先輩と後輩の関係。帰国したブルガリアで、
「目力がある。相撲をやらないか」
と誘ったものの、最初は断ったそうです。そして、翌年、また同じ目力の口説き文句で2回目のアプローチ。しかし、琴欧州は、それが前年に誘った碧山ではなく、別人だと思っていました。なぜなら、体形が違っていたから。チーズを毎日、1キロも食べて力士の体をつくっていたとか。あまりに大きくなっていたので、人相まで別人。
「直感で強くなると感じた。日本で成功するためには、たくさんの苦労がある。でも、耐えられるだろう」
と琴欧州は当時を語りました。2009年の初土俵は、名古屋場所。初心に帰るには絶好のチャンスです。場所前、いつも以上に、けいこへ精進。古傷の左ひざの状態が良かったからでしょう。序盤から最後まで好調だったのは、
「187キロをキープできた」
一時は200キロの壁を超えて、202キロになったこともある。
逸ノ城がそうだったように、大きくなることはとてもいい。ただし、それを支えるひざなど、大きな負担になってしまいます。師匠の春日野親方(元関脇、栃乃和歌)からは、「200キロを超えたら破門する」と厳しく言われている。2015年初場所で、関脇を陥落してから、平幕上位から中位を行ったり来たり。でも、今年はビオレタ夫人が来日し、都内で結婚披露宴を行っています。夫人は5歳上で、相撲界で年上との結婚は、金星とまで言われている。
当然のように、相撲は知らない。それが今場所は、テレビ電話で、「アドレナリンが出すぎている」など、いろいろと助言を。「奥さんのためにも頑張る」と2月の披露宴で誓ったことを、思い出したのかもしれません。
相撲界最強の腕力を誇り、春日野親方も、
「30歳を過ぎても、体力は落ちていない。いい意味で土俵ではズルさが出てきた」
と話しています。素質はありながら、腰高などで大成を阻んでいるものの、このところ、碧山はやる気に満ちている。「東京オリンピックまで現役」を公言しているのは、白鵬だけではありません。碧山も同様。名古屋場所の敢闘賞獲得で大いに気を良くしているでしょう。
7月25日(火) 高嶋ひでたけのあさラジ!「スポーツ人間模様」