九州北部豪雨の被災地は今~まだまだ苦しい富有柿
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高嶋)ゲリラ豪雨というのは、ついこの間は関東でもありましたが、どこでもそういう被害にあうリスクがあって、予断を許さない状態です。九州北部豪雨を改めて、解説委員の森田さんからお願いします。
森田)今から2ヶ月程前、7月5日から6日にかけて、福岡県と大分県を記録的な豪雨が襲って、36人の方が亡くなりました。被害総額が福岡と大分をあわせて2,040億円を超えるというような状況になっていまして、特に農林水産関係は692億円という被害にのぼっています。
高嶋)九州北部豪雨の被災地、福岡県・朝倉市からニッポン放送 報道部後藤誠一郎記者のレポートです。後藤さん!!
後藤)私は、およそ1ヶ月半ぶりに福岡県の朝倉市に入りました。朝倉市の方によりますと、市内だけで未だ100世帯197名の方が避難生活を続けています。
1ヶ月半前に、ここを訪れた時に、私の印象に一番残っているのは大量の流木と土砂なんです。林業が盛んな地域なので、大雨によって流れ出た土砂とともに、大量の木が筑後川の支流に流れ込んだんですね。その為に橋に詰まったりして、行き場を失った雨水や土砂が街に流れ込んで、大きな被害が出ました。
これはボランティアの方々によって、かなり撤去が進んでいるんです。朝倉市に問い合わせた所、これまでにおよそ3万2,000人の方が支援ボランティアに訪れているそうです。
8月31日も519人の方がボランティアに訪れていました。この方々は家の中や軒先に入って、泥かきをするんですね。ただ、この泥の質が作業を難しくしています。1ヶ月半前は雨が降った直後だったので重い泥でスコップについても、あまりはがれないという話を聴いたんです。
今はカチカチに乾いて、土ぼこりが舞うという状態になっているようです。土というか、砂みたいになってしまっています。流木もあわせて、重機を使った作業になっているんですけども、流木の撤去もあまり進んでいない状況です。
今回の取材でもう一つ気になっていた事があるんです。それは農業への影響なんです。朝倉市の中でも、特に被害の大きい、杷木(はき)地区では水田に加えて、果樹園がとても多いエリア。
JA筑前朝倉の浜崎課長に話を聴いた所、これまでに把握している被害は水稲、稲ですね。朝倉市と東峰村あわせて987ha。そのうち、土砂や流木などで東京ドームおよそ50個分の面積にあたる231ヘクタールは全滅。
高嶋)東京ドーム50個分・・・。全滅。
後藤)このほか、あまおう、いちじくなど、ハウス関連で8億円に及ぶ被害。特に、いちごは来年に向けた苗がハウスごと流されてしまっているところもあります。
そして深刻なのが、柿。ブランド柿の富有柿の日本一の産地。流木や土砂によって、ひどいところでは柿の木ごと流されてしまっているんです。被害は315ヘクタールのうち、1割を超える43ヘクタールに及んでいます。さらには被害が広がる可能性も。
ここで1つ疑問が浮かんだんですよ。桃栗3年、柿8年。柿8年という事は来年以降に影響が出てしまうのか?JA筑前朝倉の浜崎課長にお話をうかがいました。
浜崎さん曰く「朝倉の柿の木は、40年、50年大切に育てたもの。元のようにするには、20年、25年かかるかもしれません。高齢化するなか、今回の事を機にやめようかという声もあがっているんですが、新しい園を整備するという事をJAとしても何とか柿の産地を守って行きたいと考えています」
高嶋)数十年育てた富有柿の木はしばらく実をつけないという事なんですか?
後藤)あの違うんですよ。柿の木畑ごと流されちゃっているんですよ。だから、元の場所には柿の木がないんです。
高嶋)もうなくなっちゃったの?無に?
後藤)作付け面積の1割ぐらいがなくなったとか、あとは道が通じていなくて、園に入れない。手入れが出来ないので、柿がダメになってしまうんです。それから砂が入り込むと、それによって土の質が変わって、来年以降、柿がとれないかもしれません。
高嶋)そういう事、一切合切含めて、元に戻るのが相当かかると?
後藤)そうかもしれません。そして、このエリアに関して言えば、今年度の富有柿の出荷量は3割から4割減るだろうと言われています。九州北部豪雨、農業に至っては来年以降、5年10年単位で被害が続く可能性があるというのが今日お伝えしたかった事なんです。
9月1日(金) 高嶋ひでたけのあさラジ!「三菱電機プレゼンツ・ひでたけのやじうま好奇心」より
高嶋ひでたけのあさラジ!
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