北朝鮮へアメリカ独自の制裁手段とは?
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9/14(木)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!②
太平洋戦争前に日本も味わった手段
7:03~ひでたけのニュースガツンと言わせて!:コメンテーター山本秀也(産経新聞論説委員)
国連安保理とは別に、金融制裁を仕掛けるアメリカ
国連安全保障理事会は、度重なる核実験やミサイル開発を繰り返す北朝鮮への大幅な経済制裁を行うことを、満場一致で採択しました。加えてアメリカは独自に金融制裁を強化するといいます。それはいったいどのようなことなのか? また、その制裁は効くのだろうか?
高嶋)国連安全保障理事会の北朝鮮制裁決議は、全員(15カ国)一致で手を挙げたわけですが、どうも内容については賛否両論があり、トランプ大統領も不満を示しているとか。
それで「北朝鮮を国際金融システムから締め出してしまえ」と独自制裁を強化するとのことですが、これは本気ですか?
山本)本気でしょうね。国連安保理の制裁決議は15カ国の全会一致ということで、メッセージが強く、その点は大変良かったのですが、残念ながら「石油の禁輸」の部分は、基本的に現状維持で、前年度の輸出分までは良いことになっています。繊維品の輸出を止めたりするのは、外貨稼ぎの点で痛いのですが、肝心の資源の部分では、北の息の根を止めるところまでは行かなかったようです。
そこで、アメリカがするのは、これはトランプ氏個人の考え方ということでも無いのですが、「金融制裁はアメリカ財務省が独自にやります。具体的には、北と取引をやっている銀行を制裁の対象にします」ということです。北朝鮮はあちこちにフロント企業を作って、世界の銀行で取引をやっているのですが、中国の大手銀行の比率が高い。なので、実は中国は6月にアメリカからすでに、丹東銀行という地銀を制裁対象にされてしまい、ここで北との貿易取引ができなくなった。これを、他の国有の4大銀行や、準大手に広げられると、中国自身、かなりキツいことになってくる。
制裁の対象にされると、北の取引だけでなく、いろいろ滞ってしまいますから。困るので、中国の方も早手回しに、おそらく国連の水面下交渉の中で「お宅が呑まないなら、他にもやるからね」と言われたのでしょう。北朝鮮の外交官や企業の取引のある銀行口座の取り扱いをかなり閉めて、アメリカから中国の銀行が幅広く制裁対象にならないように、早手回しに手を打っています。
経済の締め上げは、アメリカの伝統的な他国締め上げの手段
高嶋)先手を打っているのですね。これは、けっこう本気度は高いと言うことですが、効いてきますか?
山本)これは効きますね。おそらく、アメリカが経済手段で取り得る行動の中で、いちばん効く方法だと思います。
高嶋)北朝鮮問題についての「アメリカの基本的な姿勢」というのはここに表れていますか?
山本)そうですね。それと、アメリカは伝統的に、他国を締め上げる場合、金融取引や資産の凍結などは必ず狙ってきます。太平洋戦争勃発前の日本もこの類のことをやられています。石油の禁輸や、スクラップの輸出停止……こういったことをやられて追いつめられたわけですが、そこで連想が浮かぶのは「アメリカは北朝鮮をどうするのか?」ですね。
高嶋ひでたけのあさラジ!
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