世界的なポピュリズムの嵐が日本にやってくる?

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9/29(金)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!②

トイツではAfDが10%以上の票を獲得
7:02~ひでたけのニュースガツンと言わせて!:コメンテーター宮家邦彦(元外交官・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)

世界的な政治の傾向にあるポピュリズム(大衆迎合主義)の危険性とは?

アメリカのトランプ大統領を筆頭に、近年、極端なポピュリズム(一般大衆の利益や不安を利用した対数迎合主義)の政治家や政党が増えています。今回は、ドイツを例に挙げながら、ポピュリズムについて詳しく解説していきます。

高嶋)トランプさんが典型的な例ですが、世界的に「自分側さえよければいいや」みたいなのが非常に多くて。それから、何か新しいものが出てきたりすると、前後の見境なく、それに飛びついてしまう。そのような意味から、ドイツの選挙に私は注目していたのですが、メルケルさんは非常に落ち着いていて、難民問題のときに、ああいう状況だと「受け入れない」と判断するのが普通だと思うのですよ。それを、いろいろな批判もありましたが、彼女は受け入れた。そして、ちょっと落ち着いてきたら、「正しい判断だったのでは」と思えるようになってきた。そのメルケルさんが32%くらい票を取り、第1党になりました。
ただ、第3党になった政党が右派の政党であるAfD(ドイツのための選択肢)で、10数%を取ったとか。これについて、いろいろと推測がありますが、これから先のドイツはどうなると思いますか?

宮家)去年から、新しい嵐のようなものが起きているわけですからね。まず、イギリスのEU離脱でキャメロンが失脚しました。アメリカではトランプさんが大統領に選ばれ、フランスではオランドさんが選挙に出られなくなり、ルペンさんが出てきて。それらに比べ、ドイツはどちらかというと安定していました。「EUの理想」、すなわち国際主義をちゃんと維持しようとしていました。結果として勝ったわけですが、ちょっと変な政党が、10数%取っている。これは、やはりドイツにも、不健全なポピュリズムのような流れが、ついに押し寄せてきたな、という感じです。

問題になるのは、民族主義や排外主義と合体したポピュリズム

高嶋)つい連想してしまうのが、昔のナチスの到来のときのようなことですが。

宮家)昔のナチのときの、ワイマール共和国のようなヒドい状況ではないけれど、ナチが出てきた1924年、やはり6.5%くらい、票を取っているのです。いまのAfDは、何と10%以上取っている。ですから、状況は決して良くない。それで翻ってみて、こういう観点から日本の今回の総選挙を見ていると、世界的なポピュリズムの嵐が、ついに日本まで来たのかな、と。そうでないことを祈りますけどね。ポピュリズム自体はけして悪いことではない。民主主義のある側面はポピュリズムですよ。人々の言うことを聞こうとしているのだから。それ自体は悪いことではないですよ。

高嶋)大衆迎合、みたいなね。

宮家)悪く言えばね。だけど、民主主義にもやもや感というか、不満や閉塞感が出てくると、民主主義の悪い部分、すなわちポピュリズムが出てきてしまうのではないかな、と。

高嶋)妙なポピュリズムにはなっていないけど、過去の選挙結果を見ると、みんな風が吹いたところだけがひとり得をするだけ、という。そんなところがありますよね。

宮家)そうですね。ただ、権力を取るためだけのポピュリズムであれば、まだ許せます。問題は、不健全な民族主義や拝外主義、そういったものにイデオロギーを持つ、ポピュリズム。これが危ない。

高嶋)日本はまだ大丈夫ですか?

宮家)まだ大丈夫です。そういう種類の、民族主義とポピュリズムが合体したものは、まだ動いていないと思います。

高嶋)「そういう流れは警戒しないといけない。世界を見ていてそう思う」ということですね。

高嶋ひでたけのあさラジ!
FM93AM1242ニッポン放送 月~金 6:00~8:00

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