NY暴走テロ~トランプ大統領が騒ぐのはISの思うつぼ
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11/2(木)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!④
日本も他人事ではない
7:17~やじうまニュースネットワーク:コメンテーター佐藤優(元外務省主任分析官・作家)
自動車テロを起こした犯人はISの関係者であり、ウズベキスタンからの移民
ニューヨークマンハッタンで、車が通行人に突っ込み、8人が死亡し、12人が怪我をしたテロで、拘束されたウズベキスタン出身の男が、およそ1キロに渡り暴走し、次々と人をはねていたことが分かりました。警察は計画的犯行と見て、捜査しています。
ピックアップトラックが、マンハッタン南部のハドソン川沿いの自転車専用道路をおよそ1キロ暴走した今回のテロ。容疑者は模造銃を持っており、警察官に銃で撃たれ、病院に運ばれました。拘束されたのは、ウズベキスタン出身で、アメリカに移住した、サイフロ・サイポフ容疑者(29)でニューヨークのクオモ知事は、「過激派組織IS(イスラム国)と接点があり、アメリカに渡った後、アメリカ国内で過激化した」という見方を示しています。また、地元当局は容疑者は数週間かけて犯行を計画し、犯行車両からは「ISは永久に続く」と書かれたメモが見つかったとのことです。
トランプ大統領は、このサイポフ容疑者について「アメリカ政府が移民の出身国多様化のため、抽選で移民ビザを割り当てる制度を利用して入国したんだ」とTwitterで指摘しました。また、サイポフ容疑者は2010年にアメリカに移住しているのですが、グリーンカード(永住権)を持っており、トランプ大統領は閣議で「移民にグリーンカードを与えている制度を、できるだけ早く撤廃する」と述べ、議会と協議する考えを示しています。
また、トランプ大統領はサイポフ容疑者を「野獣」と呼び、「キューバのグアンタナモ米軍基地にあるテロ容疑者収容施設に送ることも検討している」と表明しています。
テロとしては小規模だが、「宣伝」として恐怖を煽るのが真の狙い
高嶋)ISの現状は、どうなっているのですか?
佐藤)イスラム国はシリアとイラクでは、ほぼ駆逐されています。しかし、例えるなら、風船に半分空気が入っている状態です。風船の上の部分であるシリアとイラクを押すと、空気が風船の下側に行きますよね。その「下側」というのが中央アジア、ウズベキスタンであり、フィリピンのミンダナオ島である……こういうことだと見ています。ですから、今回ウズベキスタン出身者がやった、ということは、残念ながら想定が当たってしまったわけです。
高嶋)組織立っていないということは、かえって雲をつかむような話になるわけですよね。それが数千人、世界中にバラまかれているような。
佐藤)その通りです。ただし、組織立っていないので、「爆弾を使う」とか、大規模なことができない。そうすると、冷静に考えてみると、「9人の交通事故」というのは、確かに、死人が出た痛ましい事件なのだけど、それ自体が、世界中を駆けめぐった大テロニュースになっているわけですよね。それによって、「テロは怖い」、「イスラム国は力があるんだ」という宣伝に使われている。拡散されてしまっているのです。これがテロリストの狙いですよね。特に、大統領がこれに激しく反応するというのは、イスラム国の思うつぼなのです。
自殺志願者等へのメンタルケアが、結果として日本のテロを抑止できる
高嶋)日本の座間のあの事件も、「そういうテロに利用されかねない下地がある」と言っていましたね。ということは、日本も全然、他人事ではないということですね。
佐藤)これに関しては、共謀罪とか、そちらの方向で締め上げるよりも、自殺志願者に対するケアや、あるいは移民で孤独な思いを持っている人に対するケア。あるいは、入試で失敗したとか、就活で失敗したとか、それで苛立っている人へのケア。コチラの方が、実は効果的なのです。
高嶋)浅はかかもしれないですが「やけっぱち」に見えるのですよね。
佐藤)そうです。ただし、ヤケになる前に、何かシグナルが出ますから。それを掴み、ケアをすることが重要だと思います。
高嶋)ということは、人の心の中の問題ですから……
佐藤)すごく、難しい問題なのですよ。
高嶋)そいつが暴力的で、毎日モノを壊しているとか、そういうのなら別だけど、ピックアップするだけでも大変ですよね。
佐藤)「内心の自由」を侵害する可能性もあるので、難しいです。
高嶋ひでたけのあさラジ!
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