座間9遺体事件~テロ組織に狙われる可能性も

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11/2(木)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!③

自身の破滅に他者を巻き込んだ犯罪か
7:10~ひでたけのニュースガツンと言わせて!:コメンテーター佐藤優(元外務省主任分析官・作家)

座間遺体遺棄事件

座間遺体遺棄事件 白石隆浩容疑者送検=2017年11月1日午前、東京都八王子市 写真提供:産経新聞社

神奈川県座間市の死体遺棄事件の容疑者は、Twitterで自殺志願者を誘い出していた

神奈川県座間市のアパートの部屋で、9人の切断された遺体が見つかった事件で、逮捕された男が、「女性を室内に連れ込んだ際、騒がれないように手で口をふさいだ」と説明していることが、捜査関係者の話で分かりました。叫び声や物音に気付いた人は、周囲にいないとのことです。

この事件で、死体遺棄容疑で逮捕された、無職の白石隆浩容疑者(27)の部屋からは、白いロープ、黒い結束バンド、キリ、ノコギリが見つかった他、台所から文化包丁や出刃包丁、食器棚にはキッチンバサミがあり、いずれの刃物にも血液のようなものが付着しており、切断などに使われたと見られています。

白石容疑者は、「騒がれないように、手で口をふさいだ」と説明している他、「首を絞めて、気絶させてから殺害した」とも供述しており、警視庁が殺害方法を調べています。また、司法解剖の結果、頭の部分2つは、死後1~2週間。残る7つは、1ヶ月~数ヶ月でした。男性1人、女性8人と見られていますが、10代の女性がいるかについて白石容疑者は「分からない」と供述しているとのことです。9人の身元を確認できるような衣服や携帯電話、身分証等の所持品は見つかっていません。捜査本部は、遺体のDNA型や、歯型の鑑定から、9人の身元確認を進めています。

それから、白石容疑者はTwitterで複数のアカウントを持っており、自殺願望をほのめかす内容の書き込みをしている女性に、「一緒に死のう」等の返信をして、接触していました。複数のアカウントを使い分けて別人を装い、次々と相手を誘いだし、殺害したと見られています。アカウントの中には、過去のメッセージが削除されているものもあったとのことです。

座間 事件

【座間市で複数遺体】複数の遺体が見つかった容疑者の自宅アパート前には、報道陣や見物人が多く詰めかけた=2017年10月31日午後、神奈川県座間市 写真提供:産経新聞社

うかつな発表が、模倣犯やテロリストを誘発しかねない難しい事件

高嶋)「3人の男が、重そうなものを持って部屋に入ろうとしていた、あるいは出ようとしていた」みたいな目撃情報を近所のおばさんが喋っていましたが、あれの続報みたいなのは……

森田解説委員)それについて警視庁からの、直接の公式発表はないですね。

高嶋)これは、佐藤さんは率直に、どんな印象を持ちましたか?

佐藤)社会の中では、一定程度の自殺願望を持つ人がいる。これは、実は貧困などよりも、人生の、社会の価値観が変動するときに増えるのです。いま、急激に価値観が変動して、不安定性が増している。これが1つ。それから、世の中には、犯罪性向を持っている人がいるのです。これは「犯罪は悪いことだ。人を殺すのは悪いことだ」というのは分かっているけれど、止められない人種。こういう人たちが合わさると、こういう事件になる。
ただ、逆に注意しなければいけないのは今回の場合は、猟奇的な殺人あるいは性的目的等が想定されることをやっていた容疑者ですが、テロリストが自殺願望者を、こうしておびき寄せることも可能なわけです。「一緒に死のう」という形で、自爆テロにいざなう。なので、この社会にある脆弱性が見えている、ということだと思うのですよ。
それからもう1つは、国民の「知る権利」は守らなければいけない一方で、この種の事件を誘発することを防がなければいけない。ある種の人たちは、「残虐な形で人を殺害するとか、性的な関係を持つ」という報道をすることで、そこが刺激され、模倣犯的な行動をする人もいるわけです。なので、この種のことについては、そこのところである「犯罪の誘発」を阻止するという点。あるいは、インターネットを通じて、具体的に「自殺願望者をこうして捕まえている」と説明した場合、テロ組織がそれを利用する可能性がありますよね。そういうことを多面的に考えながら報道していかなければいけないし、警察も発表していかなければいけない。非常に難しい事件だと思います。

座間 事件

【座間市で複数遺体】複数の遺体が見つかったアパートを調べる捜査員ら=2017年10月31日午後、神奈川県座間市 写真提供:産経新聞社

今回の容疑者は、自身の破滅に他者を巻き込むタイプの人間だと思われる

高嶋)深く考えれば、そういうところまで発展しますよね。視点を少し戻して、この白石隆浩という男について。彼自身は、悩みも相当あった。詳細は省きますが、捕まって執行猶予中だったそうです。彼自体は、どうなのですか? 金を盗ったとか、女性を乱暴したとか、そういう奴なのですか? それとも、彼も自殺願望みたいなものを持っていたのですか?

佐藤)根底においては、自殺かどうかはともかく、滅茶苦茶になっても構わないという、「自己破滅衝動」みたいなものが、彼自身にあったのでしょう。その意味では、私は今回の報道を見ていて思うのは、秋葉原事件(2008年)の犯人です。

高嶋)車で無差別に多くの人を轢いた事件ですね。犯人の名前は何だったか……

佐藤)加藤智大です。あるいは、大阪の教育大附属の池田小学校で無差別殺傷事件(2001年)を起こした宅間守とか、こういう人たちには「破壊衝動」がありますよね。その破壊衝動は「他者を殺す」という破壊とともに、自分にも向かっている。こういう人と同じような、「自分で死ぬ」というのは怖くてできない、しかし、「公権力によって殺される」という形なら構わないという人間。精神鑑定の結果を見ないと分かりませんが、精神異常、というより「善悪の区別がついているのに止められない」という”人格異常”ですね。こういう可能性があります。

高嶋)一言、SNSについてはどう思っていますか?

佐藤)これは、もう阻止のしようが無い。それを前提条件として、どういう形で抑制できるのか。それから、自殺願望者に対する社会的ケア。これは本人を救い出すとともに、特にテロに繋がった場合、大変なことになる。今回の、このような「人を募集する」事件は、テロに繋がり得るのです。

高嶋ひでたけのあさラジ!
FM93AM1242ニッポン放送 月~金 6:00~8:00

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