7/13(木)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!④
検察官の判断に異例の「ノー」
7:17~やじうまニュースネットワーク:コメンテーター山本秀也(産経新聞論説委員)
違法残業を強いる企業への警告が目的か
広告大手の電通による違法残業事件で、東京簡易裁判所は、労働基準法違反の罪で略式起訴された電通に対し、正式な裁判を開くことを決めました。
一昨年、新入社員の高橋まつりさんが過労で自殺し、政府の働き方改革の議論にも影響した事件は、公開の法廷で審議されることになります。「略式手続きという書面が相当だ」と主張する検察官の判断に、簡易裁判所が「ノー」を突きつけるケースはきわめて少ないです。ただ、今年に入って長時間の労働事件では、正式裁判に入るのは少なくとも3件目ということになります。
ある検察の幹部は「結論はどうせ罰金刑で変わらないはずで、わざわざ裁判を開く理由はない」とか「新たな事実が次々と明らかになるとは思えない」と疑問を呈する声もあるのはあるのですが、正式裁判になると、略式手続きとは異なり、公開の法廷で被告が供述したり、証人が証言をしたりする可能性もあります。今回も電通の経営幹部が、東京簡易裁判所に出廷する方向になります。ですので、厚生労働省のある幹部は、「企業へのダメージは計り知れず、違法残業を強いる他の企業への警告になるのではないか」と指摘する人もいます。高嶋)とにかく、「簡易裁判所が検察側の略式起訴を退ける」というのは、無かったわけではないですが、非常に稀である、と。
山本)珍しいケースですよね。
高嶋)これはイメージで言うと、よく裁判のニュースで、東京地裁の法廷とかが映りますよね。ああいうところでやるのでしょうか?
山本)正式な裁判となると、そういうことになるわけですよね。ですから、検察の事件に対する見立てと、裁判所の判断がズレてきている、というのが最近のトレンドとなってきた。つまり、世の中の過労死とか長時間労働に対する価値観というのが変わってきている。いまが時代の潮目が変わったときなのでは、と思います。
根本の古い体質を見直すところに来ている高嶋)たしかに政府の方も「働き方改革」とか掲げてやっているし、それから「ブラック企業」がどうのこうの、というのもね……いわゆる「正社員」の数よりも、臨時で雇用される人。それらの賃金の格差とか。それから、いろいろと言われていますが、今度の、電通の高橋まつりさんのケースでは、長時間労働もそうですが、パワハラだとか、「電通鬼十則」だとか。つまり、昔ながらの「日本の株式会社」という古い体質が根本的に問われているようなところもあるわけですよね?
山本)いま仰られた「鬼十則」にしても、あれは昭和の時代の風景ですよね、明らかに。
高嶋)昔はあれを読んで感動したのですが……
山本)当時はそれが合理性を持っていたわけですよ。ところが、時代が変わったと言うことは、新しい働き方……特に派遣や非正規雇用の方がこれだけ増えてくると、そういう人たちが賃金を正当に受け取って、暮らしがちゃんと立っていくような仕組みを作らなければならない。そういう時代に来た、ということでしょうね。
高嶋)そういうことを考えると、こういう裁判もやった方がいいと言うことですよね。
山本)僕はやっていいと思います。それから、検察というのは元々長時間労働みたいな職場ですから。法曹界の中でも長いところですからね。
高嶋)自分のことも考えてみれば、ということですね。この裁判、どのくらいの長さになるのか、どんな雰囲気でやるのか。普通は100万円以下の罰金で、平場で、書類だけで決めてしまうのでしょう?
山本)結論がそうであったとしても、やはり「解明を」、ということですね。