森永卓郎が紐解く!拡大する通販~ヤマトの値上げの是非~しわ寄せの行き先【垣花正あなたとハッピー!】

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FM93AM1242ニッポン放送 月~金8:00~11:30「垣花正とあなたとハッピー」9時のききどころでは、森永卓郎さんが拡大する通販、ヤマトの値上げの是非について紐解きました。


未払いの残業代は数百億になるヤマト

垣花)宅配業者の方は人手不足、過重労働などで大変だというように報道されていますが、そのヤマト運輸が27年ぶりの値上げを検討しているというニュースがありました。

森永)なぜ、このような話になっているかと言うと、まず、これまで、けっこう遅くまでみなさん働いていらっしゃるのですが、その多くがサービス残業になっている。その中で、未払いがあれば払いなさいと是正勧告がなされたのです。正確な額はわからないのですが、今月中には過去の未払い分を含めて全部払うことになったわけです。

垣花)過去というとどのくらい遡るのですか?

森永)どこまで払うかはまだわかっていないのですが、数百億円になるという噂もあります。そうすると、これまでもそれほど利益の出ている商売ではないので、すると会社の経営が苦しくなって、値上げをしなくてはいけないという理屈です。

垣花)でも残業が増えたということは、利用者も増えているので、商売としては儲かっているということになりませんか?


なぜ、宅配便業者は儲からないのか? DM便56円という現実

森永)そうなんです。そこがなんでか、ということなのです。例えばネットワーク型の産業、鉄道や電力、通信、というような商売は固定費の占める割合が大きいのでお客さんが増えると加速度的に儲かっていく規模の経済性が大きくなります。本来であればヤマトの荷物はものすごく増えているので、それに比例してどんどん儲かっていいはずです。値上げなどする必要はなく、むしろ値下げできるくらいではないかと思うのですが、そこにカラクリがあるのです。
ヤマトホールディングスという持ち株会社が決算発表の資料をネット上に公開していますが、この2年ほど宅急便の単価がどんどん下がってきています。昨年12月期は前年度比で3.6%も下がっています。
なぜ、単価が下がるのかと言うと、我々個人の利用者は料金表で決まっていますが、通販業者等の大口利用者は個別の相対の交渉で料金が決まります。

垣花)我々個人が利用するのと、法人が利用する時では料金が違うのですね。

森永)ヤマトホールディングスの資料だと宅急便の平均単価は563円。我々個人が送ると1000円くらいかかります。一説によると大口利用客、例えばアマゾンが払っている平均単価は300円! と言われています。さらにクロネコDM便というものがあります。昔は個人も使えましたが、今は使えませんが、そのDM便の平均単価、これは全国一律料金で、どこへ送ってもなんと56円!

垣花)DM便というのはどういうものでしたっけ?

森永)A4サイズくらいで厚さは2センチ以下であれば1キロまで全国に送れます。それはないだろう、と私は思います。

垣花)安すぎるだろうと。


大口の通販業者の料金が安すぎる!

森永)ようするに、なぜ苦しいかといったら、大口利用者の料金が安すぎるのです。われわれも責任があるのは、ネット通販で2000円以上買うと送料が無料になるとか、アマゾンだとプライム会員になると、対象商品であれば何回買っても送料無料になります。

垣花)我々にとって送料無料がいつしか当たり前という感覚になってしまっているということはありますね。

森永)洗剤からトイレットペーパーからみんなネットで買うようになってしまって、それがすべてヤマトの現場の人たちの長時間労働に結びついている。やはり、適切な価格にすることは必要ではないかなと思います。

垣花)例えば、ヤマト運輸とアマゾンとの料金を決める時の交渉の段階でヤマトは相当足許を見られたということですか?


宅配便業者は三社一体になって交渉をすべき

森永)アマゾンは元々、佐川が運んでいたのですが、あまりにひどいのでやめて、ヤマトに行ったという経緯があります。だから、ここでヤマトが「やーめた」と言うと、能力的に出来るのは日本郵便しかないのです。なので、この三社が一体化して「ひどい値引きはもう受け付けません」と言って交渉をしたほうがいいと私は思います。

垣花)そこには佐川VSヤマトという会社同士の闘いがあったのですね。


通販業者の適正料金を決めるべき

森永)個人が宅急便出す時は何も悪いことはせず、昔通りにやっているわけです。だからここを値上げしたり、配達の時間指定も現在は20時以降というのが指定できるのですが、今後、19時までとなって、できなくなります。そうすると、私などは19時には帰れなくて困る。だから、個人の利用客にしわ寄せをするのではなく、原因は大口なのだから大口ときちんと話し合って改善策を見出すということが正しいのではないかと、私は思います。

垣花)みんな一律同じように、大口も法人も個人も一律値上げだったら納得するけれど、個人だけにしわ寄せが行くというのはちょっと違うのではないかということですね。

森永)クロネコDM便が56円はないだろう。今、地下鉄を一駅乗ったって、その二倍以上取られるのですよ。

垣花)いま自分たちが宅急便を送る側の立場で考えると、「そりゃ、納得できないよ」と言うのですが、アマゾンで買い物をした時の受け取る側で考えると、ただのほうがいいというその恩恵に預かっているという現実があります。

森永)送料無料になる金額までついついまとめ買いしてしまうことがあります。ちょっと使いすぎているのではないかな。

垣花)会社としては大口に対しては優遇をするということで儲かる仕組みがあるのですか?

森永)宅配便会社にとっては大口のシェアというものはとても大きいので、そこが抜けると今度、経営が逆に危うくなってしまうのです。
なので、結論としては、きちんとした適正料金を決めるべきだと思います。56円で運べるはすがないだろうと私は言いたい!

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