働き方改革のススメ!第一歩は企業が残業代をすべて払うところから!【垣花正あなたとハッピー!】

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FM93AM1242ニッポン放送 月~金8:00~11:30「垣花正とあなたとハッピー
今日5/31(水)「9時の聞きどこ」では、経済ジャーナリストの森永卓郎が「働き方改革のススメ!企業は残業代をすべて払うところから残業問題を考えるべき!」と題して持論を展開しました!


残業代をきっちり支払えば働き方改革はおのずと生まれる

最近よく耳にする『働き方改革』。政府が推奨している働き方改革について森永卓郎さんに解説をお願いします。そもそも働き方改革とは何なのでしょう。

安倍晋三首相

平成29年5月24日生産性向上国民運動推進協議会


「働き改革」の二つの目的

森永) 大きく分けると2つ目的があります。1つは人口がこれから減っていく中で経済規模を維持しようと思うと生産性を高めないとならない、1人がよりたくさん稼げるようにしないといけない。ところが今のように毎日夜遅くまで働いていると疲れて効率が落ちてしまう。だから思い切って働き方を変えて生産性を上げましょうという経済の要因が1つ。
もう1つは個人の生活の要因で、遅くまで働いていると家に帰ったらバタッと寝てしまう。それだけの暮らしだとハッピーになれない。だから早く家に帰って家族や地域社会、あるいは仕事以外の仲間と付き合える環境にしていきましょうという2つの目的を達成しようという改革です。私はいつも政府の悪口を言っているわけではなくて、この方向性は全くもって正しいと思っています。

垣花) 目標を掲げて、目標は分かっている。正しいと。それをどういうふうに進めていくのかってところですね。


残業時間は月60時間。繁忙期は100時間まで

森永) この具体策ですが、今年の3月に働き方改革実行計画というのを政府が決めて。その中身ですが、残業時間を年間720時間、月60時間。繁忙期でも上限は月100時間に抑えましょうと。これを罰則付きで、今三六協定を結ぶといくらでも残業させられますが、それは駄目だと。どんなに多くても1ヶ月100時間というルールを労働基準法改正で実現して、再来年の4月からこれを実施するという予定です。


一部の企業の進める強制終了は、持ち帰り残業になってしまう

垣花) 一方でこういうニュースも入っています。大手商社三井物産は明日から個人単位での自社出勤制度を開始します。一日当たりの所定労働時間7時間15分というのは変えずに、始業時間を午前7時45分から10時45分まで、15分刻みで選んでくださいと。朝早くから働きたい方もいれば、ちょっと遅めに働きたい人もいる。それを15分刻みで選んでいいですよというのが始まる。また一般企業だけではなく静岡県庁は明日から、各部、各局単位で原則月1回は午後6時半に完全に消灯しますよと。そういうのを導入すると。これについてはどうですか?

森永) フレックスタイムの方は良いと思いますが、一定の時間でバタッと消灯する。一部の企業ですでに始めていますが、そうなると例えばコンピューターが夜7時半になるとバタッと一斉に落ちちゃう。私はこういう暴力的なやり方はやめたほうがいいと思います。いろんな資料とか作っているときに「さあもうすぐだ!」というところで、“バタッ!”と落ちるとムカつくし、かえって生産性が落ちる。さらに結果的に何が起きるかというと、全部持ち帰り残業になってしまう。だから私は強制終了というようなことをやるべきではないと思います。


企業が強制終了するもう一つの理由~学生が会社を選ぶポイントは休日休暇

森永) なぜ企業がそういうことをするのかというと、今、労働時間が短いということが、学生が企業を選ぶ大きなポイントになっている。マイナビという就職サイトの調査だと、休日休暇を企業選びのポイントに挙げた学生というのはこの数年で倍増している。そういう企業を選びますかというアンケートによると、お休みが多い会社と回答しています。しかも、彼らが夜の10時くらいになると双眼鏡を持って有楽町とか大手町とか回るわけです。
夜のオフィスを見て、人が働いているのを見つけると『この会社はブラック』という情報をSNSで回します。ニッポン放送なんか100%ブラックになってしまう。

那須) ニッポン放送は24時間営業ですからね。


『ワークライフバランスを語って良いのは一人前になってから』

森永) だけど、私は学生たちに言いたい。それは『ワークライフバランスを語って良いのは一人前になってからだ』というのを強く主張したい!
なぜかと言うと、最初の2、3年は使い物にならないわけです。仕事を覚える時間はガンガン働いて早く一人前にならないと、そのあとちゃんといけない。新入社員のくせにいきなり「たっぷり休ませてください」と言うのは、私は間違いだと思います。


勉強させてもらいながら残業していた森永卓郎の新入社員時代

森永) 私なんか時効だから言いますけど、今から37年前に入社したときは朝8時半に出社して毎日午前2時から3時。例えば夕方、先輩から「その予算ベースで森永君、損益計算票と貸借対照表を作っといてくれ」と1人残された。
会社の決算書類と同じようなものを予算ベースで作っておけと。徹夜です。でもそれを潜り抜けたから会社の財務というのがすごくよく分かるようになった。しかもこのとき会社が偉かったのは、残業代全部くれたこと。本当は勉強させてもらっているのだけれど、今から40年近く前で、月給手取り35万円貰っていました。残業は250時間超えていましたから。

垣花) 森永さんはちゃんと仕事というのを教えてもらいながらお金を貰えていたと。今でいうブラック企業ではなかったということですね。


残業代をすべて払うというところから残業問題を考えたヤマト運輸の例

森永) 一番働き方改革に望ましいのは、残業を時間規制するのではなくて全部金を払うというようにすれば、おのずとブレーキがかかるわけです。
実はヤマト運輸が配達時間の20時から21時を廃して19時から21時に広げます。なぜかと言うと20時過ぎに集中してしまい、もう回らなくなってしまった。なぜそうなったかと言うと、ヤマト運輸は残業代を全部払うという決断をした。すると今みたいに21時過ぎてもずっと残業しているようなことをやっていると会社の経営がもたない。そこで働き方を変えようということになったわけです。

垣花) ヤマト運輸は良い例ですね。払うと決めたところから改革が始まっていると。

森永) そういうふうにすれば、若者は育てないといけないなと会社が判断したらガンガン働かせることもできる。残業代を支払えば、従業員の健康面のケアを含めて働き方改革はおのずと起こるのです。何でそこに気づかないのでしょう。

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