ゴールデンウィークに本を読もう!森永卓郎の魂を揺さぶった3冊!【垣花正あなたとハッピー!】

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FM93AM1242ニッポン放送 月~金8:00~11:30「垣花正とあなたとハッピー
今日5/3(水・祝)「9時の聴きどこ!」は経済ジャーナリストの森永卓郎が「ゴールデンウィークに本を読もう!森永卓郎の魂を揺さぶった3冊!」

垣花)ゴールデンウィーク真っ只中。今日は森永卓郎さんに大きな影響を与え、今の森永卓郎さんを形作ったと言っても過言ではないという本を3冊紹介してもらいますが、時間がある、余裕があるという方はゴールデンウィーク中に是非読書してみてください。
ちなみに森永卓郎さんの読書量というのはどれくらいなのですか?

森永)最後まで読むのは月に3冊くらいですね。

垣花)“最後まで読むのは”? もう途中までで止めちゃうことが多いのですか?

森永)「30ページルール」というものを課していて、30ページまで読んでダメだと思ったら次に行くっていう(笑)。

垣花)面白い! ちなみに、じゃあ手に取る本の冊数は月にどれくらい?

森永)月に20冊くらいですかね。

垣花)でも森永さんの書評を読んでいると、すごく分かりやすくまとめるのがやっぱり上手いのですよね。

森永)でも私は分からないやつは30ページで終わってしまうので(笑)。

那須)え、読まずに書いているのですか?

森永)いや違う違う。書評を書くのは読んでいますよ。その条件をクリアしたのだけで書評を書いている。

垣花)そういうことなのですね。しっかり自分に合う本、合わない本を選んでいるということなのですが、そのいろんな本の中の師玉の3冊ですから。


現代の格差社会を大予言!?斎藤貴男著「機会不平等」

垣花)これけっこう僕はマニアックというか、意外な本のタイトルが並んでいました。まず1冊目からよろしくお願い致します。

森永)1冊目は、2000年に発売された斎藤貴男さんの「機会不平等」です。

機会不平等,斎藤貴男

垣花)斎藤貴男さんというジャーナリストが書かれた本ですね。

森永)そうです。「ゴルゴ13」ではありません。別の斎藤貴男さんなのですけれども。

垣花)ひらがな表記の漫画家の方ではなく。確かにそうですね(笑)。

森永)この本は2000年に出た。小泉内閣が2001年なので、その前に今の格差社会というものの到来を予言した本なのですよ。

垣花)え、小泉内閣誕生前ですか?

森永)誕生前なのです。なぜこの格差社会になったのかというのを、いろんなインタビューを基に書いているのですけど、この本の冒頭で江崎玲於奈さん、ノーベル賞を獲った人いますよね、彼が教育改革国民会議の座長だったのですけれども、すごい発言をしているのです。
遺伝的な資質と生まれた後の環境や教育で、どちらが人間に影響を与えるか。江崎玲於奈さんは「僕は遺伝だと思っています」と。つまりこれが全ての原点なのですよ。要するに「できない奴に教えても何にもならない、平等だなんだと言っているんじゃない、できる奴を選んでそれにエリート教育をさせてトップに据えるんだ」という思想がこの頃から生まれたわけです。

垣花)それでも怖いことですよね。才能がある人を伸ばしてあげるのはもちろん良いですよ。だけど端からそういう思い込みで「やっても駄目な奴に教育の機会なんて関係無いんだ」みたいなことを言われちゃうと。

森永)でもここにその本質がズラーっといっぱい書いてあって、私は怖いなと思って見ていたらその通りに世の中が動いていったということで。

垣花)ということは斎藤貴男さんというのはちゃんとデータに基づいた上での未来を予測する、ある種予言者のような的中率なのですね。

森永)最近のジャーナリストとしては、馬鹿正直というかおバカだと思うのですよ。彼は大量の資料を調べて地べたを這いつくばるようにしてインタビューを重ねて、膨大な取材の中から1冊の本を書くのですよ。だからものすごく効率が悪いのですけれども、でもやっぱりきちんと現データに当たっているというか、基に当たっているのですごく説得力が高いですよね。

垣花)それでこれ2000年に機会不平等という本、これが出て森永さんは感動し、2016年に最新版が出たのですか。つまり去年ですね。その最新版ではなんと、対談に森永卓郎さんが選ばれたと。斎藤貴男さんと。

森永)はい。私と斎藤貴男さんで対談をしたのが巻末に付いているのですけど、これの前のバージョンが文春文庫なんかで出ているのですけど、そこは私があとがきを書いています。最初はなにも無かったのですけど、あとがきなり対談なり。

垣花)岩波現代文庫から定価1,100円で出ているこの本。

森永)まあどんどん部数が少なくなって高くなってきているのですけど(笑)。

垣花)これでもどういう人におすすめなのですか?

森永)なぜこんな格差社会になっているのだろうなと疑問に思う人は、その理由、仕組みがよく分かります。エリートの人たちが本音でなにを考えているのかというのがここに書いてある。

垣花)「機会不平等」という本です。


宗教は嘘でも庶民の生活を豊かにしなければならない!笠原一男著「転換期の宗教」

垣花)続いて森永卓郎さんの魂揺さぶった3冊の2冊目をお願いします。

森永)笠原一男さんの「転換期の宗教」です。

転換期の宗教,笠原一男

垣花)これ昭和41年の本なのです。だから実は絶版になっていて、一応スタジオにありますけどこれもNHKブックスから出ているのですが、いわゆる絶版になっている本なのでネットで探して、安かったものを手に入れたと。

森永)そうなのです。これは私が大学に入ったときに日本史の授業を選択したら、そのときの教授がこの笠原さんだったのですけど、日本史を教えるっていうのに1年間、親鸞に始まり日蓮で終わるという。「お前10年くらいしか動いてねえじゃん!」っていうすごい日本史の授業だったのですけど。
ここで宗教とは何かっていう“笠原説”がすごく腑に落ちるというか。彼の研究によると、日本でたくさんの宗教が出て来たのは、古代から封建、鎌倉幕府ができたときですね。そして封建から近代、明治維新のとき。そして近代から現代、太平洋戦争が終わったとき。この3ヶ所でドーンとたくさんの宗教が出て来ているのです。

垣花)逆に言うと、その3ヶ所に区切れるのですね、(宗教が)生まれる瞬間というのが。

森永)そうそう。集中しているのです。なぜかというと時代の大きな転換期はものすごく経済が大混乱して、皆が苦しい生活に追い込まれる。その庶民の苦しみを救うのが宗教なのだというのが笠原説で。
笠原説の一番すごいところは、そういう皆が苦しんでいるときは嘘八百でいいのだ。教義なんて嘘だと。「あの世に言ったら極楽浄土が待っています」。こんなのは全部嘘なのだと。嘘だという風に分かっていても、その嘘を本当ですよと言って信じ込ませるのが宗教家の役割なのだと。なぜかというとそういう信仰の心があると、現実は苦しいのだけれども「あの世に行ったら救われるんだ……」って思えば現世を活き活きと生きられる。これは笠原理論ですよ。
笠原先生から聴いた話で一番に残っているのは、終戦直後に「エジソン教」というのが立ち上がったのですって。新興宗教の一種なのですけれども、その教祖をインタビューしに行ったら「笠原君、君は見込みがあるから、今まで誰にも見せたことがないのだけど、君にだけ御本尊、エジソン教の御本尊を見せよう」と言って教団に連れて行ってくれたのですって。それでビロードの布がかかっている御本尊の布をパッと外したら、中から1個電球が出て来たそうです。“エジソン教”だから電球がご神体。でもそれでも良いのだと。要するに、信じられれば電球でも良いのだというのが笠原理論なのです。

垣花)それはなんで見せてくれたのでしょうね? ある種の“タネ明かし”みたいなものじゃないですか。手品師がタネを教えているようなものでしょう。

森永)多分教祖はその電球を信じると思ったのだろうと思うのですけど、笠原さんはいっぱい見ているので、電球信仰にはならなかったと。

垣花)まさに見たりと。つまりそういうものなのだけれど、だからこそ必要だとも言えるし、それこそが宗教家の役割であるという。

森永)だから宗教家というのは、国民・庶民の生活を豊かにするというのが第1の目的なので、そこに生活を破壊するようなお布施を取ったり、あるいは反社会的な行動をするカルト教団とかいたりしますよね、あれは駄目だと。

垣花)そこに導いてはいけないのだと。

森永)だから仏像を作っても伽藍を作っても、そこに“魂”入れないといけないのだと言っていて、魂の入っていない伽藍を“伽藍洞”と言うのだ、というのが笠原さんのギャグだったのですけど(笑)。

垣花)ギャグなんだ(笑)。上手いこと言うなと思ったら。

那須)でもそうですね、心の問題ですよね。

垣花)それを悪とはしないのですね。良いように導くのであればやはり良いものなのだということなのですね。「転換期の宗教」という本が森永さんおすすめの2冊目でした。


離婚が4年目に多いのは新しい遺伝子を求めているから!?ヘレン・E・フィッシャー著「愛はなぜ終わるのか」

垣花)そして3冊目お願いします。

森永)3冊目はヘレン・E・フィッシャーの書いた「愛はなぜ終わるのか」という本です。

愛はなぜ終わるのか―結婚・不倫・離婚の自然史,ヘレン・E・フィッシャー,吉田利子

垣花)これはアメリカの大ベストセラーらしいですね。

森永)日本でもベストセラーになったのですけれども、離婚のタイミングを見てみると3年半から4年のところでドンと離婚するのです。なんでそういうことになっているのか。
これはフィッシャー説ですけれども、要するに人間というのは長い生活の中で、特に女性は子供を産んでからしばらくは子育てに手を取られて身動きが取れないわけです。その期間っていうのは夫の庇護が必要だと。夫に護って貰わないといけない。

那須)ほかのことは全部お任せして育てることに専念できるように。

森永)そうそう。ところが4年経つと子供も手が離れて自立できるわけです。そこで女性は「まあ今まで子育てに貢献してくれたから、コイツはもういいや……」と思って(笑)。

垣花)DNAレベルでね。

森永)そうそう(笑)。それで、次の新しい遺伝子を探しに行くという、これが動物の本能なのだと。

那須)種の保存の為には次にと。なるほど。

森永)いろんな男性との間に子供を作っておいた方が女性は有利なのですよ、自分のDNAを広げるっていう意味では。

垣花)よく男性の本能として自分のDNAをそれこそいろんなメスに、あちこちに浮気をする理屈として言ったりしますけど、女性側からしても子育てを終えるという4年周期で人を愛したり恋したりする気持ちが無くなるのは、組み込まれてしまっていることなのだと。

森永)そうそう。それでこのフィッシャー説には世界中から批判が殺到して、今議論が真っ二つに分かれているのですけど、私はこれ正しいのかなって今でも思うのは、私の友人で勝間和代という経済評論家がいるのですね。彼女は2回離婚しているのですけど、なんで最初の旦那と離婚したのですかと訊いたら「彼はワイルドなタイプだったんで、ちょっと2回目の結婚で新しい遺伝子が欲しかったの」って言ったのですよ(笑)。「おお、お前フィッシャーか!!」っておもったのですけれども。

垣花)自分の欲求に忠実に生きている方もいらっしゃると。

森永)だから生活力が彼女はあるのですけれども、でもやっぱりそういうものなのかなと。

垣花)これは「愛はなぜ終わるのか」という本なのですけれど、つまりは、我々は結局愛だ恋だと言っているけど、DNAに踊らされているだけだという本な訳ですね。それを踏まえた上で森永さんに最後に伺いますが、愛の伝道師森永卓郎さんに。愛とは何ですか?

森永)愛とは……幻想です(笑)。

垣花)じゃあ貴方はそれを分かった上で「リリリン♪」とか言っている訳ですね。

那須)いや、求める心、これで幸せになれれば良いと。宗教ですね(笑)。

森永)そうそう。だから良いじゃないですか。それで皆が幸せになれば。

垣花)それが「転換期の宗教」に繋がり、そしてモテる人とモテない人がいるわけだから「機会不平等」に繋がる訳ですか。

森永)そうです。

垣花)一貫していますね。

森永)だから私はその中で一貫して平等主義を唱えています。

垣花)なるほどね。

森永)愛の平等主義。

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