ラスベガス銃乱射事件~なぜISは犯行声明を出したのか?
公開: 更新:
10/5(木)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!②
ISが追認する世界中のテロも実は単独犯のものが多い
7:02~ひでたけのニュースガツンと言わせて!:コメンテーター佐藤優(元外務省主任分析官・作家)
IS犯行声明を追認したことでわかる新たな事実
ラスベガスで起きた銃乱射事件。犯人のスティーヴン・パドック氏は犯行後すでに自殺し、詳しい動機などは未だに確認されていません。イスラム国(IS)が犯行声明を出していますが、現段階ではつながりを確認できないとし、米当局はローンウルフ型の単独犯によるものとしています。
高嶋)ラスベガスの銃乱射事件。元会計士で、数億円の資産家で、ものすごいギャンブル好きで、それ以上にガンマニア。昨日のニュースでは自宅なども含め、49の銃器が押収された。ホテルの部屋からは銃が23丁。計画的な、過去最悪の大量殺人とのことですが、これに関していちばん大切なことは、何ですか?
佐藤)いちばん大事なことは、今回、イスラム国過激派の、ISが追認したことです。どう見ても、これは関係ないでしょう? ようするに、イスラム国が世界中でテロをしているように見えるけれど、「この種の追認が実は多い」ということが今回明らかになった。ですから、これがたとえば中東から来た大金持ちだと言ったら、「イスラム国のテロか」と、みんな受け止めてしまったでしょう。今回はそれとまったく関係がないですからね。
イスラム国のテロが世界中で起きているというのは、こうした一匹狼(ローンウルフ)型のテロを追認しているのが多いのだということがはっきりした。これがいちばん重要だと思います。高嶋)「バグダディが生きていたから、それで襲った」と書いている記事もありましたね。
佐藤)だから、そういう話を作るのが、この人たちの特徴だということです。
高嶋)ということは、イスラム国は、相当衰退している、ということですか?
佐藤)そういうことです。だからイメージ戦略をしている。今回、この種のところでプロパガンダをやっても、すぐに底が割れる、ということが見えないほど、レベルが低くなっているということです。
軍の戦闘用に開発された武器が犯罪に使われる現実
高嶋)それが第1点ですか。第2点は?
佐藤)銃の能力が向上していることです。
高嶋)なるほど。個人で戦闘型というか、連射できるような銃を改造できるのですか?
佐藤)改造するというか、ちょっと付属装置を作るだけですから。そんなに大規模な改造は必要としていないのです。
高嶋)それが簡単に買えてしまう?
佐藤)ええ。これは、おそらくは、ビンラディンが生きていたころ、アフガニスタンで戦闘するので、軍の銃の能力がものすごく向上したわけです。すると、それがトリクルダウンではないですが、民間に降りてくるのです。軍隊だけではなく、民間にも売れてくれないと、銃を作っている会社はそれが商売なので困るのです。だから能力が向上していってしまう。これが犯罪に使われると、単に銃というより兵器による犯罪が行われているようなことになってしまう。アメリカ特有の現象ですね。
高嶋)そういうことがあると、ますます身を守ろうとして、銃が売れると言いますね。
佐藤)多分、そうなるでしょうね。しかし、そうしたら、「身を守るために機関銃で銃撃戦をしょっちゅうするのか?」という話になりますから。
高嶋)佐藤さんが仰るには、かつての南北戦争。それ以来の、南北の対立関係みたいな……
佐藤)北は、どちらというと「銃を抑えろ」という考えの人が多い。南は、「自由に持たせろ」と考える人が多い。なので、トランプさんはどちらかというと、南側の発想の人ですからね。ですから、「銃を持たせろ」という感じだったのです。
高嶋)それと、ビルの32階の高さから、400メートル近く離れているところに向かって、夜中に撃たれたら、どこから弾が来ているか分からない。
佐藤)その通りです。
高嶋)すると、みんな瞬間的に伏せますよね。それが今回はかえって狙われやすくなってしまった。
佐藤)そうですね。この400~500メートルというのは、山岳戦闘を想像してみてください。山岳の戦闘で山のから、または山の上に撃つ場合、こういうことをどこでやるかというと、アフガニスタンです。なので、アフガニスタンの戦闘に向けて、銃の能力が改造されていくのが、結果としてこうして回って来たと考えています。
高嶋)そういう現実の戦争がもたらした影響というのが、こういうテロにも出てくる、ということですね。
高嶋ひでたけのあさラジ!
FM93AM1242ニッポン放送 月~金 6:00~8:00