中国宋濤氏の北朝鮮訪問はなぜ空振りしたのか?
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11/23(木)FM93AM1242ニッポン放送『飯田浩司のあさラジ!』今日の聴きどころ!②
アメリカが北朝鮮を「テロ支援国家」に再指定
7:02~飯田浩司のニュースガツンと言わせて!:コメンテーター山本秀也(産経新聞論説委員)
空振りに終わった宋濤氏の北朝鮮訪問
中国共産党の中央対外連絡部の宋濤(そう とう)部長が20日、北朝鮮訪問を終えたが当初期待されていた金正恩委員長との会談は実現せず、空振りに終わった。それを受けてアメリカのトランプ大統領は北朝鮮を「テロ支援国家」に再指定し、北朝鮮と中国の13の団体に対し追加制裁を実施した。
飯田)アメリカが北朝鮮を「テロ支援国家」に再指定、追加制裁ということですが、再びテロ支援国家に指定したと。中朝13団体に追加制裁ということなのですけども、これが果たしてどこまで効くのかという感じなのですが。
山本)セカンダリー・サンクション――二次制裁と言われるものですよね。この間のトランプ大統領の訪中のとき、アメリカと中国の間で国連制裁ということでは一応共通の括りが確認されたわけで、その枠の中で「しっかりやってくれよ」という話で、中国もそれを受けて共産党の中央対外連絡部の宋濤(そう とう)部長を特使として訪朝させたというところまで行ったのですが。
この訪朝自体がどうも空振りだったということで、アメリカ側は「あれが駄目なのだったらこちらの手の内でできる策をしようか」ということで、ついてはその中で中国にもしっかりとやってもらわなければいけないわけですが、制裁がザルになっている理由のひとつは中国企業が勝手な商売をやっているからだということです。「それは当然制裁の対象にさせてもらいますから」ということで中国の企業も入ったということですね。これに対して北朝鮮、中国双方とも不満を述べていると、これが今現在の状態ですね。
訪朝が空振りに終わったのは北朝鮮からの何らかの“条件”?
飯田)確かにトランプさんがTwitterでも宋濤さんが行ったときに「注目しよう」という風にツイートしていて、それで手ぶらで帰って来たものだからすぐに制裁が来ましたものね。
山本)まあ準備はしていましたよね。そこで、何で空振りになったのかというところですが、今出て来ている状態からするとやはり金正恩とトップ会談はできなかったと。まあ当たり前のことですが、これはそういう風に見て良いと思います。
ただ会えないのに中国は特使を出すかというと、それは中国の国内事情でできないはずなので、北京を出発する段階では“会える”という画は一応描いていたはずなのですね。
飯田)ある程度の見込みが立ったということであれは行ったのだと。
山本)でなければ単に面子を潰しに行くだけになりますから、それは中国としてはやりたくないわけですよね。それで政権の高官と会うだけでは話にならないと。しかも国家主席、党の総書記の特使ですから、これは当然手紙なりメッセージなりを持って行くわけですから、そこで会えなかったということは北京を出発する段階で一応できていた話が平壌に着いたら話が違っていたという風に見るべきでしょうね。
その話が違う条件というのは政治的なものもあると思うのですが、私は中国と北朝鮮の関係からすると何らかの利益供与の問題だと思いますね。
飯田)裏援助とかそういうことですか?
山本)そういうものを含めてですね。それが何なのかは分からないです。制裁をどこまでがっちりとやるのか、あるいは手を少し緩めるのかというような問題だったのかもしれませんし、あるいはもう少しストレートな物資なり式なりということだったのかもしれません。それは分かりませんが、何らかの条件があってそれを平壌に着いて高官と会ってみたら吊り上げて来たと、こう見ると今回の画が崩れた構図は自然に読めると思いますね。
飯田)それで側近と話して宴会だけをやって、すぐ帰って来たと。
山本)それで「話が違うじゃないか」ということになって「それは話も何も、私が言えるのはその話だけだ」ということになれば、それはもう「帰らせてもらう」ということで日程を消化したらもう帰ってしまったと。「私が言いたいことは伝えておけよ」という言葉では言ったのだろうと思いますけどね。
訪朝の空振りと「テロ支援国家」再指定は日本にとっても無視できない問題
飯田)それで今度アメリカは制裁をして来ると。これ中国からしたら面子を潰された上に後ろから制裁も来て、踏んだり蹴ったりですよね。
山本)まあそれは中国がそうしているわけですから、それは踏んだり蹴ったりを覚悟でやっておられるのでしょうけど、問題は中国云々よりも日本の安全保障の問題に帰結するわけでして、今日の産経新聞の1面は韓国国防省の元高官の話として「北が核弾頭 来月にも量産体制を取る」と。これ私たちは空手では見ていられないですよね。