北朝鮮は東南アジアからサイバーテロを仕掛けている
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11/20(月)FM93AM1242ニッポン放送『須田慎一郎のあさラジ!』今日の聴きどころ!②
通常は有能なプログラマーが本国からの指令でサイバー戦士に早変わり
7:02~ 須田慎一郎のニュースガツンと言わせて!:コメンテーター 高英起(デイリーNKジャパン編集長、ジャーナリスト)
北朝鮮のサイバー空間の守りは脆弱だが、攻撃は強い
日本や韓国でサイバーテロがあると北朝鮮からの攻撃がまず疑われる。北朝鮮のサイバー攻撃力、またIT事情について、北朝鮮情報のスペシャリストでジャーナリストの高英起(コウ・ヨンギ)に詳しく伺う。
須田)産経新聞が一面のトップで、北のインターネットなどのサイバー空間の守りが脆弱だという記事を掲載しています。北朝鮮の攻めるためのサイバー攻撃は非常に強いとよく報道されますが、守りは弱いのですか?
高)そう考えるべきです。IT専門家に北朝鮮のサイバー戦についてインタビューした人も言っていました。そもそも北朝鮮という国内自体がそれほどITのインフラ化されていないところがありますから、あまり守りに気をつかう必要がないです。とくに北朝鮮国内では肝心な情報に関してはアナログですから。
須田)インターネット環境に置かれている人の数が少ないことも加えて、肝心要のところに関してはオフラインと言えばいいのでしょうか。クローズな形になっているからですよね。ただ最近、北朝鮮国内においても携帯電話が大きく普及してきていると聞いていますが、その辺はどうでしょうか?
北朝鮮国内での携帯電話の普及率は上がり、中には出会い系サイトも
高)携帯電話はかなり普及しておりまして400万台から500万台くらい。北朝鮮の人口が2,500万人なので5人に1人か6人に1人が持っていることになります。世帯数でいうとほぼ1世帯に1台にはなっていると思います。平壌に行くとスマホは珍しくはないです。ただ我々が使っている携帯とひとつ違うのは、インターネットには接続ができません。あくまでもイントラネット。北朝鮮国内のネットにしか繋げられない。だからやれることは限られております。ただ一般的な情報に関しては、我々が思っている以上に進んでいることは間違いないです。
須田)一般の市民はどのように活用していますか?
高)電話と写真ですよね。北朝鮮の田舎のほうに行っても、子供がガラケーで風景の写真を撮ったりしていますから。あとは聞くところによると独特の出会い系サイトがあるみたいです。我々が知っている出会い系サイトとは違うと思いますが。そういった感じでとくに若い人たちは楽しんでいます。
須田)国民相互の情報のやり取りは監視されているのでしょうね。
高)話すことに関してはさすがに数が多いので無理だと思います。文字情報に関してのログは当然残りますから。彼らも身に染みて何が駄目だとわかっているので、安易なことはしていないと思います。
北朝鮮のサイバー戦士、普段は第三国のプログラマー
須田)よく日本や韓国などでシステムトラブルが起きると「これは北朝鮮によるサイバーテロだ」と指摘されますけど、本当にそういったサイバーテロは仕掛けているのですか?
高)北朝鮮の攻めのサイバー技術はかなり高いと言われています。これはまだ私も裏を取ったわけではありませんが、東南アジアには北朝鮮のプログラマーやSE(システムエンジニア)という形でたくさん派遣されています。面白いのは、普段はプログラマーとして企業で働いていて非常に優秀で、それだけで普通に生活できるほどの収入は得ています。ところがいざ本国から指令が来たらサイバー戦士に早変わりをして夜になるとサイバーテロを仕掛けているという映画のような話があるらしいですけど。おそらく本当だと思いますし、そういうやり方は彼らにとっては一番合理的なのでしょうね。
須田)これでわかったのは、我々のサイバーテロと聞くと北朝鮮国内からテロを仕掛けていると思ったら、第三国からやっていると。
高)なかなか追いかけることもできなし、実際に東南アジアではシンガポールも含めてそういった企業がたくさんありますからね。
須田)それを防御することはできますか?
高)事実上不可能に近いですけど、そこはセキュリティを強化していくしかないでしょうね。
須田)日本も韓国も守りを固めていく以外に方法はないのかなと。
高)先ほどの話に戻りますが、北朝鮮は守るほうに力を入れなくていいというところが彼らの最大の強みでもあるということです。
高嶋ひでたけのあさラジ!
FM93AM1242ニッポン放送 月~金 6:00~8:00