中国が北朝鮮に特使を送る本当の意味

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11/16(木)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!②

北朝鮮は米の示したレッッドラインをすでに超えている?
6:34~ニュースやじうま総研!ズバリ言わせて!:コメンテーター佐藤優(元外務省主任分析官・作家)

宋濤

安倍晋三首相との会談のため官邸に入る中国共産党の宋濤中央対外連絡部長=2017年8月8日午後、首相官邸 写真提供:産経新聞社

習近平主席の特使がこの時期に訪朝する本当の意味

中国共産党は15日、習近平主席の特使として党中央対外連絡部の宋濤部長が北朝鮮を訪問することを発表した。この時期に共産党の高官が訪朝するということはどういうことなのだろうか。佐藤優氏に聞く。

高嶋)トランプさんが10日間アジア歴訪しました。いろいろなところでビジネスもやったのですが、佐藤さんが注目しているのが、ダナンで行った、習近平とトランプの会談ですね。

佐藤)そうですね。

高嶋)それと同時に、いま入っているニュースで「中国共産党の習近平総書記の特使として、党中央対外連絡部の宋濤部長が、北朝鮮を17日に訪問する」と。これが大きいということですが。

佐藤)共産党の対外連絡部長というのは、日本では「宋濤さんって誰?」と思うかもしれませんが、これは外務大臣より偉いのです。中国は共産党が政策を指導する立場にあるので、外務大臣は下請けなのです。なので、その意味においては、中国の外交の方針を知っている最高幹部と思っていいですね。

高嶋)これは、「党中央対外連絡部」の部長?

佐藤)そうです。共産党の外務大臣です。それは何かと言うと、これは私の推測ですが、アメリカは中国に「この線を越えたら戦争になる」と、レッドラインを伝えているはずなのです。一昔前までは、トランプ政権登場までは、「ICBMを開発したら、レッドラインで戦争」だったのですが、ICBMを北が持っているのは、アメリカはもう認定している。それで戦争が起きていないということは、「レッドラインではない」ということです。

高嶋)黙認してしまった?

佐藤)はい。あるいは「核兵器の小型化がレッドライン」と言われていた。ところが、「小型化もできている」が、いまのアメリカの見方ですよね。しかし戦争にはなっていない。となると、このままレッドライン無しで、どこまでも北朝鮮のやりたい放題なのか、それともどこかでレッドラインがあるのか、きっちり示さないと、外交ゲームにならない。

訪朝は米の明確なレッドラインを北朝鮮に伝えるため

高嶋)ダナンの習近平・トランプ会談で大きいことが決まり、そしてその意味合いも含め、宋部長が(北朝鮮へ)行く、ということですか?

佐藤)大きなことが決まった、と言うよりも、トランプは「これをやったら、俺はやるからな」と話をして、「ちょっと待ってくれ」と習近平が言ったのかもしれない。しかし、いずれにせよ、トランプが「この線を越えたらやると言っている」ということは、北朝鮮に伝えないといけない。だから、その意味で伝言をやっている。そうでなければ、共産党大会の報告だったら、もっと早く行ってもいいわけですよ。なので、これは明らかに米中首脳会談を待っています。そこをふまえたうえで、アメリカのメッセージを伝えに行った、と私は見ています。

高嶋)中国高官の訪朝は、滅多にないことなのですね。相当、重要な意味を持っている。

佐藤)5年前の党大会の後に行ったときは、金正恩と会っていますからね。高いレベルと会える数少ないチャンスなのです。

高嶋)なるほど。レッドラインへの忠告ですか。

佐藤)そうですね。忠告兼警告兼レッドラインの伝達、ということではないかと思います。

高嶋ひでたけのあさラジ!
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