トランプ大統領訪中~習主席の皇帝のような歓待ぶりはいかがなものか

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11/9(木)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!③

日米で違い過ぎる文化行動
7:10~やじうまニュースネットワーク:コメンテーター山本秀也(産経新聞論説委員)

トランプ 習近平

北京の故宮で、並んで座るトランプ米大統領(左)と習近平中国国家主席(中国・北京) 写真提供:時事通信

トランプ大統領が中国を訪問~習近平国家主席と会談

中国は今回のトランプ大統領の中国訪問を「国事訪問より格上」と位置付けて、首脳2人の個人的関係の構築を重視しています。

トランプ大統領が4月に習近平国家主席をフロリダの別荘で厚くもてなした返礼ということで、昨日は故宮博物院を臨時閉館しまして、習近平夫妻がトランプ夫妻を案内しました。故宮の中の施設で京劇を観劇したトランプ大統領は記者団に「素晴らしい時間だ」と述べていました。

また昨日はアメリカと中国の間で90億ドル(約1兆円)の商談がまとまり、今日さらに多くの契約がまとまる見通しだということです。昨日まとまった商談は航空機や高度生産技術、生命科学などおよそ19項目で、中国側がアメリカの製品や技術を購入するのが大半を占めると見られています。

習近平国家主席は今日北京市でトランプ大統領の歓迎式典を行います。その歓迎式典に引き続いて2人の首脳会談が行われます。中国は既に北朝鮮との現行取引の規制なども行っておりまして、トランプ政権に対北朝鮮で協力する姿勢を示して来ているのですが、習近平国家主席は更なる北朝鮮への圧力強化に同意することについてはやや消極的です。

一方のトランプ大統領は昨日の韓国の国会での演説で中国を名指ししまして、中国に対し北朝鮮との外交や貿易関係の遮断も求めています。「中国はなぜ北朝鮮を助ける義務があると感じているのか」とこのように演説で疑問を呈しています。これに対し中国外務省の華春瑩(ホァ・チュンイン かしゅんえい)副報道局長は「安全保障理事会の制裁決議の枠外となる正常な付き合いは継続されるべきだ」とこう述べてトランプ大統領の要求を拒否する考えを示しています。

トランプ 習近平

ドナルド・トランプ米国大統領は、2017年11月9日に北京の人民大会堂で歓迎式に参加。/ AFP PHOTO / JIM WATSON 写真提供:時事通信

中国は「国事訪問より格上」と位置付けておもてなし 建国以来の大歓待

高嶋)例のキリッとした女性スポークスマンは「暗にそれは受け付けられない」ということを表明しているわけですよね。

山本)予告ですね。

高嶋)どうですか、中国の習近平夫妻の国賓プラスアルファの歓待ぶりは?

山本)習近平になってからアメリカの大統領は途中で変わっていますけど、米中のやり取りを見て、やはり文化的に噛み合っていないのですよね。

高嶋)でも建国以来初の大歓待だと。

山本)そうなのですけど、アメリカは中国の首脳が来たときにアメリカ式にもてなそうと家族式でやったり別荘地に連れて行ったりとするのですけど、習近平は全然楽しそうでは無いのですよね(笑)。
逆に昨日ですが、故宮貸し切りでお茶会、それから京劇を見せて夕食会。国事訪問以上の扱いだと中国側はトランプ氏の扱いについて言っているわけですが、これは端から見るとこれをやった習近平の方も国家主席・総書記以上の存在であるということを示していたということで、言ってみれば私は習近平さんの“皇帝化”ということをいつも言っているのですけど、故宮を舞台に皇帝らしい振る舞いをなさったなと。やってしまったなと。京劇舞台なんて使ってもいないのにわざわざやらせて。

高嶋)何だか純金の壺みたいな物も持たせていましたよね?

山本)あれも故宮博物院の収蔵品なのですけど、わざわざ枠を外しておいて「どうぞお持ちになって下さい」と。

高嶋)純金の重いやつを「持ってみてくれ」と。

山本)大男のトランプでも流石に持ち上がらなかったみたいですけどね。これはやはり文化行動が米中の首脳間で噛み合っていないなというのは印象的でしたね。

トランプ 中国

2017年11月8日、北京でドナルド・トランプ大統領と中国の習近平国家主席による紫禁城の見学中に京劇を披露。トランプ大統領は、北朝鮮の核脅威に対して世界的な前兆を築くためのアジア訪問中。 / AFP写真/ジムワットン 写真提供:時事通信

大歓待の微妙な手応え トランプ大統領は何を思ったのか?

高嶋)私はトランプさんが昔の紫禁城を見て、中国の歴史でも分かっていれば、例えば「ラストエンペラー」でも観ていれば「ああここなのか」とか、尊龍(ジョン・ローン)のファンだとかだったらとても深いものがありますけど、何も分かっていないのではないかという気がして仕方が無いのですけど。

山本)「ラストエンペラー」も「トゥーランドット」も観ていないと思いますけどね(笑)。

高嶋)それにメラニア夫人も全くどっちらけみたいな顔をしているのですよね。

山本)京劇の演目も孫悟空とかをやったのですか?

高嶋)「孫悟空」とか「貴妃酔酒」を鑑賞したと。

山本)ああいう外国のあまり詳しくない方に見せるときは立ち回りが派手だったり仕草が綺麗だったりするものを選んで見せるのですけど、猿が踊って暴れてというのは、孫悟空の物語はおそらくアメリカ人一般で知っている人はそう多くないと思いますから(笑)。「それを俺に見せたというのはどういう意味だ?」と。
これは言い方なのですけど「猿の惑星」って映画がありますよね。あれは噛み合わない文化行動のアジア人というのがモチーフになっていると言われていますけど、あとここは前から思っていたのだけど、やっぱり猿の惑星の延長線が今のこの大国じゃないだろうかなと思ったかもしれないですけどね(笑)。

高嶋)つまり習近平さん側の自己満足というのが非常に深かったと。

山本)だからおもてなしの配慮という点では、来ていきなりゴルフ場に連れて行ってハンバーガーを食べさせた日本の接待の方が良かったと思いますけどね。

高嶋)まあ「人を見て法を説け」ということですよね。ある人は滅茶苦茶喜ぶけどもある人にとっては退屈意外の何物でもないという。だけど本当はトランプさんも深く研究しているとか……そんなことは無いか(笑)。

山本)まあお孫さんのアナベラさんは中国語お上手ですけど。

高嶋)それを聞かせたのですよね?

山本)iPadか何かで見せていましたけど、喜んで観ていましたよね。

高嶋)真実は分からないのですが、どうもトランプさんを見ていると分かっていないのではないかなと、勝手に推察してみました。

山本)そんな感じがしますね。

高嶋ひでたけのあさラジ!
FM93AM1242ニッポン放送 月~金 6:00~8:00

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