トランプ大統領は中国に北朝鮮問題への圧力を要求するのか?
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11/7(火)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!③
明日訪中~米中のそれぞれの思惑は?
7:10~ やじうまニュースネットワーク:コメンテーター 富坂聰(ジャーナリスト、拓殖大学教授)
日米首脳会談~北朝鮮への圧力を高めることを再確認
昨日午後1時半過ぎから迎賓館で開かれた日米首脳会談では、アメリカ側からティラーソン国務長官、ケリー大統領首席補佐官、マクマスター大統領補佐官、クシュナー大統領上級顧問らも参加しました。この日米首脳会談では北朝鮮に政策を変えさせるため圧力を最大限に高める方針を確認しました。日米首脳会談後の安倍総理とトランプ大統領の共同記者会見です。
安倍総理)北朝鮮の政策を変えさせるため、日米が主導し、国際社会と緊密に連携してあらゆる手段を通じて、北朝鮮に対しての圧力を最大限まで高めていくことで、完全に一致しました。
トランプ大統領)最も重要なことは両国が北朝鮮のならず者政権の危険な攻撃に対抗するために取り組んでいることです。
安倍総理は首脳会談で「独自政策の対象を拡大し、9つの団体と26の個人の資産凍結を今日決定する」という方針を伝えました。一方トランプ大統領は、近く判断を示す方針である北朝鮮のテロ支援国家の再指定について、アメリカ政府内での検討状況を説明したということです。
またトランプ大統領は記者会見でアメリカ製の武器について日本による大量購入への期待を表明しました。日本は今後、海上自衛隊のイージス艦に搭載する改良型の迎撃ミサイルの導入などを急ぐ方針で、安倍総理も「アメリカからさらに購入していくことになるだろう」と述べました。
トランプ大統領も「大量のアメリカ製の軍事装備を購入すれば、ミサイルを上空で撃ち落とせる」と記者会見で述べておりましたが、ある防衛省筋は「迎撃したら北朝鮮の軍事行動を誘発しかねない。そういう認識は分かっているのか」と述べておりました。
また日米貿易についても、安倍総理は通商問題を主な議題にしない考えで臨みましたが、トランプ大統領は自由貿易協定(FTA)には言及しなかったものの、日米間の貿易不均衡に繰り返し言及しておりました。トランプ大統領は日米首脳会談の後、北朝鮮による拉致被害者の横田めぐみさんの母親の早紀江さんら家族会メンバー17人とおよそ30分面会しました。横田早紀江さんと拉致被害者の曽我ひとみさんです。
横田早紀江さん)この度は国連で拉致問題に対して、トランプ大統領が明言をしてくださって、本当にこのようなひどいことが行われていると言ってくれたことに対しての感謝をいたしました。
曽我ひとみさん)日本に帰国できてよかったですねと優しく声をかけていただいて、本当にありがたく思いました。
森田解説委員)トランプ大統領は記者会見で「金正恩が拉致被害者を帰国させるようなことがあれば素晴らしいシグナルになる。何か特別なことの始まりになる」と述べたのですが、米朝対話へのシグナルなのかどうかは全く分かっていません。
北朝鮮問題を冷静に見ている人は米にも日本にもいない
高嶋)安倍総理もトランプ大統領と意見が一致したと再三おっしゃるわけですけど。最大限の圧力を北朝鮮にかけて、話し合いに応じるように仕向けるようにやると。首をギリギリまで締めて息ができないようなくらいまでやるという事態まであり得ますか?
富坂)イメージとして難しいと思います。どこかで高めたテンションを両者がフッと緩めることで、対話への道を作っていくしかないと思います。一方的に助けてくれという話にはならないし、その過程で予期せぬ戦闘行為が始まってしまうこともあるわけですよね。そういう意味でいうと、この問題がちゃんと見えている人は0だと思います。段階を追ってやっているわけではないので、この状態で圧力だけかけていくのは危なっかしい感じがします。
高嶋)昨日のトランプ大統領の会見を見ていて「アメリカの装備品は世界でトップクラス、日本がそれを買うことによってアメリカの雇用創出も期待できる」というところが本音だと思いましけど。
富坂)トランプ大統領と仲良くすることが日本の外交にとって成功だという見方になっていますが、そもそもアメリカの成功と日本の成功は違います。両者の国益も違うので、入り口の認識が日本人はどこかに飛んでしまったなとびっくりするわけです。
2023年にイージス・アショア配備予定、設置場所にもめる可能性
高嶋)ある人が「武器というのは日進月歩ですぐに古くなってしまう」と言っていました。イージス・アショアの配備は何年後でしたっけ?
富坂)新聞の報道では2023年に配備予定です。
高嶋)今から6年後にはもっと良いものができていて「これも買え」となるのではないでしょうか。
富坂)さらに言うと、どこに配備するのかもめる可能性がありますよね。
高嶋)分からないのは、北朝鮮がロケットを撃って日本の上空を飛びましたよね。そのときに政府は日本海にイージス艦を2隻置けばカバーできると言いました。トランプさんの話を聞いているともっと緻密にやらなければいけないように思えますが、その辺はどうでしょうか?
富坂)結局本気で撃ち落とす気ならできないこともないと思いますが、どこまでの覚悟を持ってやるのかというところがすごく難しいです。防衛省の方がおっしゃっていたように、簡単なことではないですよね。今回の会見でトランプ大統領は問題を簡単に考えているなというところと、日本のことは日本が全面的に立った上できちんとサポートしますよというところがきちんと見えてきたなと思いました。
中国にとって一番の問題は米中関係を安定させること
高嶋)韓国に1泊して、中国に行くわけですけど。中国はアメリカにとっても大国で意識せざるを得ないところがあるわけですよね。そういう問題から両国は北朝鮮問題をどう見ていますか?
富坂)ややこしい問題だと見ていますが、一番の大きな問題ではないと思います。米中関係を安定させることが中国にとってマストなので、少しでもボタンのかけ違いがあると非常に大きな中国のマイナスになるので必死にやります。その次に北朝鮮問題が出てくる。北朝鮮が宇宙から攻撃してくることはありませんから、装備や脅威の面で中国と比べても、北朝鮮は0に近いとアメリカは見ています。
高嶋)最大限の圧力をかける役割の中心を担うのは中国しかないわけですけど。トランプ大統領は盟友と呼ぶ安倍さんの代わりにガツンと言ってくれるのでしょうか。
富坂)中国はこの間、金正男の息子である金漢率(キム・ハンソル)殺害を計画していた7人を捕まえましたよね。あれは明確なサインだと私は思います。つまり石油を止めるよりも厳しい措置ができると。私が考えているのは、中国国内での北朝鮮の活動を中国が止めることです。これは全ての商社が揃っていますから、香港も含めてそれをがっちり押さえてしまうと、武器の密入など全部が止まります。北朝鮮は中国を拠点にいろんな活動を行っていますので、それに手を入れていくということは怖いことです。
高嶋)金正男の息子の殺害を計画していたグループを一網打尽にした。これは最大のサインだったと。
富坂)ものすごく大きな組織が動いているわけで、中国が見ているものを止める可能性があるわけです。
高嶋ひでたけのあさラジ!
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