北朝鮮ミサイル発射~米も日本も想定していた?

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11/30(木)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!③

大気圏再突入可能かどうか疑問
7:10~ やじうまニュースネットワークその1:コメンテーター 佐藤優(元外務省主任分析官・作家)

安倍晋三

【北朝鮮ミサイル発射】北朝鮮ミサイル発射情報を受け、首相官邸で記者団の取材に臨む安倍晋三首相=2017年11月29日午前、首相官邸 写真提供:産経新聞社

新型ICBM『火星15』発射成功、角度を変えればアメリカ本土にも届く

北朝鮮は昨日の午後、アメリカ本土全域を攻撃できる新型のICBM『火星15』の発射実験に成功したとする政府声明を発表。金正恩朝鮮労働党委員長が立ち会い「ついに国家核戦力完成の歴史的対応、ミサイル強国の偉業が実現した」と宣言した。

森田)この北朝鮮の政府声明は最高高度4475キロまで上昇し、飛行距離は950キロだとし、超大型の重量級核弾頭を搭載が可能だと主張しています。アメリカの専門家はこれが通常の軌道であればワシントンに届く射程13,000キロ以上と分析する一方で、軽量した軽い模擬爆弾によって距離を伸ばした可能性を指摘しております。朝鮮中央通信は新たに開発した片側に9つの車輪がついた移動式発射台を使ったと伝え、発射実験によってエンジンの正確性や再突入時の弾頭の信頼性などが確認されたとしています。ただ実戦配備に不可欠な弾頭の大気圏再突入技術を検証するためには、通常の軌道でのミサイル発射が必要とされていまして、今後核戦力のさらなる高度化を目指して発射を続けるのではないかという恐れもあります。一方安倍総理大臣は昨日、アメリカのトランプ大統領と韓国の文在寅大統領と相次いで電話で会談をしまして、北朝鮮への圧力をさらに強化する方針で一致しました。トランプ大統領と電話会談後の安倍総理です。

安倍総理)日米で主導して、国際社会と連携しながら北朝鮮に対する圧力を最大限まで高めていくという認識で一致を致しました。

森田)トランプ大統領は中国の習近平国家主席とも電話会談をしまして、中国があらゆる手段を行使する必要があると強調しました。また北朝鮮に対し、大規模な追加制裁を科すとトランプ大統領はTwitterで明らかにしています。中国の北京の外交筋は「北朝鮮の思惑通りにアメリカが対話に応じるとは考えにくい。状況が行き詰ればさらなるミサイル発射で事態を打開するくらいしか選択肢がないのではないか」と述べておりまして、北朝鮮が実戦配備に向け、太平洋に向けてICBMの発射にいずれ踏み切るのではないかという見方も広がっており、日本政府の中では次は東京上空を通過シナリオ、これに対する警戒感もくすぶっています。

Jアラート

【北朝鮮がミサイル発射】北朝鮮がミサイルを発射したことを知らせるJアラート画面=2017年9月15日午前 写真提供:産経新聞社

ICBM『火星15』の発射でJアラートが鳴らなかった理由とは?

高嶋)ICBM『火星15』発射自体について、佐藤さんの判断はどのようなものですか?

佐藤)これは想定されていることで、日本政府だってずっとわかっていたことだと思いますよ。金正恩がしょっちゅう視察していますし、画像も出ていますから。そして東京上空を通過することも驚くに値しないですよ。どうしてかというと、東京の上を通ることができるミサイルは北朝鮮だけではなくて中国とロシアでもう何百も完成していますから。それから東京の上空を500キロから600キロも通りますが、そこには人工衛星が山ほど飛んでいます。今回進歩したことは、ミサイルによるJアラート騒動がなくなったことです。

高嶋)確かに鳴りませんでしたね。アラートがなくなったことはどう判断していますか?

佐藤)正常になったと。1回目のJアラートを鳴らした8月29日の前にミサイルは4回飛んでいました。「こういう危ないことがある」ということを再認識させるためのものでした。だから実際の危険は最初からありませんでした。

麻生太郎 首相官邸 北朝鮮 ミサイル 発射

【北朝鮮ミサイル発射】首相官邸を出る麻生太郎副総理兼財務相ら=2017年11月29日午前、首相官邸 写真提供:産経新聞社

『』は強調だけではなく曖昧という意味も兼ねている?

高嶋)高度4,500キロ以上で。水平に角度を変えればアメリカに届くということで大騒ぎになりましたが。

佐藤)本当に弾頭をつけているかどうかは誰も確認できませんから。軽いものをつけて高さを伸ばしたかもしれない。あともうひとつ、大気圏に再突入したときに燃え尽きてしまわないか。ちゃんとした形のセラミックの新しい弾頭を開発できているかどうかはクエスチョン。それから核兵器が小型化できて搭載できるかどうかもクエスチョン。今の時点で核搭載可能なICBMが成功したと北朝鮮が自称しているだけで、それを各新聞が見出しで『核戦力完成』や『成功』と書くのは、北朝鮮のプロパガンダに加担していることになります。かぎかっこには「強調」と「事実ではないよ」とふたつの意味がありますが、普通に読んでいる読者は「強調」と捉えてしまいますよね。

高嶋)そんな意識があってかぎかっこは使われているのですか。

佐藤)今回のかぎかっこは「そうではないと思っている」という新聞社の判断ですが、副見出しに「自称、北朝鮮核戦力完成」とか「自称、ミサイルを撃ち上げ」にしないと。国民に誤解させて、北朝鮮を喜ばせてしまいます。

高嶋)現段階では配備には時間がかかるがという書き方もありますが。

佐藤)それよりも再突入の能力があるか、もっと基本的なことは確認されていない。率直に言って私はできていないと思います。できていれば見せるはず。

高嶋)だからトランプさんも慌てた姿勢は見せなかったのか。

高嶋ひでたけのあさラジ!
FM93AM1242ニッポン放送 月~金 6:00~8:00

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