4月で任期満了の黒田日銀総裁~アベノミクスの成果はあったのか?

By -  公開:  更新:

12/4(月)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!①

年内に次期総裁が確定
6:32~ニュースやじうま総研!ズバリ言わせて!:コメンテーター須田慎一郎(ジャーナリスト)

4月で任期満了の黒田日銀総裁~アベノミクスの成果はあったのか?

衆院予算委員会 日銀・黒田東彦総裁(提供・産経新聞)

 

日銀・黒田総裁が4月で任期満了

日銀の黒田総裁は、来年2018年4月に任期を迎える。株価上昇や、それに伴った失業率低下など、あるていどの実績はあげた。しかし、アベノミクスの目標であった「インフレ率2%」「デフレ脱却」は達成できずに終わった。これについて、経済ジャーナリストである須田慎一郎氏に伺う。
高嶋)日銀の黒田東彦総裁の任期が、あと4ヶ月です。来年の4月に、任期満了を迎えます。この、「異次元の金融緩和」とか、「国債を買いまくる」とか、「特定の時間で必ず政府筋からの買いが入るから株が上がる」とか、いろいろ言われていましたが、これは須田さんの分析では、上手く行ったのですか?

 

 

須田)いや、道半ば……結論から言うと、失敗に終わった、と。

高嶋)デフレ脱却は?

須田)できていません。物価上昇率、インフレ率2%の目標はまだ満たず、という状況なのです。黒田日銀総裁は任期5年ですからね。この4月で5年目を迎えるわけですが……5年間ずっとやってきて、結果が出なかったというのは、これはやはり世間では「失敗」と言いますよね。

高嶋)「2%の物価上昇率」とか、「デフレ脱却」とか。私はこういうのはよく分かりませんが、もしキッチリとそれを約束したのなら、できなければ失敗でしょうね。

須田)そうですね。まあ、失敗ということになるわけですが、いずれにしても、任期満了を迎えるということなので、次期総裁に関しては、いろいろな手続きや国会の承認が必要なので、例年は任期満了の数ヶ月前に決めることになっているのです。なので、今回は12月末までには次期総裁を決める必要が出てくるのですよ。ですから、今月中には次期総裁が確定する可能性が非常に高い。
ただ、失敗に終わって、いつ達成できるかまだめどが立っていないですからね。やはりみんな、「貧乏くじを引きたくない」は言い過ぎかもしれないけれど、責任を押しつけられるのはイヤなものですから。ようするに「成り手がいない」が現実なのです。

 

株価は上がったが肝心のデフレからの脱却はならず

 

高嶋)黒田さんの場合は、安倍総理たっての、指名がありましたよね。それで、「アベノミクス3本の矢」と言って、最初はみんな歓呼の声で迎えた。たしかに数字を見ていると、いまでも悪くはないのですよね。

須田)たしかに株価は上がったし、その結果失業率も下がって、それで円安にもなって。だから、そういったところは効果があったと思います。それは認めます。
しかし、肝心要の、冒頭で高嶋さんが言った「物価上昇率、デフレからの脱却」は達成できていない。そういう状況なのです。

高嶋)よく分からないのですが、たった2%を達成できないのはそんなに、ヤバい話なのですか?

須田)やはり、デフレがずっと続いていくとなると、景気や経済には悪い方向になるのですよ。ようするに、「成長できない」ということがありまして。

高嶋)昔の常識だと、いつも日銀が心配していたのはインフレでしたよね。「インフレが来たら大変だ」と。それは素人ながら、よく耳にしていました。「ああ、インフレというのは天敵なんだな」と思っていました。

須田)そうなのですよ。ですから、日銀の最大の仕事というのは、「インフレ・ファイター(退治人)なのですよ。だから、日本経済からインフレを退治するのが日銀の最大の役割だったのですが、そこの中にはデフレ・ファイターがあまり無かった。その点で言うと、「不得意の分野にも手を出してしまった」というのもあるわけです。

 

デフレ脱却が達成できなければ、国民は負のスパイラルに巻き込まれてしまう

 

高嶋)それで、そのデフレ脱却。「2%の物価上昇率」を達成できないと、実質的に国民生活には、どんな影響がでるのですか?

須田)たしかに、消費者は物価が下がれば、「少ないお金で沢山買えて、ハッピー!」となるかもしれない。しかし、企業側から見ると、物価の低下は企業収益の低下になり、圧迫していく。となると、当然、賃金は上がらず、下がっていく。ボーナスも貰えない。そういう状況になって、結果的に国民は手持ちのお金が減っていく……

高嶋)デフレスパイラル、ですね。

須田)そうですね。

高嶋)たしかに、価格競争も日本国内だけではない。海外と、丁丁発止ですからね。

須田)グローバル競争ですからね。

高嶋)なるほど。設備投資は、もう死ぬほど金が貯まっていると言われていますが、その辺で、思い切ったことがなかなかできない、ということですか。

須田)そうですね。日本企業にも責任はあるのだろうな、と思いますけどね。

高嶋)日本経済の明日は、明るくなるのか、暗くなるのか……

 

高嶋ひでたけのあさラジ!
FM93AM1242ニッポン放送 月~金 6:00~8:00

Page top