12/8(金)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ！』今日の聴きどころ！②

再選すればスターリン以来の長期政権となる
7：02～ひでたけのニュースガツンと言わせて!：コメンテーター宮家邦彦（外交評論家・キヤノングローバル戦略研究所・研究主幹）

美術館にあるロシアのプーチン大統領の肖像前で携帯電話を使う女性＝2017年12月6日、モスクワ　写真提供：共同通信社

プーチンは死ぬまで地位の座を譲る気はない

ロシアのプーチン大統領が、来年の大統領選挙への出馬を表明した。再選すれば、彼はスターリン以来の長期政権となる。なぜ、プーチンはここまでロシアで支持され、権力を持っているのか。宮家邦彦が、詳しく掘り下げる。

高嶋）ロシアのプーチン大統領が、来年3月18日の大統領選挙の出馬を表明しました。新聞を読むと笑ってしまうのですが、「プーチン氏はすでに権力を握って18年。次に当選すれば24年になる。ロシアの指導者では、ソ連時代のブレジネフを超え、スターリン以来の長さとなる」と書かれています。

宮家）この人は実質的に終身大統領ですから。帝国の皇帝さま、ですよ。

高嶋）1度、首相に退いたことがありましたよね。

宮家）ええ。それは、多選禁止でしたから。それで、またルールを変えて、多選して。それで、今度は2024年に71歳で、大統領を辞めたら、また首相になるのですよ。それで、そのあと大統領をやって……これを亡くなるまでやると思います。

高嶋）対抗馬はいないのですか？

宮家）対抗馬がいたら、いなくなる。いつの間にか「消えちゃう」から。独裁者というのは、後継者を、対抗馬を作らない。これが独裁者の素晴らしいところじゃないですか。

欧米に対してのロシア人の屈辱感が、プーチンの権力の源になっている

高嶋）いま、支持率は8割越えているのですよね。

宮家）そりゃあ、そうですよ。だって、クリミアをやって、経済制裁を受けても、欧米が何を言おうが、必死で頑張っている。これはロシア人からすれば、「ソ連崩壊して冷戦が終わった後、俺たちは欧米に協力した。それで、一緒に共産党を倒したのに、どうもロシアは敗戦国みたいな扱い。何だこれ！　不愉快だ！」、この屈辱感。これがプーチンさんの権力の源泉です。

高嶋）そしてまた、「KGB出身」とよく言われ、その力というものが、背後に隠然たる……

宮家）そのままやっていますからね。

高嶋）恐怖共々、ね。だから対抗馬もなかなか擁立しない。

宮家）危なくてね。命あっての物種だから……

高嶋）けっこう日本びいきみたいで、柔道をやっている。それから安倍さんとはけっこうよく会談していますね。あわよくば、北方領土問題について腹のさぐり合いもしていますが。

宮家）そうそう。騙し合いをしないと。騙さないと、やはり返しませんからね。

高嶋）じゃあ、安倍さんもその辺は心得ているのですね。

宮家）だと思いますよ。まともにやって、勝てる相手ではないですから。

プーチンが居なければロシアは普通の途上国に過ぎない

高嶋）ロシアの人は、いま幸せなのでしょうか？

宮家）どうですかね。僕は最近行っていませんが、経済制裁も少しずつ効いているのでは無いでしょうか？
しかし、それよりも、何よりも、やはり「やられちゃった。これはおかしい。こんな屈辱は耐えられない。やはり強いリーダーが必要だ」と、こういう部分を、プーチンさんは上手く政治権力に変えている、ということでしょうね。大したものですよ。この人は政治に関しては天才です。
この人がいなかったらロシアは、人口も日本に近いし、広いけど寒くて、資源しかない。作れるのは兵器だけ……つまり、それは普通の途上国に近付いているわけです。プーチンさんがいるから、アメリカと伍して、超大国のフリができるのですよ。

高嶋）実はそういうことですか。

宮家）だと思いますけどね。だから、プーチンさんはその意味ではロシアに必要な人なのですよ。周りにとっては困るけど。

高嶋）そうか、もはや皇帝ですね。

宮家）もう王様です。あれだけ広い帝国を維持するためには、強い権力が必要だと思います。善し悪しは私には分かりませんが。

高嶋）非常にぼかしながらも、言葉の端に、プーチンの厳しいやり方というのは垣間見えますが、そんな現状なのですね。

高嶋ひでたけのあさラジ！
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