NAFTA脱退を示唆するトランプ大統領~日本の車産業にも深刻な影響

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1/12(金)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!④

メキシコ、カナダは反発
07:17~やじうまニュースネットワーク:コメンテーター宮家邦彦(元外交官・キャノングローバル戦略研究所研究主幹)

トランプ大統領 メラニア夫人

米軍横田基地に到着した、トランプ米大統領とメラニア夫人=2017年11月5日午前、東京都 写真提供:産経新聞社

アメリカがNAFTAからの脱退を示唆

アメリカのトランプ大統領が近く、アメリカとカナダ、メキシコによるNAFTA北米自由貿易協定からの離脱を宣言する可能性があるとロイター通信が伝えました。アメリカが離脱を宣言すれば、メキシコ政府は今後、再交渉に加わらない見通しだということです。

トランプ大統領は対メキシコ貿易で巨額の赤字が出ているということで不満を述べておりました。で、アメリカはこのNAFTAからの脱退をちらつかせながら、このNAFTAの見直しに向けた再交渉を続けているのですが、難航しています。

こうした中、カナダ政府はトランプ政権の貿易政策はルール違反だということでWTO世界貿易機関に提訴しました。トランプ政権は国内産業を保護しようということで安い値段で輸入されている外国製品に反ダンピング関税など制裁を課しています。これに対して提訴したわけですが、これによってNAFTAの再交渉は更に難航する可能性が出ています。メキシコ、カナダは反発していると見られていまして、ロイターは、アメリカが離脱を宣言すれば、メキシコは今後、再交渉に加わらないだろうと伝えています。

NAFTAは参加している国が、離脱の意向を他の二つの国に書面で通知すれば、6か月後に離脱できる。という規定はあります。カナダ政府の関係者は二つの国から譲歩を引き出すための交渉の戦術ではないか、或いは、アメリカ議会がこのNAFTA離脱を認めないのではないか、とこのような指摘もしています。アメリカがこのNAFTAを離脱しますと、メキシコで北米向けの乗用車を生産している日本の自動車メーカーにも深刻な影響が出てきます。

高嶋)選挙中から、NAFTANAFTAって言ってまして、なんか損を被っているようなことをね。

宮家)TPPとNAFTAね。

支持者のみを見て公約を果たそうとするトランプ政権

高嶋)言い立ててましたけれども、それに手を付けていろいろやっているんですけれども。どうしたいんですかこれ。トランプさんは。

宮家)経済的な側面と政治的な側面でわけるとね、経済的に考えたらば、これ、国際的に自由にモノが動き、人が動くと。これが一番合理的な方法、法律がいいわけですから、ですから今の状態、NAFTAっていうのは、決して悪いシステムじゃないと思うんですね。

高嶋)何年もやっているんでしょ、だって。

宮家)90年代の前半からですよね。たしかね。もう二十年、二十数年やっているわけです。だけども、問題は政治的なところで、ようするにアメリカの製造業、例えば自動車は、皆メキシコで作ってしまうわけです。人件費安いから。ということはそれが典型的に示しているように、メキシコにアメリカの製造業が流れてしまって、アメリカの労働者が失業するんだ、と。これは政治的に認められない。今までも問題ありましたが、トランプさんはその声をまともに受けて、それに応えようとして、NAFTAもダメ。TPPはもちろんダメ、ダメダメダメ。と言っているわけです。

高嶋)べらぼうな関税かけて、どしたこしたって動きになっているわけですけれども、そんなことやって長続きするんですかね?

宮家)わからないですねー。

高嶋)もう浸透しているでしょ。このNAFTAは国民の生活それぞれに。

宮家)五大湖周辺の、いわゆるラストベルトといわれる旧工業地帯、そこの労働者は喜ぶかもしれないけれど、やはり、アメリカの企業だって世界中に展開しているわけですから、メキシコにもカナダにも会社を持っていて、投資もしているわけだから、それがひっくり返るっていうことになったら、アメリカ国内でも反対は当然出るはずです。

高嶋)伺っていると、やっぱり、トランプさんのガチガチの票田、大ファンそれ以外は皆、本当に迷惑しているという感じですもんね。

宮家)そういうことですよね、だけど、それだけで自分たちは選ばれてきたんだから、その公約を果たすんだというのが、彼の主張なんでしょう。

高嶋)カナダの木材だとか中国のタイヤだとかイタリアのパスタとかね、一千元近いとかそれからカナダのボンバルディアの新型旅客機に約300%の制裁関税だとか。

宮家)まあこれは、今のWTOの世界の中でもこれは問題だから、だから提訴しようとしているんでしょうけども、問題はNAFTAを本当にぶっ壊すかどうかですよね。

高嶋)脱退なんて本当にあり得るんですか?

宮家)やるぞやるぞと言っていることは間違いないでしょう。トランプ政権の中にもそういう声があることは事実です。

高嶋)脱退したらどうなっちゃうの?

宮家)アメリカは大混乱になりますよ。ですからそれはやらないとは思うんだけれども、まあトランプだからねえ。国際的にやってなんぼのアメリカですからね。早く元に戻ってもらわないといかんと思うのですが。

高嶋ひでたけのあさラジ!
FM93AM1242ニッポン放送 月~金 6:00~8:00

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