韓国と北朝鮮が合同入場~ゲームに勝った金正恩
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1月18日(木)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!③
統一旗入場への世論調査の意見は完全に割れる
7:10~やじうまニュースネットワーク:コメンテーター佐藤優(元外務省主任分析官・作家)
平昌オリンピックで韓国と北朝鮮が合同入場と合同チーム結成に同意
韓国と北朝鮮は次官級協議を開催し、来月開幕する平昌オリンピックのアイスホッケー女子で南北合同チームを結成することや、開会式で朝鮮半島を描いた統一旗を先頭に合同で入場行進を行うことで合意した。オリンピックでの南北合同チームは初めてで、合同での入場行進は2006年のトリノ大会以来。
韓国と北朝鮮による南北合同チームの派遣が決まりましたが、この南北合同チーム、主な国際大会では1991年に千葉で開かれた卓球の世界選手権や、サッカーの世界ユース選手権で結成されたことがありましたが、オリンピックでは初めてです。
アイスホッケー女子は最新の世界ランキングでは韓国が22位、北朝鮮が25位ということで、開幕から一ヶ月を切って付け焼き刃の合同練習を行ってもチーム力の向上は望めないという見方が大勢です。また、国際総合大会で南北の合同入場行進が行われたのはこれまで9回ありました。初めて行われたのは2000年のシドニーオリンピックで、この時は太陽政策を掲げた金大中政権。李明博政権以降は北京オリンピックなどでは合同入場行進は実現しませんで、今回文在寅政権で合同行進復活ということになりました。
また北朝鮮は昨日の協議で、140人余りの三池淵管弦楽団の他に、およそ230人規模の応援団を韓国に送ると表明しました。北朝鮮の応援団は過去に美女軍団として注目を集めしたが、今回の構成はわかっておりません。
こうした動きについて韓国の保守系最大野党の自由韓国党は文在寅政権がオリンピックを北朝鮮に上納したと批判しています。オリンピック主催国が国旗を前面に出す権利を放棄するのはおかしいとしております。韓国の最新の世論調査では統一旗を掲げての合同入場行進について、なるべく実施すべきだが50.1%、無理に実施する必要はないが49.4%と意見は完全に割れております。
この南北の協議の中で北朝鮮は韓国が核問題に触れることについてはずっと強く牽制し続けてきました。北朝鮮の核ミサイル問題につきましては、アメリカと韓国が共同で開催する20カ国外相会合がバンクーバーで開かれまして、北朝鮮への圧力維持と強化で一致しました。
ただ、議長総括は韓国と北朝鮮の対話を歓迎すると表明もしております。アメリカは当初、朝鮮戦争のときに国連軍に派兵した国を集めて軍事的圧力を高めようということをこの外相会合で狙ったのですが、南北対話の機運が盛り上がりまして、各国の思惑も交錯し、鍵を握る中国とロシアが反発して欠席するということで、会合の成果も霞んだ形になってしまいました。
高嶋)佐藤さんはこの動きにずばりどう感想がありますか。
ゲームに勝利した金正恩、外れるアメリカの思惑
佐藤)結局、嫌なんだけども金正恩が勝っちゃいましたね、ゲームで。
高嶋)北朝鮮が上から目線ですよね、すごく。
佐藤)上から目線で、それに韓国が従っているっていうのが実態ですよね。そしてまた、今回の20カ国の会議においても、結局北朝鮮に対する徹底的な封じ込めをやっていくっていう場にするはずだったのが、南北対話歓迎するっていうような形になってしまって、思惑は完全に外れてる。
高嶋)包囲網には程遠いと。
佐藤)実は11日にモスクワでプーチン大統領が記者会見やってるんですよ。そこで、このゲームには金正恩が勝ったって言ってるんですよ。核兵器持って1万3,000km伸びるようなミサイル持って、どこだってもう攻撃できるようになったんだよと。金正恩は事態を綺麗にして浄化して安定させることに関心を持ってるんだと言ってるんですよ。ただロシアは今まで北朝鮮はICBMなんて持ってない中距離弾頭ミサイルでちょっと距離が伸びただけだと、核兵器の小型化も時間かかるんだと。
高嶋)言い続けてきたのに。
北朝鮮に対して、圧力から対話の時期へ
佐藤)プーチンは何を言ってるか? これはプーチンがインテリジェンス、情報の専門家。元スパイだから出て来る発想で、脅威っていうのは二つの要素からできるんですよ。意思と能力。北朝鮮が能力を持ってしまった。あるいは近未来にモスクワに飛んで来る核ミサイルを持つわけですよね。ということは、意思を失くさせるしかないわけですよ。だから金正恩は非常に懸命な主導者だとか、もはや熟練した政治家だと言えるとか最大限に絶賛することによって、意思を失くさせる方向で世界は向かって行かなきゃいけないですよと。
高嶋)もう圧力のみのそういう動きじゃ駄目だと。
佐藤)そういう段階ではないと。だから日本も対話と圧力ということ言うならば、対話の時期に入ってるんです。どうしてかというと、日本全域を覆う核ミサイルを持つのは時間の問題で、中国もロシアもアメリカも日本を30回でも40回でも破壊する核ミサイルを持ってるわけですよね。しかしアメリカも中国もロシアも、日本は怖くないですよね。その3つの国は日本を破壊するという意思を持ってないからです。だから、これからは北朝鮮の意思をどうやって弱めていくかということが外交課題になるので、となると圧力ではなくて対話と妥協ということになってくるんですね。
高嶋)オリンピックと言うとですね、やっぱり平和の祭典で民族が一緒になって統一旗で入場してくるだとか、アイスホッケーで合同チームをつくるだとか言うと、束の間の、2週間くらいの期間でもそういう動きというのは大事にしないといけないんだ、それがやがて来る平和の一つの布石になるんだって、実に夢のようなことを言う人がいますけど。
佐藤)それはやっぱり数十年前はそれで多分みんなそうだと思ったんですけども、先ほど森田さんが伝えて下さった韓国の世論調査は真っ二つなわけですからね、だからみんな白けた感じで見てる。こういうことですよね。
国際社会の目に対して、安倍総理の取るべき行動は?
高嶋)最後に、安倍さんはどうしたらいいですか?
佐藤)これは行った方で良いです。そうじゃないと国際社会から日本が狭量だと見られるから。行きたくなくても行った方がいい。韓国との関係を考えるんじゃないです。国際社会の中で日本がどう見られるかを考えたらここには行った方が良いと、こういうことです。
高嶋)フランス大統領とか、アメリカの副大統領だとか、有力な人がけっこう来るようで。
佐藤)しかも隣の国ですから。
高嶋)そうか、大人の対応をしろと。
佐藤)そう。それは逆に他の国からどう見られるかを考えた方が良い。韓国のことは考えなくて良いと思います。韓国に関してはかちんと来るところがあるのは、実は私ですらかちんと思うことはたくさんありますからね、最近の韓国は。それは別として、それでかちんとしてたら日本だって狭量じゃないかと、どっちもどっちだと見られる。それを避ける為には行った方が良いと思いますね。
高嶋ひでたけのあさラジ!
FM93AM1242ニッポン放送 月~金 6:00~8:00