仮想通貨流出~「通貨」という名はやめるべき!
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2/1(木)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!③
当初の発表より被害額は3億円以上膨れ上がっている
7:10~ひでたけのニュースガツンと言わせて!:コメンテーター山本秀也(産経新聞論説委員)
金融庁は仮想通貨取引所に関する審査を厳しくする方針
仮想通貨取引所大手の「コインチェック」による流出問題を受け、金融庁が取引所の新規登録をめぐる審査を、従来よりも厳しくする検討を始めたことが判明した。仮想通貨取引所の登録申請には、顧客資産の安全管理体制などを調べる、事前審査を受ける必要があるが、金融庁はこの審査を厳しくし、不正アクセスによるリスクをできるだけ排除したい考えだ。
仮想通貨の取引所「コインチェック」から、およそ580億円分の仮想通貨NEMが流出した問題で、NEM流出量は、コインチェックが発表していた額より多かったことがインターネット上の記録で判明しました。日本円換算で、被害額は3億円以上膨らむ計算とのことです。
コインチェックが顧客から預かっていたNEMは、1月26日未明から朝にかけて、1つのアドレスに流出し、その日の間に、別の9つのアドレスに分けて移動されました。さらにその後30日夜、およそ30分間にあわせて11回にわたって移動されました。これで分散先は合計20アドレスとなり、「資金を分散させることで、監視しにくくして攪乱する狙いがある」と見られています。
取引所のコインチェックを巡っては、他の仮想通貨や日本円も引き出せなくなっており、現在も出金再開の目処は立っていません。このため、顧客らは早期の出金や返金を求める被害者団体の結成を進めているとのことです。当初の参加者は数十人の見通しですが、顧客は全国で数十万人以上いると見られ、規模が広がる可能性もあります。
一方、金融庁は仮想通貨取引所の新規登録について、審査をこれまでより厳しくする検討を始めました。去年4月に施行された、「改正資金決済法」で、仮想通貨の取引所には登録制が導入されており、登録を受けるには、申請する前に業務体制や業務内容が基準を満たしているのか金融庁の審査を受ける必要があるのですが、この事前審査を厳しくする方針だということです。
ただし、この仮想通貨取引については、技術革新や成長も期待されており、政府内でも規制強化には慎重な意見があります。現在登録を受けている仮想通貨取引所は16あり、登録申請中の、今回のコインチェックの様な「みなし業者」も、16ある現状です。
仮想通貨はマネーゲームの側面が強く、“通貨”扱いは止めるべきである
高嶋)金融庁も全力でいろいろやっているようですが、「後追い」みたいな気がして仕方がありません。
インターネットを通じていろいろなことをやっていますよね。最初私は「仮想通貨」という通貨があると思っていました。実際にはインターネットの中にしかない「仮想」でした。「では通貨だったらみんなで使えるのか?」と言ったら、「誰も使えない」と。お金を払って、仮想通貨を買う。そして、ちゃんと自分の口座に届けておいて、そこから出てくる……もうわけが分からない。山本さんは金融経営に強いですが、どういう風に取っていますか?山本)儲け損ねた悔しさ、というわけでは無いのですが、これは「通貨」という名前は止めた方がいいと思います。私たちが理解している「法定通貨」というものは、決済に強制力があるとか、金融当局が価値の保全に努めているとか、いろいろな要件があって「通貨」なわけです。ところが、仮想通貨にはそれがまったく無い。
高嶋)盛り上がっているのは、これを買うと儲かるからですか?
山本)そうです。もちろん「価値とは何か?」という部分まで議論していくと、「人が欲しがる」というのが、価値の重要な要件であることは間違いないのですが、それだけですよね。ということは、これは通貨ではなく、「マネーゲーム」ですよ。いまさら言うことでは無いですが、「通貨という名前は止めたら」と、個人的には言いたいわけです。
高嶋)今回のやつは「NEM(ネム)」と言うそうですね。国会とかでも、麻生財務大臣も、「いくつ届けられていて、こういう仮想通貨がいくつあると理解している」と言っていますが、財務大臣の言う単位は「2桁」なのですよ。しかし、新聞を見ていると「1,500ある」と書いているのもあるし、全然分からない。
山本)ものすごい勢いで増えています。それについては、中国の金融当局が早くに出した通達を読み返して、妙に納得してしまったのですが、「やはりこんなものは通貨じゃない」というのと、「こんなものを許していたら資本がどんどん外に逃れてしまう」と。まあ、彼らがもっともいやがることを想定していて。これは、管理徹底してやらなければいけない。
実際、中国は何度かに渡って締めていて、実は去年かなり取引を締めてしまっているのです。
その一方、「電子マネーはきちんと開発していかなければ」とも言っていますから。いま「電子マネー」と「仮想通貨」という非常に似たものが並列して、我々の前に問われているわけです。そこの部分をどう仕切っていくのか、これから見ていかなければ行けない。金融当局も、おそらくそこを頭に描いていると思います。コインチェックの面々はなぜ平然としていられるのか
高嶋)私が1番驚いたのは、コインチェックをやっている人が20代で実に若い。社長は27歳。社員も若い。驚くのは、580億円相当のNEMが流出した件であの人たちが平然とした顔でいられることです。「日本円で返します」とも、やはり平気な顔をして言っている。あの辺の感覚はどうなのでしょう。「もっと腰を抜かせよ!」と私は思うのですが。
山本)お金の取引が「数字」なのですよ。「1億円」はトランクいっぱい。「2億円」は大人が持つのがかなりしんどくなってくる量、というのが実感として彼らの頭にないのですよ。
まさにマネーゲームですね。でなければ、あんなに平然としないと思います。
高嶋ひでたけのあさラジ!
FM93AM1242ニッポン放送 月~金 6:00~8:00