スキージャンプ女子・伊藤 銅メダル高梨の陰で「4年前より悔しい」

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伊藤有希 高梨沙羅 ノルディックスキー ジャンプ 女子 ノーマルヒル

ノルディックスキー・ジャンプ女子ノーマルヒル、2回目の飛躍を終えた高梨沙羅(左)を祝福する伊藤有希=2018年2月12日、韓国・平昌 写真提供:時事通信

男子モーグルの原大智選手が銅メダル、女子スピードスケート1,500mの高木美帆選手が銀メダルと、日本勢のメダルラッシュに沸いた、昨日の平昌オリンピック。

中でも印象的だったのが、スキージャンプ女子で銅メダルに輝き、悲願のオリンピックメダルを手にした高梨沙羅選手です。試合後のコメントが、実に印象的でした。

「何よりも、日本チームのみんなが下で待っていてくれるのが嬉しくて。日本チームでいられてよかった」

2回目のジャンプで高梨選手のメダルが決まった瞬間、真っ先に彼女の元に駆け寄って抱き合ったのは、チームメイトの伊藤有希選手です。

「4年前、沙羅ちゃんもすごく苦しい思いをして、この4年間過ごしてきたのを見てきたので、メダルを取れてよかった」

と、高梨選手のメダルを祝福しました。

伊藤選手は、昨シーズンのワールドカップで5勝を挙げるなど、高梨選手をしのぐ活躍を見せ急成長。今回は有力なメダル候補として出場し、高梨選手とのダブル表彰台も期待されていました。

しかし、風向きや強さがコロコロ変わる平昌のジャンプコース。4年前のソチオリンピックの時もそうでしたが、今回も伊藤選手の飛ぶ順番の時だけ、なぜか風の状態が厳しくなるという不運に見舞われました。

結果は、1回目が94m、2回目が93mと記録が伸びず、9位で終了。7位で終わったソチの雪辱は果たせませんでした。

今回も競技終了後、悪天候のことを言い訳にせず、気丈にインタビューに答えていましたが、途中で涙が頬を伝い、

「4年前よりも悔しいです」

と本音を漏らした伊藤選手。その姿を見て「次の北京ではメダルを獲らせてあげたい!」と思った方も多いのではないでしょうか。

伊藤選手の出身地は、北海道の上川郡下川町。2007年、中1で、シニアの国際大会・コンチネンタルカップに初出場し、いきなり4位に入賞。翌年は銅メダルを獲得し“スーパー中学生”と騒がれました。

しかし、同じ上川郡出身で、2つ下の高梨選手が伊藤選手を追い抜いていきます。高校生になってから伸び悩む伊藤選手とは対照的に、高梨選手はワールドカップで連戦連勝。ソチの金メダル最有力候補と呼ばれるようになりました。

しかし、ご存じのように、高梨選手はソチでは4位に終わり、まさかのメダルを逃す事態に。競技終了後、ショックで涙を流す高梨選手を抱きかかえ、

「また一緒に、オリンピックに戻って来ようね」

と励ましたのは、伊藤選手でした。自分も7位に終わってショックだった中、チームメイトのことを考える心根の優しさ。今回も、飛び終わった後に、カメラに向かい

「応援ありがとうございます」

とお礼を言う姿が、観る人の胸を打ちました。

今回、大会前に伊藤選手はこう語っていました。

「メダルを取れる選手って、五輪当日に自分の調子と、ジャンプ台との相性と、風など自然環境の運を持ち合わせた選手だと思う。自分はそのチャンスが巡ってきたとき、確実に手にできるよう、準備して臨むだけです」

4年後の北京では、伊藤選手にとっていい風が吹き、今度こそ高梨選手と夢の「同時表彰台」が実現することを祈りたいですね。もちろん、伊藤選手が狙うのは、「表彰台のてっぺん」です。

2月13日(火) 高嶋ひでたけのあさラジ!「スポーツ人間模様」

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