平昌オリンピックでも大活躍!? “世界の軍用犬”最前線
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開催中の平昌オリンピックで、重要な任務を担っていた「軍関係の者が脱走した!」という、おだやかならないニュースをご存知でしょうか? 実は、この「軍関係の者」というのは、韓国軍の「軍用犬」のこと! この軍用犬は、テロ業務を担当していた6歳のオスのレトリバー。さる2月5日の早朝、平昌にある駐屯地から、とつぜん遁走してしまったんです。幸い、脱走から約10時間後、無事に捕獲されまして、部隊に復帰したとのこと。
ちなみに、今回のオリンピック警備で動員された韓国軍の軍用犬は、ゴールデンレトリバー、シェパードなど、約20頭ほど。嗅覚と集中力が高く、真面目なゴールデンレトリバーは、「爆発物探知任務」に最適の軍用犬なのだそうですよ。そこで今日は、「戌年」にもかこつけまして、世界で活躍する軍用犬事情をご紹介しましょう!
■軍用犬の歴史
軍用犬の歴史は意外と古かったことが分かってきています。紀元前490年、ギリシャとペルシャが戦った「マラトンの戦い」という有名な戦争があります。この戦い、「マラソン」という言葉の由来となったのですが…この戦いにおける一頭の勇敢な軍用犬を掘った壁画が、今も残っているんです。
古代ローマ時代には、一中隊ごとに「軍用犬部隊」を配置されていました。このころの軍用犬の役割は、ズバリいうと「戦闘」のためでした。首輪からは何本ものナイフが突き出ていて、とびかかるだけで敵を殺傷します。たいていの場合、軍用犬たちは、「わざと飢えさせてから」一斉に解き放たれていたそうです。
さて、時代がくだり、第一次世界大戦でも、軍用犬たちは重宝されました。ただし、この頃になると、最大の役目は、「伝令」となってきます。(近づいて白兵戦で戦おうにも、機関銃で撃たれると、どうしようもないからです。)
第二次大戦では、スターリンのソ連が、軍用犬を積極的に使ったことで知られています。ソ連軍は、軍用犬に爆薬をつけまして、ドイツ軍の戦車300台以上を爆破したのだそうです。(つまり、「自爆」なのですが…犬には自爆の自覚がありませんから、可哀想な気もします…。)
もっとも軍用犬が活躍した戦争は、ベトナム戦争だと言われています。アメリカ軍は、4,000頭もの軍用犬を戦地に投入したのですが…これらの軍用犬の任務は、主に「地雷探知」でした。彼らの活躍で、実に1万人以上の命が救われたのだそうですよ。かたや、彼らに手を焼いたベトナム軍は、軍用犬を殺した兵士に報奨金を与えていたそうです。
■現代の軍用犬の役割
さきほども言いましたように、現在の軍用犬は、自らが戦闘することはまずありません。「警備犬」「歩哨犬」(※要するに「番犬」)「斥候犬」、「地震探知犬」…「(寒冷地での犬ぞりなど)輸送犬」、「麻薬・爆発物探知犬」…そして、現代社会ではなくてはならない、おなじみの「災害救助犬」。こういったところが、いまの軍用犬たちの役割だと言われています。
ところが… イラク戦争あたりから、兵士たちの心を癒す「セラピー犬」としての役割が課せられた軍用犬も、増えてきたのだそうです。
■世界各国の軍用犬
さて、ところ変われば「品」ならぬ「犬」かわる… 軍用犬のありかたも、かわってくるようです。
世界の中で一番軍用犬の数が多いと言われているのが、「インド」。反政府組織との闘いの中で、軍用犬を使ったら著しく成果があがったということで、現在では、暴動鎮圧の際には、必ず「軍用犬部隊」が派遣されるそうです。「ロシア」では、軍用犬候補の子犬を兵士がお世話するそうです。もしも戦地で一緒になったときの「心のつながり」を重視しているのだとか…。
では、世界トップ級の能力を持つ軍用犬を持っている国はどこでしょう? これがちょっと意外(?)なことに、「スリランカ」なんです。スリランカの軍用犬は、反政府軍との戦いで、しこたま実戦経験を積んでいるのだそうで…やはり、「習うより慣れろ」ということなのでしょう。
「日本」にも、もちろん「軍用犬」はいます。かつて、日清・日露の時代には、主に秋田犬が、伝令犬や歩哨犬として活躍したのですが、現代ニッポンの軍用犬は、航空自衛隊によって、基地の警備に使われています。
さて、世界の主な国の中で、いちばん軍用犬を使うのが遅かった国はどこでしょう。実は実は、「アメリカ合衆国」なんです。なぜかアメリカでは、戦争となると、犬よりも馬のほうが重要視されてきました。独立戦争のさなか、1776年には、軍用犬の使用を訴えたペンシルバニア州の政治家が、「戦争で役立つのは、馬しかいないよ!」と、周囲から冷やかされたそうです。(そういえば、アメリカといえば、「騎兵隊」のイメージが強いですよね…)結局、アメリカが初めて軍用犬を使ったのは、1835年の「第二次セミナール戦争」でのこと。ただし、使われた数は、わずか、33頭だったそうです。
■軍用犬の扱い方
軍用犬も、昔は、ずいぶんと粗末な使い方をされたようです。戦争が終われば用済み、年をとったら用済みということで、「殺処分」という国も少なくなかったのだそうです。ところが… 最近では、軍用犬の退役後の処遇がドラスティックに変わってきました。かつてのような「殺処分」をおこなう国は、ほぼなくなりました。
アメリカは、2000年の法改正で、「退役後の軍用犬の住みか」を確保するようになりました。イギリスは、2004年から、活躍した軍用犬を表彰するようになりました。オーストラリアでは、2008年から、勲章を授与するようになったのだそうです。時代性を反映して、人間と軍用犬との向き合い方も変化してきましたね。
2月14日(水)高嶋ひでたけのあさラジ!「三菱電機プレゼンツ・ひでたけのやじうま好奇心」より
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