雛人形は都市部と農村部で違う? 雛まつりの歴史(2)
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今年も雛祭りの季節が近づいてきました。そんな《雛祭り》、地方によっては色々と違いがあるそうです。
そこで、毎年、東京都指定有形文化財「百段階段」を舞台に、各地方の雛人形を展示している「ホテル雅叙園東京」の百段雛まつり担当の方にご協力頂き、色々な違いを、ご紹介したいと思います。
*なお雛人形については諸説あります。
■経済力の違いで雛人形も変わる
時代が経つにつれて、豪華絢爛になってきた雛人形ですが、都市部と農村部での経済力の違いは、雛人形にも表れています。
・農村部のお雛様は自給自足
農村部などでは、身近にある安価な材料で雛人形が作られました。土を使って作られたもの《土人形》、紙を使って作られたもの《紙雛》などがあります。道具類なども、木片を使ったり、それぞれ独特なアイデアで作られ、飾られました。
■大名のお雛様は贅沢の極み
武家社会では、一番上位に位置する武士、大名のお雛様は、その家の力を間接的に表現するものでもあります。現在残っている大名家のお雛様は、お姫様の嫁入り道具の一つとして持たされたもので、雛人形の衣服なども、高価な織物が使われたり、雛道具類などの小物は、本物の嫁入り道具と同じものを作り、家紋を入れ、漆を塗ってある豪華なものとなっています。まさに、大名家が、当時の権力をあらわしているものでもあります。
■商人のお雛様は豪華だけど…
雛人形の大きさ、飾り方など、一番、現代のお雛様に近い形のものが、この商人のお雛様ではないでしょうか。大名のお雛様ほど、大きくなく、道具類なども沢山作られていません。
その他、1年毎に買い増しをしたり、商人らしい、堅実な形で、お雛様を楽しんでいたようです。
■豪商のお雛様は大名をしのぐ絢爛さ
色々と飾り方で圧倒されるのが豪族。とくに、石炭が使われるようになってきた後、九州など、石炭が採掘された地方の《炭鉱王》の雛祭りは、大名をしのぐほどの豪華絢爛なお雛様です。
お雛様の種類などはお構いなし。とにかく、壮大で豪華絢爛な展示をしています。プラモデルでいう《ジオラマ》です。
大きなお屋敷の大広間の半分ほどを埋め尽くす500体の人形を並べ、日本各地のお祭り、地域を表現したり、とにかく圧巻の雛祭りがおこなわれたそうです。
特に有名なものは、福岡県飯塚市近隣で行われている「いいづか雛(ひいな)のまつり」
2月初旬から3月下旬まで、全18会場(地区)約10,000体の雛人形が飾られています。
「《筑豊の炭鉱王》と呼ばれた旧伊藤伝右衛門邸の座敷雛や、石炭炭鉱の労働者とその家族の娯楽の一つとして作られ、その建物は、国の登録有形文化財となっている「嘉穂劇場(かほげきじょう)」の舞台に飾り付けられたものなど、石炭で盛り上がった当時の栄華を感じる事ができるでしょう。
今回、ご協力を頂いたホテル雅叙園東京の「百段雛まつり」、今年は「近江・美濃・飛騨 ひな紀行」と題して、彦根藩主、井伊家・砂千代姫の雛人形と雛道具や飛騨高山の老舗旅館と旧家のお雛様、そして先程出てきた御殿飾りのお雛様、指先程の小さな郷土玩具など、滋賀と岐阜の町々に息づく百花繚乱のお雛様が展示されています。
ホテル雅叙園東京「百段雛まつり ~近江・美濃・飛騨 ひな紀行~」
開催期間 1月19日(金)~3月11日(日)会期中無休
開催時間 10:00~17:00(最終入館16:30)
入場料 大人1,500円 学生800円
その他、お食事が付いたセットプランなどあり
公式HP http://www.hotelgajoen-tokyo.com/hinamatsuri/
(よこいみちひと)